2013年9月アーカイブ

Q.残業をさせるには、労働基準監督署長への届出が必要ですか?

私はデザイン事務所を経営し、各種印刷物のデザイン・製作やホームページの製作等を行っています。これまで家内と2人で事務所を切り回していましたが、

このところ得意先も増え注文等も多くなったので、従業員を1人雇いました。勤務は10時から19時(休憩1時間)で、ときどき残業してもらうことがあります。

先日、知人から、従業員に残業させるには労働基準監督署長への届出が必要と聞きました。

従業員は1人しかいないのに、必要ですか?

また、必要な場合、どんな届出をすればよいですか?

 

 

A.法定労働時間を超えて労働させる場合は、届出が必要です

先ずは、労働時間、残業時間とはそもそも何か、確認しましょう。

法律は「使用者は、労働者に休憩時間を除いて1週について40時間、1日について8時間を超えて労働させてはならない。」と定め(労働基準法第32条)、

限度時間の1週40時間及び1日8時間を法定労働時間(特例対象事業場※注は1週44時間)といいます。

一方、質問に「勤務は10時から19時(休憩1時間)」とありますが、これを所定労働時間といい、法定労働時間をはじめ法律に違反しない限りにおいて、使用者がそれぞれ定めることができます。

法定労働時間は、一部の事業を除き、原則として全ての事業に適用され、それを超えて労働させたとき、その分が残業時間となり、残業させる場合は労働基準監督署長(以下「労基署長」といいます)

への届出が必要です。届出を行わず労働(残業)させた場合、使用者は6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられるときがあります。

 

 

届出の内容は?

質問のように従業員が1人しかいなくても、届出を怠ることはできません。また、届出の内容は、次の2つです。

(1)労使協定(労働基準法第36条に定めていることから、36(サブロク)協定と通称しています)を結び、協定書を作成すること

(2)管轄の労基署長に時間外労働・休日労働に関する協定届(様式第9号)を提出すること

ただし、(2)の協定届(様式第9号)に労働者側が署名捺印していれば、それは(1)の労使協定書を兼ねるものとして、別途協定書を作成する必要はありません。

なお、届出とは別に、雇用契約、就業規則等において時間外労働・休日労働残業についてきちんと定めておく必要があります。

 

 

(1)の労使協定は誰と、また、何について結ぶの?

労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者と使用者とが書面(労使協定書)により協定を結びます。この場合、「労働者」とは管理監督者を含む全ての労働者である、とされていますが、派遣労働者は除かれます。派遣労働者を残業させる場合は、派遣元の労使協定に基づく必要があり、派遣先の労使協定を根拠として残業を命じることはできません。

また、協定に盛り込むべき内容は次のとおりです。

時間外又は休日労働をさせる必要のある

①具体的事由

②業務の種類

③労働者の数

④一日及び1日を超える一定の期間についての延長することができる時間と休日については日数

⑤協定の有効期間

※注:常時10人未満の労働者を使用する商業、保健衛生業及び接客娯楽業等

Q.退職後に加入できる医療保険にはどのようなものがありますか?

 

A.退職後に加入できる医療保険は、次の3つがあります。

(1)健康保険の任意継続被保険者

(2)国民健康保険の被保険者

(3)特例退職被保険者

このうち(3)は、厚生労働大臣の認可を受けた健康保険組合に加入している人が対象で、一般にはあまりなじみがないと思います(健保法附則第3条)。

この3つのほか、健康保険の被保険者の被扶養者となることもできます。生計を一にする、などの要件を満たす必要がありますが、被扶養者となれば本人の保険料負担はありません。

 

健康保険の任意継続保険者になるには?

退職前に引き続いて2か月以上、健康保険の被保険者であることが条件です。

被保険者の資格を喪失した日から20日以内に手続をすると、原則として2年間に限り、被保険者の資格を継続することができます。

手続は、健康保険組合の加入者は加入していた健康保険組合で、全国健康保険協会(通称「協会けんぽ」)の加入者は住所地を管轄する全国健康保険協会の支部(千葉県在住の場合、協会けんぽ千葉支部)でそれぞれ行います。

 

任意保険の保険料はどうなるの?

