お役立ち知識

Q.雇用調整助成金以外に従業員の雇用を守る制度は?

新型コロナウイルス感染症の影響が続き受注が回復しません。これまで雇用調整助成金を受給し従業員の雇用を維持してきましたが、特例措置は5月末で終了すると聞きました。受注が回復すれば業務量の急増も期待できるので、なんとか現在の雇用を守りたいと考えています。雇用調整助成金の他に活用できる制度はありませんか?

A1.コロナ禍の下における雇用維持を助成する産業雇用安定助成金制度が創設されました

雇用調整助成金制度は、景気の変動や産業構造の変化、その他経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業等の一時的な雇用調整を実施して従業員の雇用を維持した場合に適用されます。広く認知されたのは近年ですが、実はその歴史は古く、1974年の雇用保険法制定と同時に設けられています。

令和3年5月31日までの特例措置により、休業手当は日額15,000円を上限として国が100%助成しますが、その後は縮小の予定です。

そうした中で、令和3年4月1日、産業雇用安定助成金制度が創設されました。新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合、出向元事業所及び出向先事業所の双方の事業主に対して、出向に要した賃金や経費の一部を助成します。

A2.産業雇用安定助成金制度の概要をご紹介します

受給要件は次のとおりです。

(1)出向元事業所が、事前に出向計画届を労働局に提出していること

(2)出向元事業所及び出向先事業所が、ともに雇用保険に加入していること

(3)出向元事業主と出向先事業主との間で、(出向)契約が締結されていること

(4)出向元事業所又は出向先事業所が、出向労働者の賃金の全部又は一部を負担していること

(5)出向労働者に出向前に支払っていた賃金とおおむね同じ額の賃金を支払うこと(注)

(6)出向元事業所の売上高又は生産量などが、計画書を提出した前年同期と比べて5%以上減少していること

(7)出向について労使協定を締結しており、出向労働者の同意があること

(8)雇用調整を目的としての出向であり、労働者毎の出向期間は1カ月以上2年以内。その後は出向元事業所に復帰すること

(注)具体的には、85%から115%の範囲の額を支払うことが要件です。

これらの要件を満たすと、中小企業の場合、一日12,000円を上限として賃金、教育訓練費など出向運営経費の90%、ただし出向元事業所が解雇等を行っている場合は80%が支給されます。

とはいえ、これまで従業員を出向させたことがあるか又は他社からの出向者を受け入れたことがある事業主は、決して多くないと思われます。そこで現在、(公財)産業雇用安定センターが、無料のマッチングサービスを行っています。従業員の雇用を維持したいが、出向等の経験がないという事業主の皆様には、こうした制度も併せて活用してみてはいかがでしょうか。

 

Q.親の介護が必要となった従業員がいます。勤務を継続するための公的支援制度等はないでしょうか?

親の介護が必要となった従業員から、介護に専念するため退職したいとの申出がありました。当社に不可欠な人材であり、従業員の高齢化が進む中、今後同様の事態が生じることも懸念されます。また、介護を終えた後を考えれば、退職してしまうことが得策とは思えません。何とか思いとどまるよう説得したいのですが、介護をしつつ勤務を継続するための公的な支援制度等があれば、ご教示ください。

A1.先ずは介護休業・休暇制度を活用しましょう

総務省統計によれば、2020年現在、わが国の65歳以上人口は3,617万人、総人口に占める割合は28.7%です。4人に1人以上が高齢者という超高齢社会に突入しています。そうした中で大きな問題となっているのが、親の介護です。介護が必要となる世代は主として75歳以上、介護にあたる世代は40歳代後半から50歳代が中心です。会社において重要な役割を担っているケースが少なくありませんが、毎年10万人近い方々が介護離職を余儀なくされています。

政府は、これまでも介護離職ゼロを目指す施策の一つとして、育児・介護休業法の改正を重ねてきました。現行の同法に基づいて、労働者は、介護が必要な人ひとりにつき通算93日間の介護休業及び5日間の介護休暇を取得できます。また、介護休業は一度に取得することも、3回まで分割して取得することもできます。本年4月1日からは、従来1日を単位としていた介護休暇を1時間単位で取得できるようになりました。一方、使用者は、介護休業・休暇取得の申出を受けた場合、引き続き1年以上雇用されていない等を除き、原則として拒むことはできません。

