社会労働関係法令改正情報の記事

改正労働基準法第39条(年次有給休暇)が、本年4月から施行されます。その「解釈」について、先般、厚生労働省から都道府県労働局長あてに通達されています。そこで今回はその内容の一部をQ&A形式で取りまとめました。

 

Q1.前年度繰越分の有給休暇を合算して10日以上となった場合、使用者は5日の時季指定義務を負いますか?

A1.使用者が年次有給休暇(以下「有休」と言います。)の時期指定義務を負うのは有休年10日以上の労働者に対してです。ただし、この定めに言う「有休年10日以上」は、あくまで基準日に付与された日数で判断します。したがって、繰越分を合算して10日以上となった場合は、時季指定義務の対象となりません。

Q2.労働者が前年度繰越分の有休を取得した場合、使用者はその日数分を時季指定すべき5日から控除することができますか?

A2.労働者が取得すべき有休は、前年度繰越分かそれとも当年度の基準日に付与された有休であるかを問いません。したがって、使用者は取得した日数分を時季指定すべき5日から控除できます。

Q3.使用者がいったん時季指定した有休をその後使用者側の都合により変更することはできますか?

A3.労働者の意見聴取の手続を行ない、その意見を尊重すれば使用者側都合に基づく変更は可能です。

Q4.使用者がいったん時季指定した有休をその後労働者の申出により変更することはできますか?

A4.原則として、使用者が時季指定した有休を労働者が変更することはできません。ただし、労働者に変更希望があるときは、使用者は意見聴取の手続を行い、その意見を尊重することが望ましいとされています。

Q5.使用者が有休を時季指定した後に労働者が自ら有休を取得した場合の取扱いはどうなりますか?

A5.使用者が時季指定した日に労働者が有休を取得しなくても、直ちに違法とはなりません。ただし、使用者の時季指定については、特段の取決めがない限り、労働者が自ら有休を取得したからといって、当然に無効はならないものと解されています。

Q6.例えば会社の創立記念日を休暇にしているなど、事業場が独自に設けている法定年休とは異なる特別休暇を、労働者が取得した有休とみなすことは認められますか?

A6.設問に例示のような特別休暇等により取得した日数を、使用者が時季指定すべき5日に含めることは認められません。

Q7.今回の労働基準法改正を契機として、前問に例示したような事業場独自の特別休暇を廃止し、有休の計画的付与に振り替えることは認められますか?

A7.設問のような対応は、労働基準法及び今回の労働基準法改正の趣旨に沿わないものと考えられます。また、特別休暇の廃止それ自体は、就業規則の不利益変更法理に照らして判断すべきです。

 

平成31年4月1日施行の「改正労働基準法第39条(年次有給休暇)」について厚生労働省等による「年次有給休暇の時季指定義務」、「わかりやすい解説」等を参考に取りまとめました。

1.201941日から施行される内容のポイントは

A1.年次有給休暇(以下「有休」と言います。)のうち年5日については、使用者が時季を指定して労働者に取得させることが全ての使用者に対して義務付けられます。


Q2.対象となるのは全ての労働者ですか?

A2.有休付与日数が10日以上の労働者が対象です。

Q3.時季指定をすべき期間はいつからいつまでですか?

A3.有休を付与する日(基準日)から次の基準日までの1年間です。例えば基準日が10月1日であれば、2019年10月1日から2020年9月30日の間に5日間を時季指定する必要があります。

Q4.施行日までに予めやっておくことは何かありますか?

A4.時季指定の対象となる労働者の範囲及び指定の方法等について、就業規則に定めておく必要があります(労働者10人未満の事業所を除きます。)。また、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成する必要があり、この管理簿は3年間保存しなければなりません。

Q5.仮に取得できなかった労働者がいたら、どうなりますか?

A5.法違反にあたり、労働基準監督署の監督指導(是正勧告等)の対象です。また、罰則の適用もあり得ます。

Q6.労働者が有休を希望せず、時季指定を行なっても取得を拒否した場合、使用者の責任はどうなりますか?

A6.そうした場合であっても、結果的に有休を取得していないため、使用者は法違反を免れません。こうしたことから、前述の就業規則の改正においては、時季指定は業務上の命令であり違反は懲戒の対象とすること等を併せて定めることが望ましいと考えます。

Q7.労働者本人の請求により既に有休5日を取得済みでも、使用者の時季指定は必要ですか?

