従業員が副業を申し出たときの対応

Q.従業員から副業の申出がありました。就業規則に則り拒否してもよいですか?

卸売業を営んでいます。従業員は20名。所定労働時間は一日7時間。休日は土曜・日曜。週の所定労働時間は35時間と定めています。さて、当社は就業規則において、従業員の副業・兼業を禁止しています。ところが、ある従業員から会社の休日にコンビニで働きたいとの申出がありました。子どもの学費の足しに、少しでも多く収入を得たいという理由です。就業規則どおりに拒否したいのですが、法的に問題はありますか?

 

A.就業規則を根拠として一律に拒否することは困難で、事案ごとに検討・対応する必要があります

厚生労働省・労働政策審議会安全衛生分科会の「副業・兼業に関する事業所調査結果(令和2年7月31日)」によれば、正社員の副業・兼業について、「医療・福祉」を除き、「認めていない」と回答した事業所の割合は「認めている」とした事業所を上回ったのに対して、非正規社員については、「複合サービス業」を除き、「認めている」事業所が「認めていない」事業所を上回りました。実際に副業・兼業を行っている労働者は、正社員・非正規社員全体で9.7%、希望する労働者は年々増加傾向とされています。

一方、判例等を見ると、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的に自由であることから、会社が就業規則に則り 副業・兼業を認めないときは不法行為が成立するとして、損害賠償を命じた事例があります(東京都私立大学教授懲戒解雇事件(平成19年東京地裁)、マンナ運輸事件(平成24年京都地裁)。

また、厚生労働省のモデル就業規則は、労働者の副業・兼業を認める規定を定めています。

こうした中、厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン(平成30年1月策定)」が令和2年9月に改訂されました。

〇 副業・兼業における労働者のメリット

・離職せずとも別の仕事に就くことが可能となり、スキルや経験を得ることで、労働者が主体的にキャリアを形成することができる。

・本業の所得を活かして、自分がやりたいことに挑戦でき、自己実現を追求することができる。

・所得が増加する。

・本業を続けつつ、よりリスクの小さい形で将来の起業・転職に向けた準備・試行ができる。

〇 企業のメリット

・労働者が社内では得られない知識・スキルを獲得できる。

・労働者の自律性・自主性を促すことができる。

・優秀な人材の獲得・流出の防止ができ、競争力が向上する。

・労働者が社外から新たな知識・情報や人脈を入れることで、事業機会の拡大につながる。

ディメリットについての記述は、ガイドライン上ありませんでした。私見では、メリットは労働者に大きく、企業にいささか小さいとも感じます。皆さんはいかがでしょうか?

なお、同ガイドラインは、例外的に副業・兼業の禁止又は制限が認められる場合として、次の4つを示しています。

①労務提供上の支障がある場合 ②業務上の秘密が漏洩する場合 ③競業により自社の利益が害される場合 ④自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合

司法面・行政面において、労働者の副業・兼業を原則肯定する方向にある中、就業規則の副業・兼業禁止規定を根拠に一律に拒否することは、もはや困難です。従業員が希望する副業・兼業の内容等を具体的に確認した上で、上記①~④のいずれにも該当しないのであれば、認めざるを得ないと考える次第です。

 

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