お役立ち知識

有給休暇取得5日義務が発生する日はいつでしょう?

労働基準法の改正(以下「改正法」と言います。)によって、本年41日から年10日以上の年次有給休暇(以下「有休」と言います。)を付与される労働者を対象として、その内5日を確実に取得させることが使用者に義務付けられました。そこで覚えていただきたいのが、「基準日」という法律用語です。「基準日」は、有休を新たに付与する日です。会社によっては、雇入れの時点で既に有休を付与している事例も見受けられます。ただし、法令上の付与義務が生じるのは雇入れの日から起算して6カ月間勤務し全労働日の8割以上出勤したときに6カ月を過ぎた日で、その日に付与すれば、その日が「基準日」にあたります。例えば、41日入社であれば、6か月を経過した日は101日なので、101日が「基準日」です。

 

さて、改正法が適用されるのは、平成3141日以降の「基準日」からです。したがって、「基準日」が例年101日である事業所においては、本年101日から翌年930日までの1年間に有休5日を確実に取得させる義務が生じます。自社の基準日はいつか、改めて確認してください。

 

ところで、新卒一括採用など、労働者を雇入れする時期が毎年同一であれば基準日も同一ですが、随時採用など、雇入れの時期が労働に異なると「基準日」もそれぞれ異なりま す。使用者にとって、誰に・いつまでに有休5日取得させなければならないのか管理が煩雑です。基準日が複数ある場合、事務の簡素化・効率化の観点から、これを契機に統一することを検討すべきです。


 

入社2年目以降に基準日を統一した場合の取得義務日数は?

雇入れ1年目は法定どおり6カ月を経過した後に有休を付与し、2年目以降基準日を統一する場合は、年5日の有休を比例按分して取得させることができます。(労働基準法施行規則第24条の5第2項)

仮に、4月1日雇入れのAさんと6月1日雇入れのBさんについて、2年目以降の基準日を4月1日に統一した場合、比例按分による取得義務日数を計算すると次のとおりとなります。

 

【例】入社後6カ月後に10日付与、2年以降は4月1日を基準日に統一

○Aさんの取得義務日数

○Aさんの取得義務日数

 18月÷12×5日=7.5

 2019101日~2021331日までで7.5日取得させます。

○Bさんの取得義務日数

 16月÷12×5日=6.67

 2019121日~2021331日までで7日取得させます。

改正労働基準法第39条(年次有給休暇)が、本年4月から施行されます。その「解釈」について、先般、厚生労働省から都道府県労働局長あてに通達されています。そこで今回はその内容の一部をQ&A形式で取りまとめました。

 

Q1.前年度繰越分の有給休暇を合算して10日以上となった場合、使用者は5日の時季指定義務を負いますか?

A1.使用者が年次有給休暇(以下「有休」と言います。)の時期指定義務を負うのは有休年10日以上の労働者に対してです。ただし、この定めに言う「有休年10日以上」は、あくまで基準日に付与された日数で判断します。したがって、繰越分を合算して10日以上となった場合は、時季指定義務の対象となりません。

Q2.労働者が前年度繰越分の有休を取得した場合、使用者はその日数分を時季指定すべき5日から控除することができますか?

A2.労働者が取得すべき有休は、前年度繰越分かそれとも当年度の基準日に付与された有休であるかを問いません。したがって、使用者は取得した日数分を時季指定すべき5日から控除できます。

Q3.使用者がいったん時季指定した有休をその後使用者側の都合により変更することはできますか?

A3.労働者の意見聴取の手続を行ない、その意見を尊重すれば使用者側都合に基づく変更は可能です。

Q4.使用者がいったん時季指定した有休をその後労働者の申出により変更することはできますか?

A4.原則として、使用者が時季指定した有休を労働者が変更することはできません。ただし、労働者に変更希望があるときは、使用者は意見聴取の手続を行い、その意見を尊重することが望ましいとされています。

Q5.使用者が有休を時季指定した後に労働者が自ら有休を取得した場合の取扱いはどうなりますか?

A5.使用者が時季指定した日に労働者が有休を取得しなくても、直ちに違法とはなりません。ただし、使用者の時季指定については、特段の取決めがない限り、労働者が自ら有休を取得したからといって、当然に無効はならないものと解されています。

Q6.例えば会社の創立記念日を休暇にしているなど、事業場が独自に設けている法定年休とは異なる特別休暇を、労働者が取得した有休とみなすことは認められますか?