A7.労働者が有休を5日取得した時点で、使用者の時季指定義務はなくなります。また、その後は使用者から時季指定を行うことはできません

Q8.使用者が時季指定した日が到来する前に、労働者が自ら有休5日を取得した場合、当初指定した日に取得しなくても法違反にはあたらないと考えていいでしょうか?

A8.結果的に5日取得しているので、法違反にはあたりません。なお、この場合において、使用者が行なった時季指定は、労働者との間に特段の取決めがない限り無効とはならないと解されています。 



 









 


              



 時間外労働の上限規制(中小企業2020年4月1日施行)

労働時間は、労働基準法(以下「同法」と言います。)第32条において、週40時間、1日8時間以内と定めています。この時間が法定労働時間です。これに対して、所定労働時間といわれるものがあります。これは、事業場がそれぞれ労働時間として定める時間です。所定労働時間は、法定労働時間内であれば何時間でもかまいません。言い換えると、所定労働時間≦法定労働時間という図式です。

さて、法律上の時間外労働とは、法定労働時間を超える労働です。本来、同法は時間外労働を禁止しています。ただし、企業の自由な経済活動に配慮し、一定の要件を満たした場合、時間外労働を可能としています。その要件は過半数労組、過半数労組がない時は事業場の過半数代表者と時間外・休日労働協定(36協定)を締結した上で、労働基準監督署長に届け出ることです。

時間外労働は、1カ月45時間、1年360時間までとの基準があります。しかし、これは厚生労働大臣の告示に過ぎず、法的拘束力はありません。また、36協定において特別条項を結ぶことにより、上限なく時間外労働に従事させることができます。更に、同法上、休日労働に対する規制はありません。結果として、少なからぬ企業で法定労働時間を超えた労働が常態化していることは、ご承知のとおりです。同法が、「ざる法」と指摘される所以です。 


 

今回の改正により、時間外上限基準は厚生労働大臣の告示から格上げされ、同法第36条4項~6項に明記されました。これに違反すれば罰則の適用もあり、適切な対応が必須です。


 

改正により設けられた時間外労働の上限時間は?

繰り返しになりますが、同法改正前は休日労働の規制はありません。厚労相告示の時間外労働時間には、休日の労働時間は含まれません。しかし、今回の改正においては、上限時間の中に休日の労働時間を含まれる場合と含めない場合とがあり、少しややこしくなります。

以下、同法第36条の各項ごとに説明します。

 
(新設)36条4項...限度時間  (※は1年単位の変形労働時間制)

期 間

上限時間

休日労働の時間

1カ月

45時間(※42時間)

含めない

1年

360時間(※320時間)

含めない

 

(新設) 36条5項...特別条項を設けた場Z

期 間

延長できる上限時間

休日労働の時間

1カ月

100時間未満

含まれる

1年

720時間未満

含めない

ただし、特別条項を発動する月数は最大でも6カ月以内

 

(新設)36条6項...更なる規制(特別条項がない事業場も適用)

期 間

時間外労働の最大時間

休日労働の時間

1カ月

100時間未満

含まれる

2カ月から6カ月のそれぞれの平均

80時間未満

含まれる

ただし、次の業務については、適用除外とされています。

①工作物の建設等の事業

②自動車の運転の業務

③新技術、新商品等の研究開発の業務

④その他厚生労働省労働基準局長が指定するもの




 

働き方関連法の施行日は、2019年4月1日です。ただし、中小企業には猶予期間を設ける等の特例措置があります。中小企業における施行スケジュールを一覧表にまとめました。

 2019年4月1日施行

  年次有給休暇の5日の使用者による時季指定

労働基準法第39条

  フレックスタイム制の見直し

労働基準法第32条の3

  高度プロフェッショナル制度

労働基準法第41条

  勤務間インターバル制度

労働時間等設定改善法

 2020年4月1日施行

  時間外労働の上限に限度設定

労働基準法第36条

 2021年4月1日施行

  不合理な待遇差を解消するための規定の整備

パートタイム労働法

労働契約法

労働者派遣法

  労働者に対する待遇に関する説明義務

パートタイム労働法

労働契約法

労働者派遣法

 2023年4月1日施行

  月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し

労働基準法第37条

 さて、中小企業においても、年次有給休暇の5日付与、フレックスタイム制、高度プロフェッショナル制度、勤務間インターバル制度は2019年4月1日に施行されます。その中で年次有給休暇は全ての事業場に関係する内容で、2019年4月1日以降の基準日から適用されます。従業員一人一人の年休の消化状況を確認し、取得が進んでいない場合には、改正後にむけた準備を進めることが求められます。