なお、介護休業・休暇は、現に常時介護を要する状況にあることが要件です。介護保険制度に基づく介護認定を受けていなくとも取得できることに注意が必要です。

A2.従業員も事業主も雇用保険制度を活用しましょう

ノーワーク・ノーペイの原則により、使用者に介護休業中の賃金を支払う義務はありません。休業中の賃金を補填するため、労働者は雇用保険制度の介護休業給付金を利用することができます。

ハローワークに申請すると、休業した日について休業開始時の賃金の67%相当額が支給されます。事務手続は従業員本人が行うこともできますが、資格確認や申請には、賃金台帳など会社が作成・保管している書類が必要です。このため、会社の総務・人事担当等が本人に代わって行うことが一般的です。

一方、事業主は、雇用保険制度の両立支援等助成金「介護離職防止支援コース」を利用できます。介護休業の取得・復帰に取り組んだ中小企業事業主や、介護のための柔軟な就業形態の制度を導入し、かつ、実際に利用者があった中小企業事業主に対して助成金が支給されます。

例えば介護休業の場合、介護のために従業員を5日以上休業させたとき、介護休業の取得時に28万5千円、復職時に同じく28万5千円が支給されます。事前に介護休業プランを作成し、従業員と面談を実施するなど、休業取得や復職を円滑にするための準備を行っていることが要件です。

また、介護のための柔軟な就労形態、具体的には所定外労働を制限する制度、時差出勤制度、深夜業を制限する制度、短時間勤務制度、在宅勤務制度、法を上回る介護休暇制度、フレックスタイム制度、介護サービス費用補助制度等のうちいずれかを導入し、合計20日以上利用があると、同じく28万5千円が支給されます。

介護離職は、従業員本人はもとより事業主にも大きなリスクです。様々な制度を活用し、介護と勤務の両立を図ることが大切です。

Q.同一労働同一賃金制を踏まえてパート従業員を採用する際の注意点は何ですか?

パート従業員の採用を検討中です。弊社のような中小企業にも、今後は同一労働同一賃金の原則が適用されると聞きました。具体的にどのような点に注意が必要ですか?

A1.通常の労働者との待遇差を設ける場合はその理由等を明確に説明できなければいけません

令和2年4月に施行された改正「労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(以下、単に「同法」と言います。)は、令和3年4月1日から中小企業にも適用されます。同法の主なポイントは次のとおりです。

(1)同一企業内において、通常の労働者とパート・有期労働者(以下、単に「パート等」と言います。)との間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な差別を設けることを禁止

(2)待遇差がある場合、パート等は事業主に対し待遇差の内容や理由等の説明を求めることができ、事業主は説明義務を負う。なお、比較対象とする「通常の労働者」は、事業主が選定する。

待遇差を設けることそれ自体を禁ずるものではありませんが、不合理な差別はいけません。しかし、何が不合理にあたるかの判断はなかなか難しく、これまで多くの訴訟がありました。昨年10月には、相次いで5本の最高裁判決(大阪医科薬科大事件、メトロコマース事件等)が示され、今後はこれらを参考に検討することとなります。

A2.具体的な決定方法はこのように考えればいいでしょう

(1)先ずは、比較対象とする「通常の労働者」の選定です。業務内容、責任の程度、職務内容・配置変更の範囲等がパート等と同じか又は最も近いと考えられる社員を選定します。

(2)次に、手当や制度等の検討です。選定した社員に支給している各種手当、適用している各種制度等を洗い出すとともに、それぞれの支給理由、制度等の意図や趣旨等を確認します。

(3)(2)を踏まえて、パート等へどの手当を支給するか・しないか、どの制度等を適用するか・しないかを決定します。

一般的な手当の例として、通勤手当、住居手当、扶養手当等が挙げられます。このうち通勤手当は、それが通勤費用補填又は実費弁済の趣旨であれば待遇差は不合理、との判断が判例等で定着しています。また、住居手当や扶養手当の場合、それらが、持ち家か賃借か、扶養は何人か等、従業員の実際の経費負担の状況を問わずに一律に支給されていれば、職務内容等とは関係のない単なる福利厚生又は生活保障の趣旨と考えられ待遇差は不合理、との判例が主流です。

次に、制度等の適用についてです。例えば、私傷病による休職制度の適用に待遇差を設けることについて、最高裁判決は「正社員が長期にわたって継続して勤務することが期待されることから、私傷病の療養に専念させることを通じて、その継続的な雇用を確保すること」は不合理にあたらない、と述べました。そうすると、継続勤務を期待しないフルタイムの有期契約労働者との待遇差は不合理にあたらないが、無期契約労働者であればそれが極めて短時間のパート勤務であっても休職制度を適用しないと不合理とされるのかと言えば、必ずしもそうはならないと考えられます。要は、手当・制度の意図や趣旨、支給又は適用の実態等によって、待遇差は不合理にも合理的にもなり得る、ということです。したがって、何のための手当や制度なのか、今一度確認することが大切となります。

