2017年7月アーカイブ

Q.パート社員の就業規則を定めていません。正社員の就業規則を適用すべきで しょうか?

当社の従業員は、正社員15名、パート社員1名です。正社員については、就業規則を定めています。しかし、パート社員は、雇用契約書を取り交わしているのみで、就業規則は特段定めていません。

この度、パート社員が退職することになり、本人から退職金の請求がありました。雇用契約書には、退職金はない旨を定めています。ところが、本人の主張によれば、就業規則に「パート社員を除く」との記載がない以上、自分にも正社員の就業規則が適用され、受給資格があると言うのです。この場合、正社員用の就業規則を適用して退職金を支払うべきでしょうか?

 


A.就業規則は、特段の定めがない限り、パート社員にも適用されるので、退職金を支払う必要があります

労働契約は、労働条件に関する使用者と労働者との合意に基づいて成立します。労働契約自体は口頭でも成立しますが、後日、内容についてトラブル等が生じないよう、書面を作成し双方所持することが大切です。この書面を、一般的に雇用契約書又は労働契約書(以下「雇用(労働)契約書」)と言います。雇用(労働)契約書の作成は、法的義務ではありません。ただし、作成した場合は、契約書の性質上、双方の記名押印が必要です。 

一方、労働基準法第15(労働条件の明示)に基づく、労働条件通知書という書面があります。これは労働条件の内容を記したもので、使用者が作成義務を負います。労働条件通知書に記載すべき内容は、「賃金、労働時間、その他の労働条件」です。また、就業規則でそれらの条件が定めている場合は、労働条件通知書に代えて就業規則を交付しても差し支えないとされています。

このように、労働条件を定める書面は、雇用(労働)契約書、労働条件通知書及び就業規則があります。それぞれについてまとめると、次のとおりです。 

雇用(労働)契約書

合意した労働条件の内容について使用者と労働者の双方が取り交わす書面

労働条件通知書

合意した労働条件について使用者が労働者に交付する書面

就業規則

使用者が定めた労働条件や服務規律等が記載している規程集

 

さて、設問の会社は、パート社員と雇用(労働)契約書を取り交わし、その中で退職金はない旨を定めていました。双方の記名押印がある以上契約書は有効で、したがって、退職金の支払は不要のように思われます。 

ところが、労働契約法第12条を見ると、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。」と定めています。つまり、双方合意した労働条件が就業規則より低い場合、その部分について契約は無効となり、就業規則の内容にまで労働条件は引き上げられます。

設問の会社について言うと、就業規則に「パート社員を除く」と明示していなければ、雇用(労働)契約書の退職金はない旨を定めた部分は、就業規則より低い場合にあたるとして無効となり、パート社員にも就業規則の退職金に関する規定が適用されます。

このような事態を回避するため、就業規則がパート社員にも適用される内容となっていないか、今一度確認することが必要です。


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