改正労働基準法第39条


使用者は、平成30年4月1日から、一定の要件を満たす労働者には年次有給休暇を5日消化させることを義務付けられました 

働き方改革関連法の一環として、(年次有給休暇)労働基準法第39条が改正されています。施行は平成31年4月1日で、中小企業への猶予措置はありません。使用者は労働者それぞれの年次有給休暇の取得状況を確認し、取得が少ない場合は法令を遵守するための取組が必要です。具体的な改正内容としては、第39条第6項の後に次の2項が追加されています。

(年次有給休暇)労働基準法第39条第7項 使用者は、年次有給休暇(これらの規定により使用者が与えなければならない有給休暇の日数が10日以上である労働者に係るものに限る。)の日数のうち5日については、基準日から1年以内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならない。

 第8項 前項の規定にかかわらず、労働者の請求する時期に与えた場合又は労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合において労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、有給休暇を与える時季に関する定めをし、有給休暇を与えた場合においては、当該与えた有給休暇の日数(当該日数が5日を超える場合には、5日とする。)分については、時季を定めることにより与えることを要しない。


 

直近に行った厚生労働省への質問と回答は次のとおりでした 

今回の改正を具体的に運用するための詳細を定める省令等は、未だ定められていません。そこで、先日、弊事務所が行なった厚生労働省への質問とそれに対する回答を紹介します。

Q1.第7項の「有給休暇の日数が10日以上」とは、繰越分も含まれるのか?

週4日勤務のパート社員は、入社後6カ月で有給休暇(以下、単に「有休」と言います。)7日、その1年後に8日を付与されることとなる。仮に、6カ月以降1年までの有休取得が5日間以下であれば、有休の日数は繰越分を含めて10日以上となるが、その場合、使用者の5日間時季指定の義務は発生するのか?

A1.基準日に10日以上を付与する労働者が対象であり、繰越分は含まれない。

 

Q2.時季指定5日間について、指定方法等の定めはあるのか?

有休5日分について労働者個々人に対し、例えば○月×日、△月□日、といったように、具体的な日付を予め指定するのか?

A2.お尋ねのように、付与する日付を予め指定することはできる。ただし、結果的に次の基準日までの間に5日間を消化していれば良いのであって、その方法は定めない(同条第8項のとおり)。 

 

Q3. 有休付与の基準日が4月1日でない場合の取扱は?

施行は平成31年4月1日とされているが、有休付与の基準日は企業により異なっている。その場合の取扱はどうするのか?

A3.適用開始は、法が施行される平成31年4月1日以降の基準日 からとなる。例えば、10月1日を有休付与の基準日としている企業であれば、平成31年10月1日以降の1年間について、有休5日間の消化義務が発生する。

 

繰り返しますが、省令等は現在検討中ということですから、上記のQ&Aでフィックスというわけではありません。



平成29年9月(10月納付分)から厚生年金保険料率が上がります

厚生年金保険料率は、「被用者年金制度の一元化等を図るための厚年金保険等の一部を改正する法律」(平成24年8月10日成立)に基づき、料率を毎年0.354%ずつ引き上げ、29年度以降は18.3%で一定とするものとされています。この定めに則り、平成29年9月から一般の厚生年金保険料率は18.3%になります。変更後の料率が適用されるのは、10月に支払う給料から控除する保険料からです。

 

最低賃金が改訂されます 

大阪府(平成29年9月30日)を皮切りに、全国の最低賃金が改訂されます。今年度は、昨年度に続き最低賃金が時給で定められるようになった平成14年以降で最高額の引き上げとなりました。

首都圏については次のとおりです。

都道府県

最低賃金(引上げ額)

発効予定日

千葉県

868円 (26円)

平成29年10月1日

東京都

958円 (26円)

平成29年10月1日

埼玉県

871円 (26円)

平成29年10月1日

神奈川県

956円 (26円) 

