2013年7月アーカイブ

Q.会社は、休日(業務外)にけがをして欠勤している社員に対し賃金の補償を行う必要がありますか?

  

社員が日曜日に友人とテニスをして、アキレス腱を断裂しました。病院で診察を受けた結果、全治1か月、2週間の入院治療が必要と診断され、しばらくの間会社を休むことになりました。社員が休日にけがをして休んだ場合でも、会社には賃金を補償する義務はありますか?

  

  

A.会社には、賃金等を補償する義務はありません。

  

労働者が業務上の病気やけがが原因で治療や休業をした場合は、事業主が労働者の治療費及び休業中の賃金を補償しなければなりません。ただし、実務上は、労働者が、事業主が加入している国の労災保険に請求をし、労災保険から補償を受けることがほとんどです。 

一方、休日や業務以外に起きた病気やけがに対する治療費や賃金の補償は、事業主に義務づけられてせん。したがって、労働者が業務以外で病気やけがの療養のため、長期休業をすることになった場合には、賃金が喪失または減少することになります。

そのような事態が発生したとき、健康保険には被保険者の所得を保障するための制度があります。賃金の補てんを目的に給付される「傷病手当金」です。傷病手当金についてご説明しましょう。

  

  

傷病手当金の給付を受ける条件はなんですか?

 

傷病手当金は、次の4つの条件に該当した場合に給付を受けることができます。

(1)業務外の病気やけがの療養のため休んでいること。

(2)今までの労務に就けない状態であること。

(3)待期(法令上、「待機」ではなくこの字を使います)期間が完成していること。

(4)健康保険の被保険者であること。

 

待期期間とはなんですか?

 

待期期間とは、けがや病気のため労務に就けない状態にある日のことを言い、その日が連続して3日間になると待期期間が完成します。例えば、連続して2日間休んだ後、3日目に出社して労務に就けば、待期期間は完成しなかったことになります。

待期期間は、その期間が有給か無給かを問わず、祝日や休日も含みます。つまり、休日にけがをしてその日に医師の診察をうければ、休日でも待期期間の1日目になります。
 

傷病手当金.jpg

(出所:協会けんぽホームページ)

 

傷病手当金はいつから、いくら支給されますか?

 

傷病手当金は、1日につき被保険者の標準報酬日額の3分の2に相当する額が、休業4日目から支給されます。標準報酬日額は、標準報酬月額の30分の1に相当する額です。また、給与の支払があって、その給与が傷病手当金の額より少ない場合は、傷病手当金と給与の差額が支給されます。

  

 

いつまでもらえますか?

 

傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヵ月です。これは、1年6ヵ月分支給されるということではありません。1年6ヵ月の間に仕事に復帰した期間があり、その後再び同じ病気やけがにより仕事に就けなくなった場合、復帰期間は1年6ヵ月に算入されます。また、支給開始後1年6ヵ月を超えた場合は、依然として仕事に就くことができない場合であっても、傷病手当金は支給されません。

傷病手当金2.jpg

(出所:協会けんぽホームページ)

 

 

手続の方法を教ええてください

 

事業場を管轄する全国健康保険協会支部(協会けんぽ)または加入している健康保険組合に、「健康保険傷病手当金支給申請書」を提出します。申請書には、医師の証明と署名・押印が必要です。

また、初回申請分には休業した期間を含む賃金計算期間とその期間前1カ月分の賃金台帳と出勤簿の写しを添付しなければなりません。

書類の保存期間

 Q.書類の保存期間は?

前任者が退職したために、総務担当を引き継ぐこととなりました。ところが、会社の書庫を見たところ、健康保険や雇用保険関係、税務関係等の書類が過去何年分も山積みになっています。

この機会に書類を整理したいのですが、処分してもいい書類と必要な書類の判断がつかず困っています。どのような基準で整理したらいいでしょうか?


