デジタル庁の公金受取口座登録制度

公金受取口座登録制度について最近よく耳にします。どのような制度ですか?

デジタル庁は、令和3年12月、「公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録に関する法律」(以下「同法」と言います。)を公布して、令和4年7月に施行しました。同法に基づく公金受取口座登録制度は、国からの給付金等を受け取るための預貯金口座(公金受取口座)をⅠ人につきⅠ口座、予めデジタル庁に登録するものです。現在は試行運用期間で、令和5年1月に本格稼働の予定です。企業の総務・労務担当者は、今後、従業員からの問合せも予想され、予め制度内容を確認しておくことが大切です。

さて、国から支給される給付金等は、主なものだけでも、国民年金や厚生年金、税金の還付金、児童手当、労災保険の給付金、雇用保険の失業給付や育児休業給付金、健康保険の傷病手当金、出産手当金及び高額療養費等、様々です。これらは申請の際に、多くの場合、口座情報を記載し通帳の写しを添付するなど、手間がかかります。公金受取口座を指定すると、申請書の該当欄にチェック✓を入れれば完了です。通帳をその都度コピーする必要もないし、申請を受ける行政庁側も確認が容易なため、迅速な給付につながるとされています。公金受取口座の開設は、個人が自分の預貯金口座情報をデジタル庁に登録して行います。その方法は現在、次の3種類です。

(1)マイナポータルで登録

(2)所得税の確定申告の際に登録

(3)金融機関の窓口等で登録(令和5年度下期以降開始予定)

マイナポータルでの登録は、随時行うことができます。また、令和5年2月末までに登録すると、マイナポイントが付与されます。登録できる金融機関は、デジタル庁のHPで確認できます。なお、公的受取口座を登録したからといって、給付金等の申請の際に必ず指定する必要はありません。その他の口座での受取りを希望することもできます。ただし、その場合は、これまでどおり口座情報の記載や通帳の写しの添付が必要です。

以下、本制度に関するQ&Aを、デジタル庁のHPを参考にしてお知らせします。

Q1.口座登録は義務ですか?また、誰でも登録できますか?

A1.義務ではありません。また、登録には、マイナンバーカードを所有している必要があります。

Q2.登録した口座情報はどこで管理していますか?預貯金額や取引履歴等を国に知られることになりませんか?

A2.口座情報は、全てデジタル庁が管理します。デジタル庁は、給付金等の所管行政機関からの求めに応じて登録された口座情報を提供します。公金の受取口座を登録するだけなので、預貯金の残高や取引履歴等を国に知られることはありません。

Q3.登録した口座から、税金等が引き落とされることはありませんか?

A3.公金の受取口座を登録するだけなので、税金等が引き落とされることはありません。

Q4.口座登録を行えば、自動的に公金が振り込まれますか?

A4.登録すれば、自動的に公金が振り込まれるわけではありません。申請手続は、これまで通り必要です。ただし、その手間が簡素化されるということです。

Q5.口座登録の変更や削除は可能ですか?

A5.登録した口座は、いつでも変更したり削除したりすることができます。