最後に、賃金です。賞与・退職金を含む賃金について、最高裁判決は労使自治や経営裁量を尊重する姿勢です。特に、有為な人材の獲得・定着を図る目的で、長期雇用を前提とする正社員にのみ賞与や退職金を支給することは不合理にあたらないと述べています。

 

協会けんぽ千葉の保険料率が変わります

令和3年3月分(4月納付分)から、保険料率が一部改定されます。協会けんぽに納付する健康保険料料率、介護保険料率が上がり、4月支給の給与からは変更後の料率で天引きします。千葉県においては次のとおりです。

 

    旧

新(令和3年3月分~)

健康保険料料率

9.75%

9.79%

介護保険料率

1.79%

1.80%

11.54%

11.59%

厚生年金保険料率、労災保険料率及び雇用保険料率は変りません。なお、64歳以上の雇用保険被保険者の保険料免除は、令和2年3月で終了していることにご注意ください。

 

令和3年3月から一部の医療機関でマイナンバーカードが健康保険証として使用できます

令和3年3月から、オンライン資格確認を導入している医療機関・薬局で、マイナンバーカードを健康保険証として利用できます。そこで、事務担当者として知っておきたい注意点をお知らせします。

(1)マイナンバーカードを持っているからといって、それが自動的に健康保険証として利用できるわけではありません。従業員本人が、あらかじめマイナポータル(内閣府が運営するポータルサイト)を経由して事前に利用申込みをする必要があります。

(2)また、全ての医療機関・薬局で利用できるわけではありません。厚生労働省によれば、令和3年3月から利用可能な医療機関等は、令和2年12月時点で全体の20.3%です。当分の間は、健康保険証と並行して使用することとなります。したがって、マイナンバーカードの健康保険証としての利用を申請した従業員の健康保険証は、未だ回収できません。

(3)一方、新たに入社する従業員が、既にマイナンバーカードを健康保険証として利用していても、従来どおり「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」の提出など、健康保険証の発行手続は必要です。要するに、担当者の実務は変わりません。

政府は、令和5年3月末には概ね全ての医療機関等で導入を目指すとして、マイナンバーカードを読み取るカードリーダーを無償配布するなど支援に取り組んでいます。しかし、システム改修に係る経費や手間等から、一気に進んではいないのが現状です。

ここで改めて、マイナンバーカードを健康保険証として利用することには、どんなメリットがあるのでしょう?厚生労働省は、次の6点を挙げています。

〇 就職・転職・結婚・引越ししても、健康保険証の発行を待たず、保険者での手続が完了次第、医療機関等の利用が可能になる。

〇 顔認証付きカードリーダーを利用すれば、医療保険の資格確認・本人確認及び受付を一度にできるので、医療機関等の事務処理の効率化が期待できるとともに、対人接触を最小限にできる。

〇 限度額適用認定書がなくても、高額医療費制度における限度額以上の支払が免除される。

〇 マイナポータルで自分の特定検診情報、薬剤情報及び医療費情報が確認することができる。

〇 マイナポータルからe-TAXに連携することにより、医療費領収証の保管・管理が不要になるとともに、所得税の確定申告における医療費控除手続がオンラインで完結できる。

〇 薬剤情報や特定検診情報を、本人の同意を得た上で医師等に提供し共有することにより、より良い医療を受けることができる。

なお、今後も、電子処方箋の仕組み構築や、医師等と共有できる情報は一層拡大させるなど、順次マイナンバーカードの機能強化を図るとしています。

 

 

短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律に基づき、令和3年4月1日以降、中小事業主にも有期労働者等と正社員との間で同一労働・同一賃金が求められます

パート及び有期雇用労働者と正社員との間で、職務の内容や当該職務内容及び配置の変更の範囲及びその他の事情を考慮して、待遇に不合理な差を設けることが、中小事業主に対しても禁止されています。

