2015年4月アーカイブ

Q.法定を上回る割増賃金を支払っています。新入社員から法定内割増率を適用したいのですが?

当社の就業規則は、法定労働時間を超える労働(いわゆる超勤、残業)に対し、30%の割増率で時間外手当を支払うと定めていますが、経営環境の悪化に伴い、この優遇措置が重荷となってきました。

しかしながら、変更すれば社員の強い反発が見込まれるので、新入社員から法定割増率を適用したいと考えました。契約時に十分説明し、合意を得たうえで雇用契約を結べば問題ないでしょうか?

 

A.就業規則を下回る条件の雇用契約は無効であり、就業規則の変更が必要です。

時間外労働の割増賃金について、労働基準法第37条は、通常の労働時間の賃金の計算額の25%以上で計算した割増賃金を支払わなければならない旨を定めています。この25%が法定割増率と言われるもので、使用者が守るべき最低基準です。25%を超える割増率で支払うことは、使用者の任意の判断であり、設問の会社では、法定を超える割増率30%を就業規則において定めていました。

さて、新入社員から割増率を法定どおりの25%にすることですが、仮に十分説明し、労働者の同意を得て契約を交わしたとしても、就業規則を下回る労働条件は無効です。労働契約法第12条(就業規則違反の労働契約)は、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則に定める基準による」と定めており、設問のケースはこの規定に抵触します。

したがって、使用者にとっては厳しい話ですが、就業規則を変更しない限り、新入社員に対しても30%の割増率を適用しなければなりません。

 

就業規則の変更はどのようにすればいいですか?

仮に、現在の社員は割増率30%、新入社員は割増率25%を適用するとして、就業規則を変更する場合の具体例は次のとおりです。

第○条 平成○年○月○日以降採用の者については、時間外労働の割増率を25%で計算する

と新しく条文を付け加えます。既定の就業規則において時間外労働の割増率を定めている条文に枝をつける(第○条の2)やり方や、当該条文にただし書き(ただし、平成○年○月○日以降採用の者については...)を付加する等のやり方も可能です。

しかし、より長い目で見たとき、一つの会社の中で時間外労働の割増率に差を設けることは、望ましいとは言えません。法令上、法定割増率さえクリアすれば、極端な話、社員一人一人で割増率が異なっても違法ではありません。けれども、それでは事務処理が煩雑になるばかりでなく、社員の間に不公平感が生じ、モラールダウンにもつながります。

全ての社員に経営環境が厳しいこと、現在の割増率は法定を上回る基準で、経費節減のためその引き下げが不可避であることを十分に説明し同意を得た上で、割増率を法定割増率どおりか、または法定割増率と現在の割増率との中間等とするよう就業規則を変更するのがベストです。直ちに引き下げることが難しい場合は、段階的に引き下げたり、一定の時間をおいた後に引き下げたり等の経過措置も講じる必要があります。いずれにしても、時間外労働の割増率は、全社的に統一することが大切です。

いったん法定を超える措置を設け、後日に法定基準まで引き下げることは、労働条件の不利益変更にあたり容易ではありません。こうしたことから、就業規則の作成にあたっては、それらの点を踏まえた慎重な検討が重要です。また、優遇措置を講じるときは、時間外手当等の固定的経費ではなく、経営状況を反映させやすい一時金等の方法を優先すること等も考えるべきでしょう。

Q.採用後間もない社員を服務規律違反で解雇するとき、解雇予告手当は必要ですか?

当社は、新規採用者について、入社後3か月間は試用期間としています。一方、中途採用者は、前職での実績等を考慮した上で、試用期間を設けない場合もあります。

この度、試用期間を設けずに採用した社員が、入社早々に遅刻を繰り返しました。過去にそうした事例はなく、今後とも何らかのトラブルを発生させるのではないかと懸念されたため、入社から一週間後に即日解雇しました。

この場合、解雇予告手当は必要ですか?

 

A.解雇予告手当を支払う必要があります。

労働基準法第20条は、「使用者は労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。」と定めています。

つまり、従業員を解雇する場合、30日前までに解雇の予告をすることが原則です。予告が30日前までに間に合わなかったときは、代償として、間に合わなかった日数分の解雇予告手当を支払いなさい、という趣旨です。したがって、労働者を即日解雇する場合は、平均賃金の30日分を解雇予告手当として支払わなければなりません。

一方、次の人には、解雇予告手当を支払うことなく即日解雇ができるとされています。

(解雇予告の除外)労働基準法第21条

① 日日雇入れられる者

② 2箇月以内の期間を定めて使用される者

③ 季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者

④ 試の試用期間中の者

つまり、有期契約で雇用期間の短い人、及び試用期間中の人については、即日解雇する場合であっても、解雇予告手当の支払いは必要ありません。

言い換えれば、解雇予告手当支払の要不要は、その社員が上記の①~④に該当する者がどうか次第ということになります。

さて設問の場合ですが、当該社員には試用期間がありませんでした。したがって、解雇予告の支払除外者に該当しません。

試用期間を設けなかったばかりに、1週間しか勤務していない社員に別途30日分のお金を払わなければなりません。なんとも不合理なようにも思えますが、法令上仕方がありません。

 

試用期間中であれば、解雇予告手当の支払いは不要ですか?

それでは、試用期間中の社員であれば、いつの時点で解雇しても、解雇の予告及び解雇予告手当の支払は必要ないのでしょうか?

労働基準法第21条(解雇予告の除外)第1項のただし書は、「解雇予告の除外は、試しの試用期間中の者が14日を超えて引き続き使用されるに至った場合においては適用しない。」と定めています。すなわち、試用期間が2週間を過ぎた時から、解雇の予告及び解雇手当の支払が必要になります。

こうしたことから、企業側としては次のような防衛策を講じておくべきでしょう。

(1)新規採用者には、必ず試用期間を設けること

(2)試用期間中の者を解雇する場合は、必ず採用後2週間以内に行うこと

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