平成29年10月1日

最低賃金は、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託等、雇用形態に関わりなく、原則として全ての労働者に適用されます。例外が認められるのは、使用者が個別に都道府県労働局長の許可を受けたときのみです。具体的には、試用期間中の者や障害等により著しく職務能力が劣ると認められるとき等で、それらの場合、最低賃金に一定の率を乗じた額を減額して支払うこととなります。

仮に、労働者の同意があったとしても、最低賃金以下の賃金で雇用することはできません。既に最低賃金以下の労働条件で雇用契約を締結していたときは、発効日以降、少なくとも最低賃金まで引き上げて支給しなければなりません。また、次の金額を最低賃金の計算に算入することは認められません。

(1)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

(2)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

(3)1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)

(4)時間外、休日労働及び深夜労働の手当


有期契約労働者等の賃金を増額して、「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」を活用できます

「キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コース」は、有期契約労働者や短時間労働者、派遣労働者など、いわゆる非正規雇用労働者の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定して昇給させる場合に、事業主を助成する制度です。申請の事前手続は次のとおりです。

(1)キャリアアップ計画書を取組実施日までに労働局職業対策課に提出

(2)賃金規定等を改定又は作成

助成額は、事業場の全て又は一部の有期契約労働者等の賃金規定等を増額改定した場合、対象労働者の人数に応じて決定されます。中小企業で、全ての有期契約労働者等の賃金を増額改訂した場合は、次のとおりとなります。

労働者数

助成額

生産性の向上が

認められる場合

1人~3人

9万5千円

12万円

4人~6人

19万円

24万円

7人~10人

28万5千円

36万円

11人~100人

労働者1人当たり28,500円

同3万6千円

なお、「生産性の向上が認められる場合の額」とは、原則として助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性がその3年前に比べて6%以上伸びている場合の額です。生産性は、次のように算出します。ただし、例外的に6%未満でも認められる場合があります。詳しくは労働局にご確認ください。

生産性

営業利益+人件費+減価償却費+賃借料+租税公課

雇用保険被保険者数

 



業務改善助成金

Q.賃金を引き上げるときに利用できる助成金が拡充され、それまでは対象外のケースも可能になったと聞きましたが?

千葉県で食品小売業を営んでいます。最近は人手確保が難しく、アルバイト等がしていた仕事も正社員が処理せざるを得ない状況です。背に腹は代えられず、アルバイト等の賃金引上げを検討していたところ、そうしたとき利用できる助成金が拡充され、これまで対象外であった千葉県でも使えると聞きました。どういう助成金ですか?


 

A.「業務改善助成金」が拡充され、全国47都道府県で利用可能となりました


先ずお尋ねの助成金ですが、「業務改善助成金」(以下単に「助成金」と言います。)のことです。この助成金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図ることを目的としています。事業主が機械設備や情報システムの導入等、生産性向上のための設備投資を行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、設備投資に要した経費の一部を助成します。平成28年度第二次補正予算の成立に伴い、この助成金が拡充され、例えば、支給対象を事業場内最低賃金が800円未満の事業場から1,000円未満の事業場へと広がりました。設問にあるように、平成28年10月1日施行の千葉県の地域別最低賃金は842円(業種による特定最低賃金を除きます。) であったことから、拡充以前は千葉県では利用できませんでした。今回の拡充によって、同様に地域別最低賃金が800円を超えていた東京都など7都府県にも適用が拡大され、全国47都道府県で利用可能となりました。

 

《助成金の対象となる中小企業・小規模事業者》

業 種

資本金又は出資額

常時使用する労働者数

一般産業(下記を除く)

3億円以下の法人

300人以下

卸売業

1億円以下 〃

100人以下

サービス業

5千万円以下 〃

100人以下

小売業

5千万円以下 〃

50人以下

 

一方、それまで「事業場内最低賃金800円未満の労働者の賃金を60円以上引上げ」を支給要件としていたのに加え、30円以上又は40円以上、また、大幅引上げとして90円以上又は120円以上引上げ、と計5つのコースを設けました。さらに、このうち新たに設けた4コースについては、次の算式で算出する「生産性指標」が3年前のそれと比較して伸び率6%を超える場合、助成率を割増しします。

 

生産性指標

営業利益+減価償却費+人件費

+動産・不動産賃貸料+租税公課

雇用保険被保険者数

(注)それぞれの数値は決算書類に記載のものによる

 