A6.設問に例示のような特別休暇等により取得した日数を、使用者が時季指定すべき5日に含めることは認められません。

Q7.今回の労働基準法改正を契機として、前問に例示したような事業場独自の特別休暇を廃止し、有休の計画的付与に振り替えることは認められますか?

A7.設問のような対応は、労働基準法及び今回の労働基準法改正の趣旨に沿わないものと考えられます。また、特別休暇の廃止それ自体は、就業規則の不利益変更法理に照らして判断すべきです。

 

平成31年4月1日施行の「改正労働基準法第39条(年次有給休暇)」について厚生労働省等による「年次有給休暇の時季指定義務」、「わかりやすい解説」等を参考に取りまとめました。

1.201941日から施行される内容のポイントは

A1.年次有給休暇(以下「有休」と言います。)のうち年5日については、使用者が時季を指定して労働者に取得させることが全ての使用者に対して義務付けられます。


Q2.対象となるのは全ての労働者ですか?

A2.有休付与日数が10日以上の労働者が対象です。

Q3.時季指定をすべき期間はいつからいつまでですか?

A3.有休を付与する日(基準日)から次の基準日までの1年間です。例えば基準日が10月1日であれば、2019年10月1日から2020年9月30日の間に5日間を時季指定する必要があります。

Q4.施行日までに予めやっておくことは何かありますか?

A4.時季指定の対象となる労働者の範囲及び指定の方法等について、就業規則に定めておく必要があります(労働者10人未満の事業所を除きます。)。また、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成する必要があり、この管理簿は3年間保存しなければなりません。

Q5.仮に取得できなかった労働者がいたら、どうなりますか?

A5.法違反にあたり、労働基準監督署の監督指導(是正勧告等)の対象です。また、罰則の適用もあり得ます。

Q6.労働者が有休を希望せず、時季指定を行なっても取得を拒否した場合、使用者の責任はどうなりますか?

A6.そうした場合であっても、結果的に有休を取得していないため、使用者は法違反を免れません。こうしたことから、前述の就業規則の改正においては、時季指定は業務上の命令であり違反は懲戒の対象とすること等を併せて定めることが望ましいと考えます。

Q7.労働者本人の請求により既に有休5日を取得済みでも、使用者の時季指定は必要ですか?

A7.労働者が有休を5日取得した時点で、使用者の時季指定義務はなくなります。また、その後は使用者から時季指定を行うことはできません

Q8.使用者が時季指定した日が到来する前に、労働者が自ら有休5日を取得した場合、当初指定した日に取得しなくても法違反にはあたらないと考えていいでしょうか?

A8.結果的に5日取得しているので、法違反にはあたりません。なお、この場合において、使用者が行なった時季指定は、労働者との間に特段の取決めがない限り無効とはならないと解されています。 



 









 


              



定額残業代に相当する残業時間の明示は、必須の要件ではなくなりました(最高裁第一小法廷判決 平成30年7月19日

定額残業代に相当する残業時間等を明示することは、これまで定額残業代制度(以下「同制度」と言います。)が成立する要件とされ、私自身も、給与明細に定額残業代の単価及び時間数を明記するようお願いしてきました。しかし、本判決により、必須の要件ではないことが示されました。このことは、司法による同制度の過度の規制に歯止めがかかったと捉えることができ、同制度活用への追い風となりそうです。

《本件の概要》

(1)被上告人は薬剤師として、上告人が運営する薬局で、平成25年1月21日から平成26年3月31日まで勤務していた。

(2)雇用契約書に記載の賃金は、基本給46万1,500円、業務手当10万1,000円であった。また、採用条件確認通知書には、「月額給与461,500円」、「業務手当101,000円みなし時間外手当」、「時間外勤務手当の取扱年収に見込み残業代を含む」、「時間外手当は、みなし残業時間を超えた場合はこの限りではない」との記載があった。一方、上告人の賃金規定には、「業務手当は、一賃金支払期において時間外労働があったものとして、時間手当の代わりとして支給する」との記載があった。