 

A.書類には、法律で保存期間が定められているものがあります

会社の書類の中には、社会労働関係や税務関係など、法律で保存期間が定められているものがあります。それらについては、次の基準で整理保存する必要があります。

   

 

労働基準法関係

書類名・区分等

保存期間

根拠法令

労働者名簿

3年

 

 

 労働基準法第109条

 

賃金台帳

 雇入れに関する書類

 解雇に関する書類

 災害補償に関する書類

 その他労働関係に関する書類

 

 

 

健康保険、雇用保険、徴収法関係

書類名・区分等

保存期間

根拠法令

労働保険料の徴収に関する書類

3年

労働保険徴収法規則第70条

健康保険、厚生年金保険に関する書類

2年

健康保険法規則第34条、厚生年金法規則第28条

雇用保険に関する書類

2年

雇用保険法規則第143条

雇用保険の被保険者に関する書類

4年

雇用保険法規則第143条

  

 

 

安全衛生法関係

書類名・区分等

保存期間

根拠法令

健康診断個人票

5年

安全衛生法規則

第51条

労災保険に関する書類及び各種労働安全に関する委員会の議事録等

3年

安全衛生法規則

第23条

 

 

法人税法関係

書類名・区分等

保存期間

根拠法令

帳簿        

7年

法人税法規則第59条

決算関係書類   

現金・預金の入出金関連

有価証券取引関連

その他

棚卸資産の入出庫関連書類

50年以上正しいものとされてきた行政解釈をくつがえす判決が最高裁判所でありました。

今後、制度運用の一部修正が必要です。

 

 

八千代交通年次有給休暇請求権訴訟

  

埼玉県のタクシー会社(八千代交通)の労働者が、平成19年5月に普通解雇されたことの不当性を争ったことが発端です。

解雇について、平成21年7月のさいたま地裁判決、同年8月17日の東京高裁判決は、いずれも「解雇無効」としました。

労働者はその後職場復帰し、解雇期間中も含めて年次有給休暇を請求しました。しかし、会社は請求を認めず、労働者が年次有給休暇とした日を欠勤として処理しました。

不就労分の賃金カットと年次有給休暇がないことを通知された労働者が年次有給休暇の請求権について争ったのが、今回の裁判です。    

      

何が争点となったのか?

     

年次有給休暇を付与する要件は、法律に定められていますが(労働基準法第39条)、その一つとして「働くべき日の8割を出勤していること」があります。

それでは、不当解雇により労働者が働くことのできなかった期間は、「働くべき日」に含まれるのでしょうか?ここが裁判の主な争点となりました。

会社側の主張は、「働くべき日に含まれない」。一方、労働者側の主張は、「働くべき日に含まれ、かつ、労働した日として数える」というものでした。

さて、労働基準法を所管する厚生労働者(旧労働者)の見解(行政解釈)は、昭和33年以来、「使用者の責任により休業させた日は、働くべき日並びに出勤した日に含まれない」と捉えるのが正しいというもので、会社側の主張どおりです。

したがって本件の場合、不当解雇期間中の2年間は、働くべき日にあたらず出勤した日は0になるので、会社に有給休暇を付与する義務はないことになります。          

  

無効な解雇期間は「全労働日」である

 

本年6月6日の最高裁判決(最高裁第一小法廷、金築誠志裁判長)は、「無効な解雇期間は、出勤率の算定にあたっては出勤日数に算入すべきもので、

『全労働日(働くべき日並びに出勤した日)に含まれるもの』にあたる」と判示しました。

不当解雇期間中の2年間は働いた日とカウントされ、労働者の年次有給休暇請求権が認められました。50年以上にわたり運用されてきた行政解釈が、修正を求められることとなったのです。        

   
   

判決のポイント

 

今回の判決のポイントは、「使用者の責任により休業させた日」を次の2つの観点から区分したうえ、それぞれ異なる取扱いを求めたことと言えるでしょう。

 

1、不可抗力や使用者の経営・管理上の障害による休業

(客観的不就労日)

 

2、不当解雇のように正当な理由もなく使用者が就労を拒否

(主観的就労日)