不合理か否かの判断はなかなか難しいのですが、旧労働契約法第20条に関する過去の判例を参考にすると、手当についてパート及び有期雇用労働者と正社員との間に差を設けた場合、不合理な差別と判断されるケースが多いようです。例えば正社員に支給する通勤手当や住宅手当を、パート及び有期雇用労働者には支給しない場合等です。一方、賞与や退職金については、事業主の経営判断上の裁量部分が大きいとされ、不支給でも直ちに不合理とはなりません。仮に待遇に格差を設けている場合は、その理由を具体的かつ明確に説明できるよう準備することが大切です。

 

高年齢者雇用安定法に基づき、令和3年4月1日以降、70歳までの雇用又は就業を確保することが努力義務となります

企業の規模に関わらず、全ての事業主の努力義務として、70歳までの雇用又は就業を確保する措置を設けることが求められます。具体的には、①定年の引上げ ②65歳以上70歳までの継続雇用制度導入 ③定年の定めの廃止 ④創業支援制度等 が挙げられ、それらの中では②を選択するケースが多いと予想されます。ただし、採用する者の基準は事業主が任意に定めることができます。希望したからといって、全員を継続雇用する必要はありません。

 

育児・介護休業法(育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行 う労働者の福祉に関する法律)改正(令和 3 年 1 月 1 日施行

育児・介護休業法(育児休業・介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)は、子の看護休暇及び介護休暇について、次のように定めています。

(1)小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員は、負傷し、又は疾病にかかった子の世話をするために又は、予防接種や健康診断を受けさせるために、年次有給休暇とは別に、子が一人の時は1年間に5日、二人以上の場合は10日を限度として取得することが出来る。

(2)要介護状態にある家族の介護その他の世話をする場合、介護を要する家族が一人の場合は1年間につき5日、二人以上の 場合は10日を限度として、年次有給休暇とは別に、介護休暇を取得することが出来る。

これまで休暇の取得単位は、1日又は半日でした。施行日以降、時間単位の取得が可能となります。なお、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は、そもそも子の看護休暇及び介護休暇を取得できませんでしたが、法改正により休暇の取得が可能になります。その結果、子の看護休暇及び介護休暇の取得ができない労働者は、労使協定で定めた場合を除くと、次のとおりです。

① 入社6カ月未満の従業員

② 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

ところで、時間単位の休暇については、法令上、就業時間中の取得(いわゆる中抜け)はできません。中抜けを認めるためには、労使協定の締結が必要なことにご注意ください。

Q.従業員から副業の申出がありました。就業規則に則り拒否してもよいですか?

卸売業を営んでいます。従業員は20名。所定労働時間は一日7時間。休日は土曜・日曜。週の所定労働時間は35時間と定めています。さて、当社は就業規則において、従業員の副業・兼業を禁止しています。ところが、ある従業員から会社の休日にコンビニで働きたいとの申出がありました。子どもの学費の足しに、少しでも多く収入を得たいという理由です。就業規則どおりに拒否したいのですが、法的に問題はありますか?

 

A.就業規則を根拠として一律に拒否することは困難で、事案ごとに検討・対応する必要があります

厚生労働省・労働政策審議会安全衛生分科会の「副業・兼業に関する事業所調査結果(令和2年7月31日)」によれば、正社員の副業・兼業について、「医療・福祉」を除き、「認めていない」と回答した事業所の割合は「認めている」とした事業所を上回ったのに対して、非正規社員については、「複合サービス業」を除き、「認めている」事業所が「認めていない」事業所を上回りました。実際に副業・兼業を行っている労働者は、正社員・非正規社員全体で9.7%、希望する労働者は年々増加傾向とされています。

一方、判例等を見ると、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的に自由であることから、会社が就業規則に則り 副業・兼業を認めないときは不法行為が成立するとして、損害賠償を命じた事例があります(東京都私立大学教授懲戒解雇事件(平成19年東京地裁)、マンナ運輸事件(平成24年京都地裁)。

また、厚生労働省のモデル就業規則は、労働者の副業・兼業を認める規定を定めています。

こうした中、厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン(平成30年1月策定)」が令和2年9月に改訂されました。

〇 副業・兼業における労働者のメリット

・離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることで、労働者が主体的にキャリアを形成することができる。

・本業の所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる。

・所得が増加する。

・本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる。

〇 企業のメリット

・労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得できる。

・労働者の自律性・自主性を促すことができる。

・優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する。

・労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる。

ディメリットについての記述は、ガイドライン上ありませんでした。私見では、メリットは労働者に大きく、企業にいささか小さいとも感じます。皆さんはいかがでしょうか?