在職中の保険料は事業主と折半ですが、任意継続被保険者は全額自己負担(健保法第161条1項)なので、よく「保険料が倍になる」という言い方をします。

保険料は、標準報酬月額と保険料率によって決まりますが、任意継続の場合、標準報酬月額は退職時の額が適用され、かつ、28万円を限度としています。また、保険料率は、健康保険組合であればそれぞれの組合ごとに、協会けんぽであれば都道府県ごとに定めています。

こうしたことから、退職時の標準報酬月額が28万円を超えていたり、協会けんぽで勤め先のある都道府県と住所地の都道府県で保険料率が異なっていたりすれば、必ずしも「保険料が倍に」なるとは限りません。

 
他にも支払わなければならない保険料があるの?

日頃あまり意識することはないのですが、在職中の保険料は、40歳から64歳までの間は、医療保険料に加えて介護保険料を一括納付しています。

65歳以上になると、退職、在職にかかわらず、また、加入している保険にかかわらず、医療保険料とは別に介護保険料を保険者である市町村に納付しなければなりません。

65歳以上の介護保険料は、所得(収入)金額によって第1段階から第13段階に区分され、それぞれの段階ごとに決まります。詳しくは、住所地の市町村のホームページ等でご確認ください。

なお、被扶養者の場合、64歳までの間、介護保険料の本人負担はありませんが、65歳以上になると、被扶養者であってもその人の所得に見合った段階の保険料を別に納付しなければなりません。


 

任意継続被保険者と国民健康保険の被保険者との違いは?

給付される保険の内容はほとんど変わりませんが、保険料の計算方法やその結果負担する保険料が異なってきます。

既に述べたように、任意継続の保険料は退職時の標準報酬月額に保険料率をかけて計算します。また、被扶養者の保険料負担はありません。

これに対し、国民健康保険の保険料は、前年の1月から12月の間の家族全員(厚生年金等に加入している人を除く)の所得を合計した額に、定められた保険料率等をかけて計算します。

Q.退職予定者の年次有給休暇の請求を断ることはできますか?

 

9月末日で退職を予定している従業員が、9月1日から退職日までの期間に残りの有給休暇分を全部使いたい、と申出ました。当社は、その間に後任を決めて業務の引継をしたいと思っていましたので、休まれては業務に支障が生じます。

この場合、従業員の請求を断ることはできますか?

 

従業員には年次有給休暇の「時季指定権」があります

 

従業員(労働者)は、「○月○日に年次有給休暇をとります」として、取得日を指定する権利があり、使用者の承認は必要ありません。これを、従業員(労働者)の年次有給休暇の「時季指定権(法令上は『時期』ではありません)」といいます。

有給休暇の利用目的は自由で、就業規則等で兼業禁止の規定がない場合は、他社でアルバイトをすることも可能です。

一方、従業員(労働者)の「時季指定権」に対し、使用者側は年次有給休暇の「時季変更権」を有しています。

 

使用者の「時季変更権」とは?

 

従業員(労働者)から時季指定された日が、事業の正常な運営を妨げる場合、使用者が休暇の日にちを変更できる権利をいいます。

ただし、何をもって「事業の正常な運営を妨げる場合」にあたるとするかは、狭く解釈すべきとされています。使用者の主観的な判断ではなく、会社の規模や、職場の配置、業務内容、代行者の配置の難易度等の事情を総合的に勘案して判断する必要があり、単に「仕事が忙しい」という理由では「時季変更権」は行使できません。

こうしたことから、質問のように退職を控えた従業員が残りの年次有給休暇をまとめて請求した場合、それが「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するとしても、もはや退職日までの間に時季を変更する余地がないので、使用者は『時季変更権』を行使できないことになります。

 

 

どのような対応策が考えられますか?

 

業務の引継等、どうしても働いてもらう必要がある場合は、

①従業員と話し合い、退職日を変更してもらう

②請求を取り下げてもらう代わりに、退職時に未消化の有給休暇の日数に応じて手当を支払う

などの対応策が考えられます。

年休の買上げを予め約し、その分の日数について年収取得を認めないことは、年休の保障(労働基準法第39条)に反するものとして、違法にあたるとされています。

ただし、退職時に未消化の有給休暇や法定日数を超えて与えている年次有給休暇日数部分を買上げることは、違法にはあたらないものとされているので、②の方法が可能になるわけです。

とはいえ、こうした事態にならないためにも、使用者は日頃から年次有給暇日の計画的取得を促すこと等が大切です。

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