(3)被上告人は、休憩時間に30分間業務に従事していたが、その時間管理はされていなかった。

(4)上告人が被上告人に交付した毎月の給与支給明細書には、時間外労働時間や時給単価を記載する欄があったが、これらの欄はほほ全ての月において空欄であった。

(5)被上告人は、業務手当が何時間分の時間外手当に当たるのか分らないこと、及び休憩時間中の労働時間を管理し調査する仕組みがないため、時間外労働の合計時間を確認することができないこと等から、業務手当を上回る時間外労働が発生しているか否か判別できないとして、業務手当を残業代の支払とみなすことはできないと主張し、残業代等の支払を請求した。

(6)控訴審における判決は、被上告人の主張を認め、定額残業代制度は無効であったとして、支払請求を一部容認した。

《判決の要旨》

(1)雇用契約においてある手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものとされているか否は、労働契約に係る契約書等の記載内容の他、具体的事案に応じ、使用者の労働者に対する当該手当や割増賃金に関する説明の内容、労働者の実際の労働時間等の勤務状況等の事情を考慮して判断すべきで、相当する労働時間を示すことは必須の要件と言えない。

(2)本件では、雇用契約書及び採用条件確認書並びに賃金規程において、月々支払われる所定賃金のうち業務手当が時間外労働に対する対価として支払われる旨記載されていた。したがって、賃金体系においては、業務手当が時間外労働等に対する対価として支払われるものと位置付けられていたと言える。

(3)被上告人に支払われた業務手当は、約28時間分の時間外労働に対する割増賃金に相当することが算出でき、被上告人の実際の時間外労働等の状況と大きく乖離していない。

(4)したがって、業務手当の支払が残業代の支払に当たらないとする控訴審の判断は、割増賃金に関する解釈適用を誤った違法がある。

《本判決と実務》

被上告人の労働時間管理は、タイムカードに出勤時刻と退勤時刻のみを打刻しており、それらの時刻から所定労働時間を差し引くことによって、残業時間を算出することができました。また、契約書等に定額残業代に相当する業務手当は何時間分かの記載はなかったものの、その計算は容易であり、定額残業代を超える労働の有無についても明確に判断できるものでした。本判決により、定額残業代に相当する時間数の明示は必須要件ではなくなりましたが、正しい計算を行なっていることの論証は、今後とも不可欠です。


 時間外労働の上限規制(中小企業2020年4月1日施行)

労働時間は、労働基準法(以下「同法」と言います。)第32条において、週40時間、1日8時間以内と定めています。この時間が法定労働時間です。これに対して、所定労働時間といわれるものがあります。これは、事業場がそれぞれ労働時間として定める時間です。所定労働時間は、法定労働時間内であれば何時間でもかまいません。言い換えると、所定労働時間≦法定労働時間という図式です。

さて、法律上の時間外労働とは、法定労働時間を超える労働です。本来、同法は時間外労働を禁止しています。ただし、企業の自由な経済活動に配慮し、一定の要件を満たした場合、時間外労働を可能としています。その要件は過半数労組、過半数労組がない時は事業場の過半数代表者と時間外・休日労働協定(36協定)を締結した上で、労働基準監督署長に届け出ることです。

時間外労働は、1カ月45時間、1年360時間までとの基準があります。しかし、これは厚生労働大臣の告示に過ぎず、法的拘束力はありません。また、36協定において特別条項を結ぶことにより、上限なく時間外労働に従事させることができます。更に、同法上、休日労働に対する規制はありません。結果として、少なからぬ企業で法定労働時間を超えた労働が常態化していることは、ご承知のとおりです。同法が、「ざる法」と指摘される所以です。 


 

今回の改正により、時間外上限基準は厚生労働大臣の告示から格上げされ、同法第36条4項~6項に明記されました。これに違反すれば罰則の適用もあり、適切な対応が必須です。


 

改正により設けられた時間外労働の上限時間は?

繰り返しになりますが、同法改正前は休日労働の規制はありません。厚労相告示の時間外労働時間には、休日の労働時間は含まれません。しかし、今回の改正においては、上限時間の中に休日の労働時間を含まれる場合と含めない場合とがあり、少しややこしくなります。

以下、同法第36条の各項ごとに説明します。

 
(新設)36条4項...限度時間  (※は1年単位の変形労働時間制)

期 間

上限時間

休日労働の時間

1カ月

45時間(※42時間)

含めない

1年

360時間(※320時間)

含めない

 

(新設) 36条5項...特別条項を設けた場Z

期 間

延長できる上限時間

休日労働の時間

1カ月

100時間未満

含まれる

1年

720時間未満

含めない

ただし、特別条項を発動する月数は最大でも6カ月以内

 

