2014年8月アーカイブ

Q.健康診断を受診していなかった労働者が病気になりました。使用者が責任を問われることはありますか?

当社は、従業員に対し、年に複数日を指定して会社指定の病院で健康診断を受診することを義務づけています。ところが、ある社員は指定日に業務都合等が重なった結果、ここ3年間受診していません。この間、スケジュールを調整して受診するか、人間ドック等、他の受診結果を提出するよう指導してきました。

この社員が、突然、肝機能不全を理由に休職を申し出、手続中のところ、配偶者が来社し「健康診断を受けていなかったので、病気に気づくのが遅れた。会社側の管理責任である。」と大変な剣幕です。こうした状況でも、会社側の責任は問われるのでしょうか?

 

A.受診機会を与えていれば、使用者が責任を問われることはありません

安全衛生法(以下「同法」と言います)は、事業者に労働者に特定健康診断、及び一般健康診断を行うことを義務づけています(同法第66条)。特定健康診断は、アスベスト関連など政令で定める特別な業務を対象とするので、以下、一般健康診断を前提に説明します。

結論から言うと、会社側が責任を問われることはありません。同法の前記規定を見ると、会社側の指定方法で受診するか、又は他の健康診断結果の書面提出により代えることができる旨を定めています。つまり、会社側は受診機会を与えれば足りるので、設問のケースは、こうした義務を十分に果たしたと考えられます。

なお、健康診断を実施しなかった使用者は、罰則の適用があります(同法第120条)。これに対し、受診義務を果たさなかった労働者に対して法令上の罰則はありませんが、社内秩序義務違反として懲戒処分することは可能とされています。

 

Q.健康診断の時間は、有給にすべきでしょうか?

当社の健康診断は、複数日、受診機関が来社して実施しています。

正社員の場合、勤務時間の合間に受診し、有給扱いです。また、パート社員の場合、出勤日、勤務の合間に受診すれば正社員と同じと考え、有給扱いとしてきました。

ところが、今年、たまたま受診日が出勤日にあたらないパート社員があり、当該日に受診すれば、その日を出勤日として給与を支払うよう要求されました。どうすればいいでしょうか?

 

A.法的には、有給とすべき義務はありません

特定健康診断の受診は業務命令できますが、一般健康診断はできません。したがって、一般健康診断は、業務の一部とはいえず、使用者が最低限担うべき福利厚生の一環と捉えるべきでしょう。

正社員の場合であっても、健康診断の受診時間を有給とすべき法的な根拠はありません。たとえば、社内で行う健康診断の受診は有給扱いとし、人間ドック等、他の受診機関での受診は無給(有給休暇扱いを含む)とすることも、何ら問題ありません。

設問のように、複数日、勤務日における受診機会を設けていれば、たまたまそれにあたらなかったパート社員があり、受診日を出勤日として有給扱いすることを要求されたとして、それに応える義務は、少なくとも法的にはありません。

ただし、他の受診機関における受診等の取扱いを、正社員、パート社員それぞれどうしているか等とのバランスも考慮すべきです。

こうしたことから、先ずは勤務日の変更等、可能な方策を検討することが先決と考えられます。

熱中症

熱中症と日射病は違うの?

歳がバレますが、私が子どもの頃、熱中症という言葉は聞いたことがありません。当時は、「日射病」。実は、医学上、日射病という病名はないそうです。

真夏の暑熱等による体温の上昇、大量の発汗に伴う脱水症状等、要は暑さに起因する障害全般が熱中症です。

 

今日における熱中症の分類は?

今日、日本救急医学会が採用している救急現場の臨床医向けの新たな熱中症の重症度分類は次のとおりです。

Ⅰ度 :現場で対応可能

 めまい、大量の発汗、筋肉痛や硬直等があるが意識障害なし

Ⅱ度 :速やかに医療機関への受診が必要

 頭痛、吐き気、脱力、倦怠感、集中力や判断力の低下

Ⅲ度 :採血、医療者による判断により入院が必要な状態

 Ⅱ度より重度の意識障害、肝臓又は腎臓の機能障害、播種性血管内凝固症候群のいずれか一つを満たす状態

このうち、特に重篤なⅢ度の状態を、お医者さん等が来る前に判断する目安として、けいれん・ひきつけ、手足の運動障害等や高体温状態が挙げられています。具体的は、まっすぐ歩けない、身体に触れると熱いという感触がある、等です。

日射病は、読んで字の如く、日なたにいなければなりません。一方、熱中症は、室内でも起きる症状です。

 

労災にあたる熱中症はどれくらい?

熱中症により医療機関で治療を受けた方は、昨年、全国で40万人を超えたとされています。

それらのうち、労働災害について見ると、平成10年度から24年度までの厚生労働省資料によれば、熱中症により死亡に至った労災は、年度あたり平均約20件。記録的猛暑とされた平成22年は47件と突出し、この年は休業4日以上(死亡を除く)の労災も616件と非常に多くなっています。

業種別に見ると、建設業が4分の1以上を占め、次いで製造業、運輸交通・貨物取扱業が続きます。被災労働者を年齢層別に見ると40歳代が最も多く、次いで50歳代、60歳代。労災の発生時刻は、一般的に最も暑いと言われる14時台ではなく16時台、15時台、次いで14時台であるのがやや意外な感を受けます。

 

具体的な対策は次のとおりです

対策1:適切な休憩時間、休息場所を確保!

・ 状況に応じ、「連続作業時間の短縮」「長めの休憩時間」を

・ 冷房完備又は日陰等の涼しい休憩場所を

・ 氷、冷たいおしぼり等身体を冷やせる物品を準備

・ 水分・塩分の補給ができる飲み物や塩飴等を準備

対策2:水分補給を徹底するとともに、賢い補給!

・ 渇きを感じなくても、こまめに補給。一度に大量は逆効果

・ 水分だけでなく、ミネラル(塩分等)の補給も忘れずに

対策3:作業場所の温度・湿度監視の徹底!

・ 直射日光のみならず、照り返しによる輻射熱にも注意

・ 扇風機、スポットクーラー等を準備

・ 暑さ指数(WBGT値)(気温、湿度、輻射熱を総合的に評価)による作業条件管理

 

高齢労働者には特に注意が必要です

高齢になると、暑さや水分不足に対する感覚機能や暑さに対する体温調節機能が低下します。高齢の労働者については、職場で協力して見守り、予防対策を呼び掛け合うことが大切です。

それにもかかわらず、症状が現れたときは、ただちに「涼しい場所へ移動」「着衣をゆるめ、身体を冷やす」「水分、塩分を補給」等の対応を取るとともに、ためらわず119番通報しましょう!

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