2014年5月アーカイブ

Q.所定労働時間を超えたとき、割増賃金を支払うと定められています。法定労働時間との違いは何ですか?

当社の勤務時間は、就業規則によれば、始業が9時で終業は17時、途中1時間の休憩時間が設けられています。また、所定労働時間を超えて労働させたときは、割増賃金を支払うと定められています。

ところで、割増賃金は法定労働時間を超えて労働させた場合に支払う必要があると聞きました。

労働時間に所定と法定と二通りの表現があるようですが、所定労働時間と法定労働時間との違いは何ですか?

 

A.所定労働時間は使用者が任意に定めた時間であり、法定労働時間は労働基準法に定められている時間です。

使用者は、労働条件の明示の一環として、労働者に対して始業の時刻と終業の時刻を示すことを義務づけられています(労働基準法第15条及び同法施行規則第5条第2項)。それらの時刻は、使用者が任意に定めることができます。使用者が定めた始業から終業までの労働時間から休憩時間を除いた時間を、所定労働時間と言います。

一方、労働時間については、労働基準法第32条において、「使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について40時間を超えて、労働させてはならない。使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について8時間を超えて、労働させてはならない。」と定められています。つまり、法定労働時間とは、労働基準法に定められた一週40時間、1日8時間の労働時間です。

先に述べたとおり、使用者は所定労働時間を任意に定めることができますが、法定労働時間を超えて定めることはできません。したがって、所定労働時間≦法定労時間となります。

なお、特別の定めがない限り、1週は日曜日から土曜日まで、1日は0時から24時までのことをいいます。

  

割増賃金を支払わなければならないのはどんなとき?

労働基準法において、割増賃金の支払を義務づけている労働は次の3つです。

(1)法定労働時間を超えた労働

(2)法定休日*の労働

(3)深夜労働(22時~5時)

したがって、就業規則等に定める所定労働時間が法定労働時間より短い場合、本来は、所定労働時間を超えて労働させても、法定労働時間を超えない限り、割増賃金を支払う義務はありません。ただし、原則として通常の労働時間の賃金を支払う必要があります。

*「法定休日」とは、労働基準法第36条に定める「毎週少なくとも一回の休日」をいいます。週休2日制を採っている会社であれば、1日は法定休日、もう1日は所定休日にあたります。

  

割増賃金の支払を「法定労働時間を超えたとき」に改めるには?

設問の会社の所定労働時間は7時間ですから、法定労働時間の8時間より1時間短く定められています。一方、所定労働時間を超えた時間は割増賃金を支払うと定められています。つまり、法律の基準を上回る労働条件であり、何ら違法ではありません。

仮に、法律の基準どおり、法定労働時間を超えたとき割増賃金を支払うように就業規則を変更すれば、労働条件の不利益変更にあたります。個々の労働者の同意を得ない限り、使用者は就業規則を変更できません。

 

待遇面の差別的取扱いが禁止される「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」の範囲が拡充されました

パートタイム労働法の適用対象は、一週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用されている通常の労働者(いわゆる正社員)と比べ、それがたとえ1分であろうと短い短時間労働者です(同法第2条)。したがって、正社員と労働時間が等しい「フルタイムパート」は、対象外であることに注意が必要です。

少子高齢化や就業構造の変化など、社会経済情勢の変化に伴い、短時間労働者の活用は多くの企業にとって不可欠です。そうした中で、同法は、次の要件を全て満たす短時間労働者は、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」にあたるとして、賃金の決定や教育訓練の実施、福利厚生等の待遇面で差別的取扱いを行うことを禁止していました(同法の旧第8条)。

(1)業務内容や責任程度(「職務の内容」)が通常の労働者と同一

(2)無期労働契約を締結しているか、又は有期労働契約であっても反復更新を重ねるなどにより、無期労働契約と同視できる。

(3)責任ある職位への登用や転勤、出向の有無など、人材活用の仕組みが通常の労働者と同一

今回の改正では、上記の要件のうち(2)が削除され、したがって、(1)、(3)の要件を満たしていれば、期間雇用労働者であっても差別的取扱いは禁止されます(同法の新第9条)。

 

職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められる待遇面の差別的取扱いが禁止されました

また、今回の改正では、「短時間労働者の待遇の原則」が、新たに定められました(同法の新第8条)。それによると、短時間労働者の待遇について正社員と異なる取扱いをする場合においては、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない、としています。

どのようなものが「不合理」にあたるかについては、法施行後の実例を見なければなりません。しかし、たとえば次のようなケースで仮に待遇面で異なる取扱いを行えば、不合理にあたるとされる懸念は大きいと思われます。

・ 短時間労働者であるが、たとえば売場の責任者などリーダーやチーフ、ないし管理監督者的な役割を委ねている。

・ 就業規則上、正社員には転勤規定があり、短時間労働者にはないが、転勤実例がないか、又は著しく少ない。

・ 上記のケースで、実際には事業場が一つしかない。又は同一の事業内容の事業場が近接した場所にあるなど、転勤規定が有名無実である。

一方、待遇面で異なる取扱いの具体的内容として、たとえば次のようなケースは許容されにくくなると考えられます。

・ 正社員には賞与制度があるが、短時間労働者にはないか、又は支給額や支給基準等が著しく異なる。

・ 正社員には退職金制度があるが、短時間労働者にはないか、又は支給額や支給基準等が著しく異なる。

・ 正社員と短時間労働者で、週休日の日数が著しく異なる。

 

待遇面の相違に対し一層厳しい目が注がれる中、就業規則に定めるにとどまらず、実態面からも、正社員と他の労働者とをきちんと区別した労務管理が求められます

昨年4月に施行された改正労働契約法は、有期雇用労働者と正社員との間に不合理な労働条件の相違を設けることを禁止しています(改正労働契約法第20条)。それを根拠として、先日、日本郵便の有期雇用労働者が年末年始手当等の支払を求める訴訟を提起し、大きな注目を集めています。

改正パートタイム労働法は、公布の日(平成26年4月23日)から1年以内に施行されます。それまでの間に、就業規則をきちんと整理しておくことはもとより、制度運用の実態面からも、通常の労働者、短時間労働者、フルタイム有期雇用者等をきちんと区別するように意識して労務管理を行っていくことが大切です。

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