(新設)36条6項...更なる規制(特別条項がない事業場も適用)

期 間

時間外労働の最大時間

休日労働の時間

1カ月

100時間未満

含まれる

2カ月から6カ月のそれぞれの平均

80時間未満

含まれる

ただし、次の業務については、適用除外とされています。

①工作物の建設等の事業

②自動車の運転の業務

③新技術、新商品等の研究開発の業務

④その他厚生労働省労働基準局長が指定するもの




 

働き方関連法の施行日は、2019年4月1日です。ただし、中小企業には猶予期間を設ける等の特例措置があります。中小企業における施行スケジュールを一覧表にまとめました。

 2019年4月1日施行

  年次有給休暇の5日の使用者による時季指定

労働基準法第39条

  フレックスタイム制の見直し

労働基準法第32条の3

  高度プロフェッショナル制度

労働基準法第41条

  勤務間インターバル制度

労働時間等設定改善法

 2020年4月1日施行

  時間外労働の上限に限度設定

労働基準法第36条

 2021年4月1日施行

  不合理な待遇差を解消するための規定の整備

パートタイム労働法

労働契約法

労働者派遣法

  労働者に対する待遇に関する説明義務

パートタイム労働法

労働契約法

労働者派遣法

 2023年4月1日施行

  月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し

労働基準法第37条

 さて、中小企業においても、年次有給休暇の5日付与、フレックスタイム制、高度プロフェッショナル制度、勤務間インターバル制度は2019年4月1日に施行されます。その中で年次有給休暇は全ての事業場に関係する内容で、2019年4月1日以降の基準日から適用されます。従業員一人一人の年休の消化状況を確認し、取得が進んでいない場合には、改正後にむけた準備を進めることが求められます。

改正労働基準法第39条


使用者は、平成30年4月1日から、一定の要件を満たす労働者には年次有給休暇を5日消化させることを義務付けられました 

働き方改革関連法の一環として、(年次有給休暇)労働基準法第39条が改正されています。施行は平成31年4月1日で、中小企業への猶予措置はありません。使用者は労働者それぞれの年次有給休暇の取得状況を確認し、取得が少ない場合は法令を遵守するための取組が必要です。具体的な改正内容としては、第39条第6項の後に次の2項が追加されています。

(年次有給休暇)労働基準法第39条第7項 使用者は、年次有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が10日以上である労働者に係るものに限る。)の日数のうち5日については、基準日から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。

 第8項 前項の規定にかかわらず、労働者の請求する時期に与えた場合又は労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合において労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、有給休暇を与える時季に関する定めをし、有給休暇を与えた場合においては、当該与えた有給休暇の日数(当該日数が5日を超える場合には、5日とする。)分については、時季を定めることにより与えることを要しない。


 

直近に行った厚生労働省への質問と回答は次のとおりでした 

今回の改正を具体的に運用するための詳細を定める省令等は、未だ定められていません。そこで、先日、弊事務所が行なった厚生労働省への質問とそれに対する回答を紹介します。

Q1.第7項の「有給休暇の日数が10日以上」とは、繰越分も含まれるのか?

週4日勤務のパート社員は、入社後6カ月で有給休暇(以下、単に「有休」と言います。)7日、その1年後に8日を付与されることとなる。仮に、6カ月以降1年までの有休取得が5日間以下であれば、有休の日数は繰越分を含めて10日以上となるが、その場合、使用者の5日間時季指定の義務は発生するのか?

A1.基準日に10日以上を付与する労働者が対象であり、繰越分は含まれない。

 

Q2.時季指定5日間について、指定方法等の定めはあるのか?

有休5日分について労働者個々人に対し、例えば○月×日、△月□日、といったように、具体的な日付を予め指定するのか?

A2.お尋ねのように、付与する日付を予め指定することはできる。ただし、結果的に次の基準日までの間に5日間を消化していれば良いのであって、その方法は定めない(同条第8項のとおり)。 

 

Q3. 有休付与の基準日が4月1日でない場合の取扱は?

施行は平成31年4月1日とされているが、有休付与の基準日は企業により異なっている。その場合の取扱はどうするのか?

