使用期間中の最低賃金

Q.試用期間中は最低賃金の適用がないの?

飲食店を経営しています。夕方からの時間帯は人手が足りないため、18時から22時までの4時間、高校生をアルバイトとして雇入れることにしました。

ただし、3カ月間は試用期間とします。試用期間中は最低賃金が適用されないと聞きました。妥当な賃金額はいくらでしょうか?

A.最低賃金は、全ての労働者に適用されます

使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません(最低賃金法第4条)。適用を受ける労働者とは、使用者が都道府県労働局長の許可を受けて最低賃金の適用の除外を認められた労働者以外のすべての労働者です。

従って、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託又は試用期間中の者であっても例外なく適用されます。

最低賃金の適用を受けない人とは?

都道府県労働局長の許可を受けた次の人にのみ、最低賃金の適用を除外されます(最低賃金法第7条、同法施行規則第3条)。

1.精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者

2.試の使用期間中の者

3.認定職業訓練を受けている者

4.所定労働時間の特に短い者、軽易な業務に従事する者、断続的労働に従事する者

2.の「試の使用期間」は、雇い入れてから暦日数で14日間をいい、この期間であれば、使用者は解雇予告期間や予告手当を要さずに、即時解雇できます(労働基準法第21条5号)。

これに対し、試用期間は、使用者が任意に定めることができます。

一方、4.の「所定労働時間の特に短い」、「軽易な業務に従事」及び「断続的労働」がそれぞれどういうものかについて、何時間未満とか、このような業務・労働はそれにあたる、といった一般的な例示はなく、都道府県労働局長が個別具体的に判断しています。

たとえば、「軽易な業務」について言うと、「最低賃金の適用を受ける他の労働者の従事する業務と比較して特に軽易な場合に限」るとされているので、許可を受けるのは決して容易ではありません。

許可を受けるための手続はどうするの?

許可を受けようとする使用者は、所定の様式で申請書を作成して、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長に提出します。その後、労働基準監督官が実際に事業場に立ち入るなどして労働の実態を調査し、本人の意見も聞いたうえで、労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に内申します。

また、仮に都道府県労働局長の許可が下りた場合でも、最低賃金の減額率が厚生労働省令で定められています。

試用期間中だからと安易に考えて、勝手に最低賃金に満たない賃金を支払うことはできません。たとえ、そのことに労働者が同意していても無効です。