書類の保存期間

Q.書類の保存期間は?

前任者が退職したために、総務担当を引き継ぐこととなりました。ところが、会社の書庫を見たところ、健康保険や雇用保険関係、税務関係等の書類が過去何年分も山積みになっています。

この機会に書類を整理したいのですが、処分してもいい書類と必要な書類の判断がつかず困っています。どのような基準で整理したらいいでしょうか?

A.書類には、法律で保存期間が定められているものがあります

会社の書類の中には、社会労働関係や税務関係など、法律で保存期間が定められているものがあります。それらについては、次の基準で整理保存する必要があります。

労働基準法関係

書類名・区分等 保存期間 根拠法令
労働者名簿 3年

 

 

 労働基準法第109条

 

賃金台帳

 雇入れに関する書類

 解雇に関する書類

 災害補償に関する書類

 その他労働関係に関する書類

健康保険、雇用保険、徴収法関係

書類名・区分等 保存期間 根拠法令
労働保険料の徴収に関する書類 3年 労働保険徴収法規則第70条
健康保険、厚生年金保険に関する書類 2年 健康保険法規則第34条、厚生年金法規則第28条
雇用保険に関する書類 2年 雇用保険法規則第143条
雇用保険の被保険者に関する書類 4年 雇用保険法規則第143条

 

安全衛生法関係

書類名・区分等

保存期間

根拠法令

健康診断個人票

5年

安全衛生法規則

第51条

労災保険に関する書類及び各種労働安全に関する委員会の議事録等

3年

安全衛生法規則

第23条

 

 

法人税法関係

書類名・区分等

保存期間

根拠法令

帳簿

7年

法人税法規則第59条

決算関係書類

現金・預金の入出金関連

有価証券取引関連

その他

棚卸資産の入出庫関連書類

 その他、こんなことにも注意する必要があります

会社が事業を営んでいくうえでは、多種多様、かつ、膨大な書類を作成し整理保存していく仕事が不可欠です。

今回取りまとめたのは、社会労働関係や税務関係など、それらの一部に過ぎませんし、他にも法律で保存期間が定められている書類は少なくありません。

文書(書類)に関する社内規程

こうしたことから、最も望ましいのは、書類名・区分等に応じた保存期間等も含めて「文書(書類)の取扱に関する規程」を社内規程の一つとして定めておくことです。その際には、法律で保存期間が定められているときは、その期間を下回る保存期間を社内規程で定めることはできないことに注意しなければなりません。

 

きちんとした社内手続を

一方、法律または社内規程で定めた保存期間を経過した書類を廃棄するにあたっては、事業主かまたは事業主からそれについて権限を委ねられた社員(総務部長など)の決済を求めるなど、きちんとした社内手続を行うとともに、それらの事実を文書で記録しておくべきです。

 

情報流出に万全の注意を

さらに、実際の廃棄の方法にも注意が必要です。社会労働関係の書類は個人情報のかたまりですし、税務関係の書類は会社の経営情報そのものです。シュレッダーにかけるとか、廃棄業者に委託する場合は守秘義務を契約上明記するとか、または溶解処理させるなど、重要な情報が社外に流出し独り歩きすること等が決してないよう、十二分に配慮しなければなりません。

なお、ここでいう「書類の整理保存」は、基本的には紙媒体であると電子媒体(電磁的記録)であるとを問いません。