 

1、の場合は、今までどおり働くべき日及び出勤した日から除外し、

2、の場合は、含める 

ことになります。

 

参考条文

年次有給休暇(労働基準法第39条) 使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務した全労働日の8割以上出勤した労働者に対して継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。(以下略) 

 

 

社会保障関係の法改正

厚生年金の保険料率が上がります

(平成25年9月分(10月納付分から))

 

 

 

平成24年9月~

平成25年8月

平成25年9月~

平成26年8月

厚生年金保険料率

(一般)

16.766%

(折半8.383%)

 

17.120%

(折半8.560%)

 

標準報酬月額が30万円の人を例にすると、年間で保険料が12,744円上がり、個人の負担分(労使折半なので約半額)は年間6,372円となります。

また、保険料率は毎年0.354%ずつ引き上げられ、平成29年度以降は18.300%で固定されることとなっています。(平成16年改正)

10月支払の給料から変更後の金額が徴収されます。

 

 

産休中の保険料が免除になります

(平成26年4月から)

 

現在は、産休(出産前42日から出産後56日まで)の間、社会保険料を労使ともに負担しています。

平成26年4月からは、労使ともに保険料が免除されることとなります。

 

 

年金額が引き下げられます

(平成25年10月以降から)

 

 

 

平成25年4月~9月

平成25年10月~

老齢基礎年金(満額)

786,500円

(月額65,541円)

778,500円

(月額64,875円)

厚生年金【夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額】

※1

2,771,300円

(月額230,940円)

2,743,100円

(月額228,591円)

配偶者加給年金 ※2

第1子・第2子の加算

226,300円

(月額18,858円)

224,000円

(月額18,666円)

第3子以降の加算

75,400円

(月額6,283円)

74,600円

(月額6,216円)

配偶者加給年金額の特別加算    ※3

(受給権者昭和18.4.2以降生まれ)

166,900円

(月額13,908円)

165,200円

(月額13,766円)

1級障害基礎年金

983,100円

(月額81,925円)

973,100円

(月額81,091円)

 

※1 夫が平均的収入(平均標準報酬36万円)で40年間就業し、妻がその期間すべて専業主婦であった世帯が年金を受け始める水準。

※2「配偶者加給年金」とは、原則として厚生年金に20年以上加入した人が、老齢厚生年金の受給権を得た当時、年収850万円の収入を将来にわたって得られない配偶者や18歳到達年度の末日までの間の未婚の子供がいる場合に加算される年金のことです。

また、配偶者については、年収の条件の他に、年齢が65歳未満であること、厚生年金加入期間が20年未満であること、並びに自分の年金を受けていないことが条件です。

※3 配偶者加給年金額の特別加算とは、受給権者の生年月日に応じてさらに特別に加算されることをいいます。

 

Q.主人の職場のことで質問です。某企業でシステムエンジニアとして勤務しています。急なシステム変更の依頼があったとのことで、今月は、土曜日も日曜日も出勤しています。

会社は月末にまとめて休日を与えると言っていると聞きましたが、法律には、使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないと定められていたと思います。

違法ではありませんか?
 

A、4週に4日休日を与えていれば、違法ではありません

労働基準法は、法定休日の与え方について2つの方法を示しています。

1.毎週少なくとも、1回の休日を与える

2.4週間を通じ4日以上の休日を与える 

1.の方法が基本ですが、業務の都合により必要がある場合は2.の方法を採用することができ、これを変形休日制といいます。 

したがって、土日すべてを出勤日とし、月の最終週に4日まとめて休日を与えたとしても、違法には当たりません。

 

変形休日制を採用する条件は? 

さて、変形休日制を採用するには、就業規則等に4週の起算日を明記することが必要です。

就業規則の定め方としては、次のようにします。

「第○条 各週において最初に取得した休日を法定休日とする。

ただし、業務上の都合により毎年1月1日を起算日として4週間を通じて4日とすることがある。

(2) 法定休日以外の休日を所定休日とする。

 

割増賃金の計算はどうなるの?    

