2013年6月アーカイブ

労働基準監督署は、なにをしているの?

労働基準監督署は、厚生労働省の各都道府県労働局の管内に数か所設置する出先機関です。都道府県労働局は、主に厚生労働省労働基準局の指揮監督の下に、管内の労働基準監督署を指揮監督しています。

労働基準監督署は、労働基準法等に定める監督行政機関として、管轄内の事業場の労働条件及び労働者の保護に関する監督を行います。略して、労基署、または監督署などとも呼ばれています。

 

労働基準監督(官)署の権限は?

労働基準監督署に所属する労働基準監督官(以下「監督官」と言います)は、労働基準に関する様々な法令を守るよう指導し、違反行為を取り締まるために、事業主や労働者に報告・出頭を命じ、立入調査を行うなどの権限が与えられています(労基法第102条)。法令違反があったとき、違反者を逮捕、送検する権限もあります。刑事事件とは異なり現行犯逮捕はめったになく、所轄の検察庁に告発した上でのことですが、監督官の調査等に従わなかった事業主等が逮捕・送検されたケースは実際にいくつもありますから、慎重、誠実な対応が必要です。

    

労働基準監督(官)署は、何をどのようにして調査するの?

労働基準監督官(署)の調査は、形式的に見ると、監督官が事業場を訪問して行う調査(「臨検」といいます)と、事業主等が労働基準監督署に出向いて行う調査があります。また、これらの調査は、その年度毎に厚生労働省労働基準局または都道府県労働局が重点取締対象と定めた業種や特定の商業施設など(新設のビル等)を対象に、管轄内から無作為に抽出して行う「定期監督」と、事業場の従業員やその家族等からの法令違反がある旨の申告等に基づいて行われる「申告監督」に区分されます。

   

調査の内容は、具体的にどのようなものがあるの?

あなたの事業場が労働基準監督署の立入調査の対象となったとき、どのような調査項目があり、また、どのような資料等をあらかじめ用意する必要があるのでしょうか。
 残念ながら、調査項目や必要資料等について、全国的に定められたルールはないと言えます。重点的に調査対象とする項目やそのための資料は、社会経済状況や地域ごとの特性等に応じて変化しているからです。
ただし、最も一般的な調査である定期監督の臨検において求められる資料としては、おおむね次のようなものがあります。また、事業主は、労働関係に関する重要な記録を3年間保存する義務がありますから(労基法第109条)、過去に遡って提出を求められることにも注意する必要があります。

資料等の名称 根拠法令
労働者名簿 労基法第107
就業規則 (※常時10以上の労働者がいる事業場) 労基法第89
出勤簿、タイムカード 労基法第109
時間外・休日労働の記録 労基法第109
賃金台帳 労基法第108
時間外・休日労働に関する協定届(36協定届) 労基法第36
1年単位の変形労働時間制を導入している場合は、労使協定および協定届の控え
 (※導入していない場合は不要)
労基法第32条の4
賃金控除に関する協定書 労基法第24
年次有給休暇を付与していることを証する記録 労基法第39
10 定期健康診断結果個人票

安衛法第66条の3

改正労働契約法のポイントは?

「労働契約法改正のあらまし」と題するパンフレットが、厚生労働省から出ています。ぜひ、ダウンロードしてください。  厚生労働省 「労働契約法改正のあらまし」へ
これは、平成24年8月1日に公布された「労働契約法の一部を改正する法律」に定める労働契約に関する基本的なルール改正について解説したものです。
その中でも、少なからぬ事業主様にとって大きな影響があると思われるのが、「無期労働契約への転換」で、平成25年4月1日から施行されました(上記のパンフレット4~7ページ)。

 

 

無期労働契約への転換とは?

使用者と雇用者との契約で雇用期間の定めがあるものを、有期労働契約といい、いわゆる期間社員、契約社員、パートタイマー等は、有期契約の雇用者にあたります。これに対し、雇用期間の定めのない無期労働契約の雇用者は、いわゆる正社員です。ただし、今日、多くの会社は定年制を定めていますから、その意味では、「正社員とは、定年までの有期労働契約の雇用者である」ともいえます。

一方、今回の法改正でいうところの無期労働契約は、文字どおりに「期間の定めのない」雇用契約です。無期労働契約の雇用者に対し、使用者の解雇権限は著しく制限されるのみならず、正社員の定年制を定めていたとしても、ただちには適用できないと解されています。

 

有期労働契約が通算5年間を超えて反復更新(くりかえし)された場合、有期契約の雇用者が使用者に対して申込を行ったときは、使用者は承諾したものとみなされます。つまり、使用者にその意思がなくとも、雇用者が申込を行えば、それを拒むことはできません。申込があったとき、現に締結している有期労働契約の満了日の翌日から、期間の定めなく労務を提供する無期労働契約があらたに成立することになります。これを、「無期転換ルール」といいます。

 

 

解雇できない?正社員よりも有利になる?