《賃金引上げ額による5コースと助成率、助成上限額等》

事業場内最低

賃金引上げ額

助成率

助 成

上限額

助成対象事業場の事業場内最低賃金

30円以上

7/10又は3/4*1

あるいは4/5*2

50万円

750円未満

40円以上

70万円

800円未満

60円以上(既設)

1/2又は3/4*1

100万円

1,000円未満

90円以上

7/10又は3/4*1

あるいは4/5*2

150万円

800円以上

1,000円未満

120円以上

200万円

*1:常時使用する労働者数が30人以下で、*2かつ生産要件を満たした場合

 

拡充後の助成金は、過去にこの助成金の受給実績のある事業場も対象となります。また、設備投資とみなされる経費は、「人材育成・教育訓練費」「経営コンサルティング経費」等も対象です。ただし、パソコンや営業車両等、社会通念上当然に必要とされる経費は除きます。

利用を検討される場合は、「労働局雇用環境・均等室」にお問合せください。


 


 


Q.短時間労働者の社会保険加入要件が変更されたと聞きました

当社の従業員数は30名です。所定労働時間は1日7時間・週35時間、休日は土曜日、日曜日です。従業員のうち5名は非正規社員の短時間労働者で、1日5時間・週25時間、1か月15日勤務で雇用契約を結んでいます。

当社の場合、短時間労働者についても健康保険や厚生年金保険(以下「社会保険」と言います。)へ加入していますが、最近、短時間労働者の加入要件が変更されたと聞きました。どのような変更でしょうか?また、当社に影響はありますか?

 

A.短時間労働者の社会保険の加入要件が明確化されました

その事業場でフルに働く正社員に比べて、就業時間が短い労働者を短時間労働者といいます。これまで短時間労働者が社会保険に加入する要件は、次のとおりでした。

 

○ 就業規則や雇用契約書等で定める短時間労働者の所定労働時間(「1日又は1週間の所定労働時間」及び「1月の所定労働日数」)が、正社員のそれらのおおむね4分の3以上であるかどうかを一つの判断基準として総合的に判断する

 

このように「おおむね」とか「総合的判断」など、あいまいで解釈の余地ある書きぶりであったため、その時々の担当者の裁量次第で加入が認められたり又は認められなかったりという実態がありました。この基準が、平成28年10月1日以降、次のように明確化されました。

○ 1週の所定労働時間及び1月の所定労働の日数がフルに働く正社員の4分の3以上であること

つまり、余計な解釈や裁量が入らない書きぶりに改めたということですね。

さて、設問の会社における短時間労働者の1週及び1月の所定労働時間を見ると、正社員に比べ4分の3を下回っていることが分かります。これまでは、「おおむね4分の3以上」という判断基準によって社会保険への加入が認められていました。しかし、今後は改正後の基準によるため、所定労働時間が正社員の4分の3未満で働いている短時間労働者は社会保険へ加入することができないことになります。

それでは、既に社会保険に加入している短時間労働者の方々は改正後の基準に則り平成28年10月1日に資格を喪うのでしょうか?

答えはNoです。

施行日前から被保険者資格を有しており、施行日以降も引き続き同じ事業所に使用されている間は、引き続き被保険者資格を有します。(短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集:日本年金機構)

したがって設問の会社の短時間労働者で、施行日前から社会保険に加入している方への影響はありません。ただし、今後雇い入れる方が同じ条件で短時間労働に携わるときは、社会保険への加入は認められなくなります。

ところで、常時従業員が501人以上の会社は、事情が異なります。短時間労働者が4分の3以上の基準を満たさなくても次の4つの要件を満たしたときには、社会保険へ強制加入となります。

(1)1週間の所定労働時間が20時間以上であること

(2)雇用期間が継続して1年以上見込まれること

(3)月額賃金が8万8千円以上であること

(4)学生でないこと

今回の法改正により常時従業員が501人以上の事業場について短時間労働者の社会保険の適用が拡大されました。今後はそれ以下の事業についても適用対象とするよう検討が行われています。


 


最低賃金が改訂されます

平成28年10月1日から中旬にかけて全国の最低賃金が改訂されます。今年度は最低賃金が時給で定められるようになった平成14年以降で最高額の引き上げになりました。首都圏は次のとおりです。

都道府県

最低賃金(引上げ額)

