専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(平成27年4月1日施行)

「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」が平成27年4月1日から施行されます。

ずいぶん長い名前の法律ですが、要は、労働契約法の無期転換ルール(労働契約法第18条)の特例を設けるものです。

「有期労働契約者の無期転換ルール」とは?

労働契約法は、平成20年に施行後、改正を重ね、平成25年4月1日から「有期労働契約者の無期転換ルール」が新たに設けられました。有期労働契約者とは、雇用契約期間をいつからいつまでと具体的に定めて労働契約を結んだ人を言います。

有期労働契約者の無期転換ルールについては、要約すると次のとおりです。

① 有期労働契約が通算5年を超えて反復更新している人は

② 次の契約から期間の定めのない契約とすることを申し込むことができる。

③ 申込みがあった場合、事業主は拒否できない。

このルールを導入した当初から問題とされていたのが、定年退職者への対応です。

年金支給開始が段階的に引上げられる中で、今日、定年退職者の多くは、再任用や再雇用、準社員等、呼び方は様々ですが、有期契約労働者として新たに労働契約を結んでいます。その場合も、現在のルールでは、契約が通算5年を超えて反復更新すると無期転換ルールが適用され、仮に本人が希望すれば、死亡まで雇用を打ち切ることはできません。

 

特例として、無期転換ルールの適用対象外を設けました。

こうした問題点を踏まえ、今回成立した法律により、次の場合については、無期転換ルールの適用対象外とする特例が設けられました。

(1)定年後に有期契約で継続雇用される高齢者が、引き続き雇用されている期間

(2)「5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務」に就く高度専門的知識等を有する有期雇用労働者が、業務に就く期間(上限10年)

 

特例を認められるには、「厚生労働大臣の認定」が必要です。

ただし、特例を認められるには、事業主が、定年後再雇用の労働者、専門的知識等を有する有期雇用労働者、それぞれの特性に応じた適切な雇用管理を実施することが条件とされています。

具体的には、所管行政庁に対し、あらかじめ計画書を提出して認定を受ける必要があるとされていますが、今のところ詳細は未定です。

 

就業規則を改めて確認しましょう。

無期転換ルールは、いわゆるワーキングプア問題等を背景に、有期労働契約者の雇用安定化を目指して導入されたものですが、事業主にとって、大きなディメリットともなりかねません。就業規則を改めて確認し、契約更新の上限をあらかじめ定めることや、無期転換後の第二定年を設定すること等も検討する必要があります。