なお、同ガイドラインは、例外的に副業・兼業の禁止又は制限が認められる場合として、次の4つを示しています。

①労務提供上の支障がある場合 ②業務上の秘密が漏洩する場合 ③競業により自社の利益が害される場合 ④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

司法面・行政面において、労働者の副業・兼業を原則肯定する方向にある中、就業規則の副業・兼業禁止規定を根拠に一律に拒否することは、もはや困難です。従業員が希望する副業・兼業の内容等を具体的に確認した上で、上記①~④のいずれにも該当しないのであれば、認めざるを得ないと考える次第です。

 

最低賃金が改正されます

首都圏における新たな最低賃金と引き上げ額は次のとおりです。

都道府県名

最低賃金(引き上げ額)

発効年月日

千葉県

925円(2円)

令和2年10月1日

東京都

1,013円(0円)

埼玉県

928円(2円)

神奈川県

1,012円(1円)

最低賃金法が施行されたのは、昭和34年(1959年)4月1日のことです。法律に基づいて賃金の最低限度額を定め、労働者に対し、その額以上の賃金支払を使用者に義務付ける制度です。仮に、労働者、使用者双方の合意の下に、最低賃金より低い賃金を定めても無効であって、使用者は最低賃金との差額を支払わなければなりません。民法に定める契約自由の原則の例外であり、強行法規又は強行規定と呼ばれるものです。違反した場合、最低賃金法により50万円以下、及び労働基準法により30万円以下の罰金を課せられることがあります。

最低賃金は、国の中央最低賃金審議会が示す引き上げ額を目安に、都道府県の地方最低賃金審議会から地域の実情を踏まえた審議・答申を得、異議申出に関する手続を経て、厚生労働省都道府県労働局長が決定します。国・地方とも、審議会は公益代表・労働者代表・使用者代表、それぞれ同数の委員により構成されます。

安倍首相の「全国平均1,000円の最低賃金を目指す」との方針の下、近年は3%前後の引き上げが続いていました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響による雇用・経済の厳しい状況に鑑み、今年度、中央最低賃金審議会は目安を示さず、地方審議会に判断を委ねました。その結果、引き上げ額は1円~3円と、リーマンショック後の平成21年以来の低水準となっています。北海道、東京都、岐阜、京都、大阪、広島、山口の7都道府県が引き上げを見送った反面、若年層の流出を防ぐ観点等から、東北や山陰、四国、九州の各県が2円~3円引き上げているのが注目されます。また、改定後の最低賃金の全国平均は902円と、1円のアップにとどまりました。

最低賃金を満たしているか確認する方法を、千葉県を例に示します。

〇 正社員(週40時間勤務)の1カ月の給与=基本給+手当

これが、163,818円(925円×177.1時間)を下回っていると、最低賃金を満たしていない可能性があります。なお、計算の際には、次の手当は含まれないことにもご注意ください。

(1)精皆勤手当 (2)通勤手当 (3)家族手当 

(4)時間外、休日労働の割増賃金、及び深夜労働手当

 

労働者災害保険法が改正されました(令和2年9月1日施行

近年、政府は、労働者の副業・兼業を促しています。年々増加傾向にある副業・兼業に従事する労働者の労災補償を手厚くする観点から、労働者災害保険法(以下、「同法」と言います。)の改正が行われました。

同法第1条において、副業等に従事する労働者を、「事業主が同一人でない二以上の事業に使用される労働者(『複数事業労働者』)」と定義づけ、それらの業務上及び通勤途上の被災を対象として、複数事業労働者(以下、単に「同」と言います。)療養給付、同休業給付、同障害給付、同遺族給付、同葬祭給付、同傷病年金、同介護給付の各制度を新たに設けました。

改正の重要なポイントとして、保険給付額の算定方法の見直しが挙げられます。これまで、二以上の事業に使用される労働者が、労災により給付を受ける際の補償額は、被災事業のみの賃金をベースに算定していました。改正後は、被災事業と非被災事業、それぞれの賃金額を合算して算定します。仮に三の事業に従事する労働者であれば、三の事業それぞれの賃金額を合算します。

こうしたことから、二以上の事業に使用される労働者が労災給付の申請を行う場合、事業主の証明は被災事業場が、平均賃金算定内訳は使用している事業場それぞれが作成することとなります。

 

厚生年金保険法の改正について

厚生年金保険法の規定に基づき、令和2年9月から厚生年金保険の標準報酬月額の上限が変更になります。従前の標準報酬月額の上限等級(31級.62万円)の上に1等級が追加されることにより、次のとおり上限が引き上げられます。