発効予定日

千葉県

842円 (25円)

平成28年10月1日

東京都

932円 (25円)

平成28年10月1日

埼玉県

845円 (25円)

平成28年10月1日

神奈川県

930円 (25円) 

平成28年10月17日

最低賃金は、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託等、雇用形態に関わりなく、原則として全ての労働者に適用されます。例外が認められるのは、使用者が個別に都道府県労働局長の許可を受けたときです。具体的には、試用期間中の者や障害等により著しく職務能力が劣ると認められる場合等で、それらの場合、最低賃金に一定の率を乗じた額を減額して支払うこととなります。

仮に労働者側の同意があったとしても、最低賃金以下の賃金で雇用することはできません。

また、既に最低賃金以下の労働条件で雇用契約を締結していた場合、発効日以降は少なくとも最低賃金まで引き上げて支給しなければなりません。

なお、次の金額は最低賃金に参入されません。

(1)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

(2)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

(3)1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)

(4)時間外、休日労働及び深夜労働の手当


最低賃金の改訂に応じて賃金を増額するため、「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定(処遇改善コース)」を活用できます

「キャリアアップ助成金の賃金規定等改定(処遇改善コース)」は、有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定して昇給させる場合、事業主を助成する制度です。申請の事前手続は、次のとおりです。

(1)キャリアアップ計画書を取組実施日までに労働局キャリアアップ助成金職業対策課に提出

(2)賃金規定等を改定又は作成

助成額は、事業場の全ての非正規雇用労働者の賃金規定等を増額改定した場合、対象労働者の人数に応じて助成額が決まります。

・1人~3人:10万円(7.5万円) ※()は中小企業以外の額

・4人~6人:20万円(15万円)

・7人~10人:30万円(20万円)

・11人~100人:1人当たり3万円(2万円)

現在、最低賃金相当額を支給している事業場は、今回の改訂に伴い賃金を増額しなければなりません。千葉県では平成28年10月1日から最低賃金が25円アップしますが、これは改訂前に比べ3.06%の上昇にあたります。したがって、発効予定日前、具体的には9月30日までに上記の事前手続をして申請を行えば、キャリアアップ助成金を活用することができます。



雇用保険法の改正

平成28年4月1日から、雇用保険料率が改正されます

先頃成立した「雇用保険等の一部を改正する法律」を受けて、下表に示すとおり、平成28年度の雇用保険料率が改正されます。

なお、改正後の雇用保険料率は、4月中に締めとなる給与から適用されます。

 

【平成28年度の雇用保険料率】

雇用保険料率表2804.png

 

その他の主な改正は次のとおりです

(1)介護休業給付の給付率が上がります。(平成28年4月1日施行)

雇用保険に加入している従業員(以下被保険者といいます。)が、配偶者、父母及び子並びに配偶者の父母を介護するために休業した場合、雇用保険法に基づいて介護休業給付金が支給されます。介護休業給付金は、休業期間中の賃金の補償として支給されます。その額は、これまで休業前の賃金の40%でしたが、平成28年4月1日からは67%に引き上げられます。

(2)65歳以降新たに雇用される人も、雇用保険に加入することになります。(平成29年1月1日施行)

現在、新規に採用する人が65歳を過ぎている場合、新たに雇用保険に加入することはできません。法改正により平成29年1月1日以降に採用する人については年齢要件がなくなります。従って65歳以上の新規採用者についても、要件を満たせば、雇用保険への加入が義務となります。

法改正後の加入要件(被保険者になる要件)は、次の2つです。

① 一週間の所定労働時間が20時間以上あること

② 雇用期間が継続して一か月以上ある人(31日以上)

ところで、現在は、被保険者が年度の初め(4月1日)に64歳以上であったとき、その年度の4月以降の雇用保険料は免除されます。つまり、雇用保険の被保険者でありながら、使用者及び本人の雇用保険料が無料になるという措置です。平成29年1月1日以降はその措置が廃止になり、全ての被保険者から保険料を徴収されます。だだし、すぐに保険料の徴収が開始されるわけではありません。実際は猶予期間を経て、平成32年4月1日以降から保険料の徴収が開始されます。

 

高齢者の雇用保険の適用拡大は、いわゆる「一億総活躍社会」の実現に向けた取り組みの一つと受け止めるべきでしょう。

 

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