2015年5月アーカイブ

Q.今後、公共職業安定所が求人を受け付けない場合が生じると聞きましたが?

当社は、パート社員等の求人の際、公共職業安定所(ハローワーク)を利用しています。

先日、今後はハローワークが求人申込みを受け付けない場合があると聞きました。どんな場合、受け付けてもらえなくなりますか?

 

A.法令違反を年間2回以上繰り返す等の行為があった場合、ハローワークは求人申込みを拒否できることになりました。

職業安定法第5条の5は、「公共職業安定所及び職業紹介事業者は、求人の申込みはすべて受理しなければならない。」と定めています。また、同条のただし書においては、「申込みの内容が法令に違反するとき等はその申込みを拒否できる」とも定めています。

「申込みの内容が法令に違反」とは、労働時間の設定が法定労働時間の一日8時間、週40時間を超えている、休憩時間が法定時間より短い、賃金が最低賃金以下である等、申込みの労働条件がそもそも法令を遵守していない場合です。つまり、これまでもハローワークが求人の申込みを拒否することはあり得ました。

ところで問題となるのは、適法な労働条件で求人し、採用後にその条件とかけ離れた劣悪な労働を強いる企業の存在です。若者を中心に大量採用し使い捨てのように取り扱う、いわゆるブラック企業は後を絶ちません。一方、就職活動中に抱いたイメージと現実とのギャップ等を理由として、新卒採用の若者が入社後3年以内に離職する割合は3割以上にも上っています。

こうした社会経済状況を背景に、若者の適切な職業選択を支援する措置の一環として、勤労青少年福祉法の一部を改正した「青少年の雇用の促進等に関する法律」が今国会で成立しました。

それと合わせ、「求人の申込みはすべて受理しなければならない。」としている職業安定法の特例として、一定の労働関係法令違反があった求人者について、ハローワークは新卒者の求人申込みを受理しないことができるとされました。

一定の労働関係法令違反とは、具体的には残業代不払い、セクハラ等の事実があり、そのために労働基準監督署の是正勧告を年間2回以上受けた場合等がそれにあたるとされています。

 

施行はいつからですか?また、中途採用者の取扱いはどうなりますか?

「青少年の雇用の促進等に関する法律」は、本年10月1日から施行されます。ただし「一定の労働関係法令違反を理由とする公共職業安定所の求人申込み不受理」は、平成28年3月1日からです。また、不受理期間は、当該法令違反を是正するまで、及びその後の半年間とする方針です。

 ところで、法令違反企業の求人申込み不受理は、新卒者のみが対象で中途採用者には適用されません。このため効果は限定的との指摘もありますが、ハローワークから求人申込みを拒否されている等の事実は企業イメージを損ない、人材確保の上で大きなハンディをもたらします。

 

法令遵守はもとより、企業におけるコンプライアンス体制の整備等が一層重要と捉えるべきでしょう。

 

 

Q.時間外や休日であっても携帯電話をONにさせている時間は労働時間にあたりますか

当社は、損害保険会社の代理店です。事故の場合、お客様には担当者の携帯電話に直接連絡を入れてくださるようお願いしています。事故はいつ起きるか分からないので、担当者には携帯電話の電源は必ず24時間、365日、入れておくよう命じています。多いときは、月に5~6回程度、所定労働時間外に対応しています。

先日、「ビルの管理人の仮眠時間は、労働時間に該当する」とした判例があると聞きました。そうすると、当社のように、所定労働時間外や休日であっても、常に連絡が取れる状態にしている時間は、労働時間ということになるのでしょうか?

 

A. 拘束の度合いや呼び出しの頻度によっては労働時間となる

「ビルの管理人の仮眠時間は、労働時間に該当する」とした判例(大星ビル管理事件、最高裁-小、平成14.2.28判決)の内容を見ると、次のとおりです。

(1)事実の概要

ビル管理会社の従業員が、24時間勤務の内、会社から与えられた連続仮眠時間7~9時間は、労働時間にあたるとして、労働協約、就業規則所定の時間外勤務手当及び深夜手当を会社に請求した。

原告である従業員は、仮眠時間帯の外出を原則禁止され、飲酒も禁止されていた。また、仮眠時間中であっても、電話の接受や警報への対応等を義務づけられていた。

(2)判決の要旨

① 労働基準法第32条の労働時間は、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう。

② 実作業に従事していない仮眠時間が、労働基準法の労働時間に該当するか否かは、労働者が仮眠時間において、使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより、客観的に定まると言うべきである。

③ そして、仮眠時間において、労働者が実作業に従事していないというだけでは、使用者の指揮命令下から離脱しているということはできず、当該時間に労働者が労働から離れることを保障されていて、初めて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていないものと評価することができる。

 

さて、設問のケースは、どう考えるべきでしょう?

労働者が、お客様からの連絡にいつでも応じられるよう、携帯電話の電源を入れている時間は、使用者の指揮命令下にあるとも言えそうです。すると、労働時間にあたるのではないかとも考えられます。

しかし、判例との大きな違いは、場所の拘束がないこと、また、連絡があれば対応しなければならないにせよ、それ以外に行動の制約はないことです。

携帯電話の電源が入っていても、時間外や休日の行動は原則として自由であり、外出も飲酒も可能です。そうであれば、使用者の指揮命令下にあるとはいえず、労働時間には該当しないと考えられます。ただし、時間外や休日に対応している頻度が非常に多いとか、または常態化しているような場合は、労働時間と判断される可能性はありますので、注意が必要です。

 

実際に対応した時間は労働時間になります

実際に対応した時間は、「実作業に従事した時間」として、当然に労働時間にあたります。

したがって、使用者は、時間外割増賃金や休日割増賃金を支払う必要があります。

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