2020年6月アーカイブ

高齢労働者の就労環境向上のガイドラインが公表されました

超高齢社会を迎えるわが国において、高齢者の労働力確保は不可欠です。年金制度や社会労働法令の改正等とも相まって、高齢者の就労拡大が続き、60歳以上の雇用者数は過去10年間で約1.5倍に増加しました。そうした中で、高齢者の労働災害も増加傾向です。休業4日以上の死傷災害に占める60歳以上の割合は約26%で、29歳以下と39歳以下(いずれも約14%)の合計に匹敵する水準です。中でも、転倒災害、墜落・転落災害の発生率が若年層に比べて高く、特に女性で顕著です。加齢による身体機能の低下等に伴い、高齢者の労働災害発生率は高く、休業も長期化する傾向にあります。

本年3月、厚生労働省は、高齢者が安心して安全に働ける職場環境づくりを通じ、体力に自信のない人や仕事に慣れていない人を含め、全ての働く人の労働災害防止を目指す「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(通称:エイジフレンドリーガイドライン)を策定・公表しました。その概要は次のとおりです。

法令等による義務付けのあるものへの取組はもとより、それぞれの企業における高年齢労働者の就業状況や業務内容など実情に応じて、国や関係団体等の支援も活用しつつ、実施可能な高齢者労働災害防止に対策に積極的に取り組むことを求めています。言うまでもありませんが、ガイドラインは、あくまでも努力義務です。しかし、従業員に占める高齢労働者の拡大は、全ての企業における趨勢であり、おおいに参考とすべきと考える次第です。

事業主の役割として、安全衛生管理体制の確立、職場環境の改善、高年齢労働者の健康や体力の把握など5項目を求めています。

一方、労働者の責務は、自己の健康を守るための努力の重要性を理解し、自らの健康づくりに積極的に取り組むことです。

エイジフレンドリー補助金が新設されました

こうした取組を下支えするものとして、令和2年度にエイジフレンドリー補助金が新設されました。本年度分は、6月12日に申請受付が開始され、10月末日までが申請期間となっています。

次の要件を満たす事業主が、働く高齢者を対象として職場環境の改善対策を行った場合、それに要した費用の一部を助成します。

・ 常時1名以上の高年齢労働者(60歳以上)を雇用

・ 常時雇用者数か又は資本金等が一定規模以下の中小企業事業者。(例えば製造業等の場合、300人以下か又は3億円以下)

・ 労働保険及び社会保険に加入

また、改善対策として認められる対象は次のようなものです。

(1)身体機能低下を補う設備・装置の導入

  スロープ等段差解消や手すり、床等の滑り止め、照度改善など

(2)働く高齢者の健康や体力の把握

  体力チェック、健康診断等に基づいた栄養指導・保健指導など

(3)安全衛生教育

  加齢に伴う労災リスク増大の理解促進のための教育など

このほか、新型コロナウイルスの感染防止を図りつつ、高齢者が安心して働けるよう、利用者等との接触を減らす対策も対象です。具体的には、介護におけるリフトやスライディングシート、移乗支援機器等の導入、客室への荷物配送、配膳等の自動搬送機器の導入、体調急変を把握できる小型携帯機器(ウェアラブルデバイス)を活用した健康管理システム等です。ただし、使い捨てマスク等の消耗品やビニルカーテン等の仮設設備等は除きます。

かねがねお伝えしていますが、補助金目当てにオフィス改造を行うとすれば本末転倒。しかし、補助対象は、オフィス改善を行う場合には必然とも言える内容です。なお、この補助金は、一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会の中に設けた「エイジフレンドリー補助金事務センター」が受付から支払までの事務を担います。

 

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