有期契約の雇用者が申込を行った後、使用者が現在締結している契約の雇用期間満了日をもって契約関係を終了させようとしたとき、すでに申込の時点で無期契約は成立しています。すると、無期雇用の「解雇」にあたることになり、それが「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合」、使用者の権利濫用として無効となります。また、満了日以前に契約関係を終了させようとすると、それは「契約期間中の解雇」ということになり、通常の解雇よりも厳しい要件が求められるので(労働契約法第17条第1項)、容易に行うことはできません。要するに、無期転換後の雇用者に対し、使用者の権限は著しく制限され、解雇したくても現実にはかなり難しくなります。

それでは、有期契約が「通算5年間を超えて反復更新」していない、したがって無期転換の申込権は発生しない、とするため、その有期雇用者を一時的に直接の雇用関係からはずし、請負や派遣の形態としたとします。それは、いわゆる偽装請負・偽装派遣であり、脱法行為にあたるものとみなされ、それらの期間、有期労働契約は継続していたとされます。

一方、有期契約の更新にあたって、無期転換を申し込まないことを条件とするなど、申込権が発生する前に、雇用者の同意の下、申込権をあらかじめ放棄させればどうでしょう。実例がまだ少ないのですが、こうした行為は、法の趣旨にもとり公序良俗に反するものとして、無効となる可能性が大きいとされています。

 

いつから、どんな準備が必要?

さて、「無期転換ルール」は、平成25年4月1日から施行とされています。それでは、「通算5年間を超えて反復更新」で申込権が発生するから、「5年以内に雇止め」をすればいいのでしょうか。

確かに、報道等を見ると、「これまで長年更新されてきた人がみな5年以内で契約を打ち切られてしまい、結果的に失業者が増える」といった論調がほとんどのようです。しかし、こうした報道等には、いくつかの大きな誤解があります。

たとえば、平成25年4月1日に3年間の有期契約を締結した雇用者が、同内容のまま契約を更新したとします。その場合、雇用者は、更新契約の発効、すなわち平成28年4月1日以降であれば、いつでも申込ができ(上記のパンフレット4ページを参照)、申込があったとき、もはや使用者は拒むことはできません。

長期安定したサービス提供が求められる事業、たとえば、介護サービス等では複数年にわたる有期契約も少なくないといわれますので、使用者は充分注意する必要があります。

そもそもの話、有期労働契約は、本来、臨時的・一時的な業務に充てるための雇用形態です。しかし、産業構造の転換が続き、不況が長期化するなか、多くの会社では、恒常的な業務のために有期契約で雇用者を雇い入れ、反復更新を重ねた末に雇止めをする、雇用の調整弁とせざるを得なかった実態があります。

今回の法改正が、いわゆる期間工問題やワーキングプア問題などを背景に、方法の適否はさておいて、それらの解決を目指していたことは間違いありません。

近年の解雇事件判例を見ると、雇止めにあたり雇用者が「雇止理由証明書」の交付を会社に求め、その内容が「雇止め基準が不明確で、実質的に無期労働契約と変わるところはなかった」とされ、または最初の更新拒否であっても、「継続雇用への合理的な期待があった」などの理由で、雇止め無効となったケースは少なくありません。

また、改正労働契約法のもう一つの大きな柱として、合理的な理由がなければ雇止めはできないとする「『雇止め法理』の法定化」があります(上記のパンフレット8ページを参照)。

こうしたことから、「まだまだ先の話である」とか、または、「5年以内に雇止めをすれば問題ない」、あるいは、「反復継続していないから、雇止めできる」などの考えは大きな間違いであって、むしろこれを契機として、有期、無期を問わず、就業規則や労働協約、個々の労働契約等を再検討するなど、自らの会社の雇用のあり方を抜本的に見直していくことが不可欠です。

 

 

 

 

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