4週間を通して4日の休日が与えられていれば、法定休日は確保されています。先に出勤した土曜日、日曜日は法定休日出勤には該当しません。したがって土曜日と日曜日の出勤にたいして、3割5分増しの賃金は必要ありません。

ただし、土曜日、日曜日の出勤が週に40時間を超えた場合は、超えた時間から2割5分増しの割増賃金を支給します。 

なお、週に40時間を超えて労働させるには、「時間外労働に関する協定届」(36協定)を、事業場を管轄する労働基準監督署にあらかじめ届けていることが必要です。

 

今回のポイント

(1)法定休日の与え方は2通りある。 
 ① 毎週少なくとも、1回の休日を与える 
 ② 4週間を通じ4日以上の休日を与える
(2)② を変形休日制という。
(3)変形休日制は、4週の起算日を就業規則等に明記することで採用することができる。    
   
   

 

   
   

 

 

 

 

Q.当社は毎週土曜日と日曜日を所定休日としていますが、国民の祝日は休日としていません。先日、ある社員から『国民の祝日に関する法律(以下「祝日法」と言います)によれば、国民の祝日は「休日とする」と定められているので、国民の祝日に働かせるのは、法令違反ではないのですか?』との指摘を受けました。

国民の祝日を、会社として休日とする義務はあるのでしょうか?

  
  

A.国民の祝日を会社の休日にする義務はありません 

 労働基準法は、使用者に対し労働者に少なくとも毎週1日の休みを与えることを義務づけており、その休みを法定休日といいます。従って、休日は週に1日でよいのです。ところが、労働基準法の別の条文を見ると、労働者を週に40時間かつ1日8時間を超えて働かせてはならないと定めています。本来、休みは週に1日でもよいのですが、例えば、所定労働時間が8時間の事業場では、5日間働くと労働時間が40時間に達するため、結果として2日間の休みを設けなければならなくなります。これら2日間の休みは、厳密には1日が「法定休日」、残りの1日は「法定外休日」にあたります。

さて、「祝日法」は「国民の祝日は休日とする」と定めていますが、同法の通達を見ると、国民の祝日に休ませることを強制的に義務づけるものではないとしています。つまり、祝日法にいう「祝日」は労働基準法の法定休日とは関係ないということになります。従って、国民の祝日に働かせたとしても、週に1日の休日及び週に40時間の労働時間が守られていれば、法令違反にはあたりません。

 

休日に働いた時の賃金は?

 既に説明したとおり、労働基準法で義務づけている週に1日の休日を法定休日と言います。法定休日に労働させた場合は、通常の時間単価の3割5分増の賃金を支払わなければなりません。一方、法定外休日の労働に対しては、割増賃金を支払う必要はありません。しかし、法定外休日に労働した時間が、週の労働時間40時間を超えている場合は、超えた時間に対して、通常の労働時間単価の2割5分増しの賃金を支払わなければなりません.

  

休日に働かせるときの注意点は?

法定休日に労働させる場合は、あらかじめ時間外労働協定届を労働基準監督署へ提出しておく必要があります。

また、週休2日制の場合、何曜日を法定休日とするか特定する必要はありません。労働基準法の施行、解釈、運用に関する国の通達は「法定休日を特定することが望ましい」としていますが、義務ではありませんので、会社の実情に応じた対応で差し支えありません。

就業規則作成の例としては、たとえば次のように定めます。

第○条 休日は次のとおりとする。

(1)各週において最初に取得した休日を法定休日とし、法定休日以外の休日を法定外休日とする。

 

今回のポイント   (1)国民の祝日に働かせても、法令違反にはなりません。 (2)休日は週に1日でよい。(法定休日といいます)(3)法定休日に労働させるには、時間外労働協定書を労働基準監督署に届け出る必要があります。(4)法定休日の労働には、通常の時間単価の3割5分増しの賃金を払わなければなりません。  

 

 

 

 

 

 

 

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