2017年6月アーカイブ


Q.個人事業主の配偶者は雇用保険等に加入できませんか?

個人事業として小売業を営む者です。店舗は自宅とは別に構えています。これまで私と代表権のない妻との二人だけで仕事をしていましたが、業績は好調で、先日初めて従業員を雇い入れました。

ところで、知人から、個人事業の場合、事業主の妻は雇用保険や労災保険に加入できないと聞きました。本当にそうなのでしょうか?


 

A. 労働者性が認められれば、加入することは可能です

はじめに、雇用保険について考えましょう。雇用保険の目的は、労働者が失業した場合及び雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に、労働者の生活及び雇用の安定を図ることです。また、ここでいう「労働者」とは、労働基準法の適用を受ける者、すなわち、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」(労働基準法第9条)がそれにあたります。たしかに事業主と妻とは、従業員のような雇用関係とは異なる関わりのように思えます。また、労働基準法第116条第2項(適用除外)において、「この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない」と定めています。すると、社長と妻とが二人だけで事業を営んでいる場合、労働基準法の適用はないことから、社長の妻は労働者にあたらず、したがって雇用保険への加入もできないと考えられます。

 

それでは、設問のように、従業員を雇い入れた場合はどうでしょう?この場合、もはや「同居の親族のみを使用する事業」とはいえないので、労働基準法が適用されます。このことに加えて、「社長の妻の労働者性」が認められれば、雇用保険にも加入できます。労働者性の判断基準は、おおむね次のとおりです。

(1)妻に対し、事業主からの指揮命令があること

(2)妻の就業の実態が、当該事業所における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。具体的には、

  ① 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等が他の労働者と同じ

  ② 賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切及び支払の時期等が他の労働者と同じ

(3)妻は、事業主と利益を一にする地位(取締役等)にないこと

 

さて、設問の社長さんの妻には代表権はないとのことですから、上記の(3)は満たしています。そうすると、妻が雇い入れた従業員と同様、(1)事業主からの指揮命令の下に働いていること、かつ、(2)出退勤管理や給料明細の整備など労務管理が行われていることがポイントです。家事の合い間など手すきの時に働いていたり、賃金算定や支払期日等が不明確であったりしては、労働者性は認められません。

 

次に、労災保険についてです。仮に、妻の労働者性が認められたとすれば、労災保険の適用も当然受けられます。労災保険への加入は雇用保険と異なり、従業員の個人データの申請は不要です。保険料の計算の際に、妻の分の給料を加えれば足ります。また、実際に労災が発生して休業したとき、休業補償給付の請求を行いますが、その際の添付書類として被災前の出退勤記録及び給料明細が必要です。そのためにも、出退勤管理及び給料明細の整備は必須です。

一方、妻の労働者性が認められなかった場合、労災保険については事業主と共に「労災保険の中小事業主の特別加入」に加入できます。


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