A3.適用開始は、法が施行される平成31年4月1日以降の基準日 からとなる。例えば、10月1日を有休付与の基準日としている企業であれば、平成31年10月1日以降の1年間について、有休5日間の消化義務が発生する。

 

繰り返しますが、省令等は現在検討中ということですから、上記のQ&Aでフィックスというわけではありません。



有給休暇の賃金

Q.有給休暇の賃金が一日の賃金より低額でしたが、違法ではありませんか?

私は、派遣社員として働いています。母も、別の会社で派遣社員として働くようになり、先日初めて有給休暇を取得しました。母の有給休暇の賃金について明細が添付されていましたが、一日労働した場合の賃金より低い金額で計算されていました。なんでも、過去3か月の給与の平均ということす。私の場合は、有給休暇を取得しても、一日分の賃金が満額支給されます。母の会社の取扱に疑問を感じています

 

A. 有給休暇の賃金を平均賃金で支払うことは違法ではありません。

有給休暇についてのトラブルは今日でも後を絶ちません。その多くは、事業主の有給休暇に関する知識不足によるものです。よくある間違いは、パートやアルバイトには有給休暇は発生しない。また、従業員からの有給休暇取得の申出を断ることが出来る。といった内容です。

労働基準法第39条は有給休暇の規定ですが、

「使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。」と定めています。

尚、労働日数の短い労働者(パートやアルバイト等)については、別途、それぞれ労働日数に応じた日数が定められています。例えば、週に一日勤務する労働者では、上記規定を満たした場合は、1日労働日の有給休暇を与えなければなりません。有給休暇の日数は労働時間とは関係ありません。あくまでも労働日数を基準に定められています。

また、労働者が有給休暇を請求した場合、使用者はその請求を断ることはできません。ただし、そのことで事業が回らなくなる等、やむを得ない事情があるときは別の日に変更してもらうことは可能です。

さて、有給休暇の日の賃金ですが、同法で

「有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金もしくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金(中略)を支払わなければならない。」と定められています。

結論を申し上げると、娘さんの派遣会社は有給休暇の時間を所定労働時間労働した場合支払われる通常の賃金を支払う定めをしており

お母さんの派遣会社は平均賃金を支払う定めをしているということです。つまり、お母さんの派遣会社の取扱に違法性はありません。

因みに時給1000円で労働時間が一日8時間、月22日勤務する方を例に計算すると (有給休暇を12月取得と仮定)

・所定労働時間労働した場合の通常賃金は8000

・平均賃金は、5,802円 (8000円×22日)÷(30+31+30日)

となり、平均賃金の方が低額になります。

 


 



 


Q.解雇予告期間中、業務災害が生じた場合、解雇日を変更する必要はありますか?

製造業を営んでいます。先日、ある従業員が、不注意から機械の操作を誤り、大量の不良品を発生させてしまいました。当社の就業規則には懲戒解雇の規定がないので、1221日に解雇予告を行い、翌年121日付で解雇することとしました。ところが、118日、この従業員が機械に接触して受傷する業務災害が発生しました。療養に1か月以上を要し、出勤可能となるのは早くても31日との診断です。このような場合、既に解雇予告を行った後であっても、解雇日を変更する必要はありますか?また、変更する必要があれば、具体的にはどうするべきでしょうか?

 

A.解雇予告後であっても、業務災害により休業する期間及びその後30日間は「解雇制限期間」となります

懲戒解雇であれば、処分が告知された時点で即時に効力を発揮し、猶予期間等を設ける必要もありません。しかし、設問のように、懲戒解雇について就業規則等で定めていなければ、処分は行えないとされます。これは、懲戒が企業組織内の秩序保持義務違反に対する制裁罰であることにかんがみ、刑法における罪刑法定主義の考え方を準用するものと捉えることができます。

 

さて、通常の解雇であれば、労働基準法(以下「同法」と言います。)第20条に定めるとおり、少なくとも30日前に予告をしなければなりません。予告期間は、民法の一般原則に則り、予告日の翌日より起算して暦日30日を満了するまでで、その翌日が解雇の効力発生日にあたります。要するに、予告日から解雇日までの間に中30日を設ける必要があり、暦日ですから、休日や休業日を除く必要はありません。

一方、同法第19条は「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間(中略)は、解雇してはならない。」と定めているので、この設問は、同法第20条と第19条が競合した場合の考え方を問うものと言えます。

 

結論から言うと、その場合は第19条が優先され、既に解雇予告を行った後で、その予告期間が満了に近づいていたとしても、それらは一切考慮されないこととなります。

 

設問の場合であれば、業務災害が発生した118日からその療養のために休業した期間、及び出勤するか又は出勤可能な状態となった日から起算して暦日30日を満了するまでの期間は、解雇制限期間として解雇を行うことはできません。なお、「療養」とは治癒(症状固定)であり、同法及び労働災害保険法上の療養・休業補償の対象と同じです。治癒後の通院等があっても、その分を延長する必要はありません。

 

それでは、仮に、業務災害にあった労働者が、 期間の定めのある労働契約を締結している者であって、療養期間中に契約期間が満了した場合はどうでしょう?

