2017年2月アーカイブ

36協定の特別条項

Q.報道等で過剰な超過勤務に起因すると思われる過労死自殺が問題となっています。そもそも残業が月何時間を超えると、法令違反になるのでしょうか?

大手広告代理店電通の新入社員が、過剰な超過勤務が原因で自殺に追い込まれたとされ、労基署の緊急調査が入ったり社長が引責辞任をしたり等の動きが、新聞やTV等で連日報じられています。当該社員は月に105時間の超過勤務をしていたそうです。そもそも月当たり何時間以上超過勤務をさせると法令違反になるのでしょうか?

 

A. 「時間外・休日労働に関する協定」の内容を超えて残業させると法令違反にあたります

先ず結論から言うと、法令違反が生じるのは、「時間外・休日労働に関する協定」に記載している時間を超えて超過勤務をさせたときですが、その前に、「時間外・休日労働に関する協定」について確認しましょう。

労働基準法第36条において、使用者が従業員との間で「時間外・休日労働に関する協定」を締結し、労働基準監督署長に届け出ることを要件として、法定労働時間を超える時間外労働及び法定休日における休日労働を認めています。つまり、従業員に超過勤務をさせる場合には、次の三つが必要ということです。

(1)あらかじめ従業員との間で、行う超過勤務時間について協定(36(サブロク)協定。以下同じ)を結ぶこと

(2)その内容を「36協定届」に記載すること

(3)管轄の労働基準監督署長に「36協定届」を提出すること

これらを行わずに超過勤務をさせると、その時点で法令違反にあたります。

さて、36協定(届)には、従業員との間で取り結んだ超過勤務の時間並びに休日労働の時間を記載し、超過勤務は1日1か月及び1年の超過勤務時間の合計を記載します。超過勤務時間については、旧労働省告示第154号(平成10年)の別表第一にその限度が定められ、例えば1か月は45時間、1年は360時間とされています。

そうすると、36協定はこの限度時間内で結ぶ必要があるように思えますが、実は大きな抜け穴があります。簡単に言うと、36協定の中に特別条項を盛り込めば、前記の限度を超えた超過勤務が可能であり、しかもその場合の超過勤務には限度時間という考え方そのものがありません(一日24時間という物理的限度は除きます)。言い換えれば、わが国の現行の労働法令上、超過勤務時間は青天井と言うことになります。

設問の電通の場合についても、仮に、超過勤務の限度時間を105時間以上とする旨の特別条項を含んだ36協定(届)があったとすれば、一応法令違反にはあたりません。

電通のケースについて、報道以上のことはもとより分かりません。一方、少なからぬ民間企業や官公庁等において月105時間どころではない長時間労働が横行していると聞いても、むしろ驚かれる方が少ないのではないでしょうか?自殺に至った新入社員やご家族の方々は本当にお気の毒なことと思いますし、長時間労働のみならず、いわゆるパワハラにあたるような職場状況が窺えるようにも感じられました。

政府においても、今回の事件を契機として、特別条項により事実上骨抜きとなっている超過勤務の限度時間について改めて見直しが検討されるとも聞いています。働く人びとが皆尊重され、やりがいをもって仕事に励み、かつ、私生活ともきちんと両立できるような社会の実現に向けた、今年がその第一歩となるよう、祈念する次第です。

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