【改正前】

月額等級

標準報酬

月額(円)

報酬月額(円)

保険料(円)

全額

(18.3%)

被保険者

負担分

(9.15%)

第31級

620,000

605,000以上

113,460

56,730

 

【改正後】

月額等級

標準報酬

月額(円)

報酬月額(円)

保険料(円)

全額

(18.3%)

被保険者

負担分

(9.15%)

第31級

620,000

605,000以上

635,000未満

113,460

56,730

第32級

650,000

635,000以上

118,950

59,475

 

今回の改正に伴い、改正後の新等級に該当する被保険者の方がいる事業主に対して、令和2年9月下旬以降、日本年金機構より「標準報酬改定通知書」が送付されます。

なお、標準報酬月額の改定に際して、事業主からの届出は不要です。

(出典:日本年金機構 令和2年7月20日)

7月の算定基礎届で第31級の決定を受けた方が、第32級に該当した場合は、10月支給の給料から保険料が変更になります。事務処理に誤りのないよう、改めてご注意をお願いいたします。

 

高年齢就業者に係る改正社会保険労働関係法令が施行されます

令和3年度以降、60歳以上の高年齢就業者に係る様々な社会保険労働関係法令の改正が施行されます。主なものは次のとおりです。

(1)令和3年4月施行

高年齢者雇用安定法の改正により、事業主の努力義務として、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年廃止、労使同意した上で雇用以外の措置を講ずることなど、70歳までの就業支援が求められます。

(2)令和4年4月施行

① 雇用保険法の改正により、複数の事業主に雇用される65歳以上の労働者に雇用保険が適用されます。

② 厚生年金法の改正により、

・ 60歳から64歳に支給される在職老齢年金の年金支給停止基準が、28万円から47万円に引き上げられます。

・ 65歳以上に支給される在職老齢年金は、現在は退職時まで改定されませんが、毎年改定されることとなります。

・ 現在60歳から70歳までの間で選択できる年金受給開始時期が、60歳から75歳までの間に拡大されます。なお、国民年金法の改正により、国民年金でも同様に拡大されます。

(3)令和7年4月施行

 厚生年金法の改正により、60歳時に比べて賃金が75%未満に低下した被保険者に対し、低下率に応じて支給されている高年齢雇用継続給付金が縮小されます。

 

65歳から70歳までの高年齢者就業確保措置について

高年齢者雇用安定法に基づく高年齢者就業確保措置については、労働者側の希望を前提に65歳以上の就業確保を義務付けた平成24年改正が、大きな節目でした。当時は60歳で定年を迎えれば、完全引退が普通でした。ところが、年金支給開始年齢の65歳への引上げに伴い、賃金から年金への移行に空白が生じることとなり、65歳までの雇用が事業主に課されたのです。改正当時は、労使協定により制度適用対象者の基準を定めることが可能でしたが、翌年には、原則、希望者全員を65歳まで雇用しなければならないとされました。それから10年足らずの令和3年4月1日以降、努力義務とはいえ、事業主には70歳までの雇用確保が求められます。

改めて改正内容を整理すると、次のとおりです。

(1)70歳までの定年引上げ

(2)70歳までの継続雇用制度の導入

(3)定年廃止

(4)過半数組合又過半数代表者の同意を得た場合、次の制度を導入することができます。

① 高年齢者が希望するとき、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度

② 高年齢者が希望するとき、70歳まで継続的に、事業主が自ら実施する社会貢献事業か又は事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う貢献事業に従事できる制度

ただし、(4)の諸制度を導入できる事業主は限られると考えます。平成24年改正の際の実態からも、(2)70歳までの継続雇用制度の導入 が大半となりそうです。努力義務からのスタートですが、70歳までの雇用が義務となる日は遠くないかもしれません。

 

MENU

ごあいさつ
プロフィール
当事務所の理念
事業主様へ
アクセス
  プライバシーポリシー
業務のご案内
労働・社会保険全般
  労働・社会保険手続
  給与計算代行
  特別加入手続代行
新規適用手続代行
就業規則、社内規程
労務管理、労務監査
助成金等
起業家の方、応援
料金のご案内
お役立ち知識
法令改正情報
テーマ別・社会労務
ダウンロード
らくらく診断
お問い合せ
ブログ

MTBlog50c2BetaInner

MovableType(MT)テンプレート 無料(フリー)
Powered by Movable Type 5.2