その場合、期間満了による労働契約の終了(雇止め)は解雇にあたらないため、解雇制限期間は適用されません。したがって、仮に療養期間中であっても、満了に伴い自然に契約終了することとなります。

 


 



 

 

Q.メンタル不調を理由とする退職の申出がありました。後日にトラブル等にならないため留意すべき点はありますか?

先日、ある従業員から突然退職届が提出されました。理由を尋ねると、抑うつ症状が続いており精神科を受診中との説明です。上司に確認したところ、勤務成績は良好で、上司や同僚との折り合い等の点でも思い当たる節はないとのことです。念のため過去1年の超過勤務実績を調べると、最も多い月でも15時間未満で、長時間労働の実態は見受けられません。近年、従業員のメンタル不調について、会社側の責任が厳しく問われる事例をよく耳にします。後日にトラブル等にならないためには、どのような点に留意すべきでしょう?例えば、当社は病気休職制度を就業規則で定めています。慰留し、いったん休職措置を採った上で、その後に退職手続とした方がいいでしょうか?


 

A.先ずは使用者の安全配慮義務違反がなかったか確認することが大切です

労働者が業務を遂行する過程において、使用者は労働者の生命及び身体等を危険から保護する安全配慮義務があります。具体的には労働安全衛生法など関係法令の遵守や、メンタル面に関しては長時間労働、業務上のストレス、パワハラなど職場内のストレス等によって、健康が損なわれることがないよう努めなければなりません。

そこで設問を見ると、勤務成績の低下など思い当たる節はなかったし、長時間労働の実態もありませんでした。仮に、上司が従業員のメンタル不調又は長時間労働等に気づいていながら、何らの対応もしなかったとすれば、不調の原因はさておいても、対応上の不備を問われる懸念があります。しかし、設問の記述限りでは、そうした恐れは少ないものと考えられます。

一方、メンタル不調を理由とする退職の場合、後日、意思表示の瑕疵を理由に、取消又は無効を主張される可能性があります。例えば、メンタル不調のために判断能力が著しく減退した状態で、使用者側の詐欺又は強迫により退職届を提出させられたとして取消(民法第96条)を主張されるケースです。また、メンタル不調で就労できないと直ちに解雇されるとの錯誤により退職届を提出したとして無効(民法第95条)を主張されること等も考えられます。

これらのトラブル防止のため、従業員が退職の意思を示したときは、丁寧にコミュニケーションを取りその内容を記録した上で、退職願又は退職届を文書で提出させることが重要です。その観点から改めて設問を見ると、既に退職届が提出されているので、従業員及び上司への聞き取り結果等を記録しておけばいいでしょう。また、病気休職制度を就業規則に定めて周知しているので、前述の錯誤の主張にも対抗できると考えられます。そもそも退職の意思が示されたとき、使用者側に慰留する義務はありません。意思を確認できれば、敢えて慰留や休職制度の教示又は適用等は不要です。

 

「退職願」、「退職届」、「辞表」どう違う?

多くの会社は就業規則等で退職に関する事項を定めています。たとえば、「退職する場合は...少なくとも○日前に、退職願を×を経由して△宛提出すること」等です。退職は労働契約の解除であり、解除を願い出る意思表示が退職願です。口頭でも足りるとされますが、退職申出の事実やその意思が固いこと等を使用者と従業員との双方で確認する趣旨から文書提出を求めています。また、提出によって直ちに退職となるわけではなく、権限者の承認後に退職となるので、承認前であれば撤回が認められることもあります。

これに対して退職届は退職の意思表示を確定して提出するもので、受理された時点で退職となり、撤回は認められません。

一方、辞表は社長や取締役など雇用関係のない立場の人が、その役職を辞めることを届け出る書類です。


 

 



 

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