最低賃金の改定及び雇用保険料率の改正
本年10月1日から適用される最低賃金
首都圏における新たな最低賃金と引き上げ額は、次のとおりです。
都道府県名 | 最低賃金(引上げ額) | 発効年月日 |
千葉県 | 984円(31円) | 令和4年10月1日 |
東京都 | 1,072円(31円) | |
埼玉県 | 987円(31円) | |
神奈川県 | 1,071円(31円) |
新型コロナウイルス感染症が未だ収束しない中、今年の最低賃金の引上げ額は全国平均で31円。昭和53年度の制度開始以来、最大の上げ幅となりました。今後は、地方最低賃金審議会における手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から10月中旬までの間に順次発効する予定です。
関東地方は、10月1日発効予定。発行日当日からの労働に対して、最低賃金が適用されます。引上げ額は、岩手県、鳥取県、島根県、高知県、沖縄県の33円が最高。次いで、山形県、愛媛県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県の32円。全国平均は961円で、最高額は東京都の1,072円。それに対して、最低額は853円の青森県、秋田県、佐賀県、長崎県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県でした。最低賃金の変更に伴い、自社は最低賃金額を満たしているかを確認する必要があります。その方法は、次のとおりです。
(1)次の賃金は、最低賃金の算定から除かれます。
①精皆勤手当 ②通勤手当 ③家族手当
④時間外、休日の割増賃金及び深夜労働手当
⑤臨時に支払われる賃金
⑥賞与など1か月を超える期間毎に支払われる賃金
(2)上記の賃金を除いた上で、給与の支払方に応じた計算方法により最低賃金を満たしているか確認します。
時間給 | 時間給 ≧ 最低賃金 | OK |
日給 | 日給÷1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金 | OK |
月給 | 月給÷1ヵ月の平均所定労働時間 ≧最低賃金 | OK |
(3)月給で支払っている者の1か月の平均所定労働時間は、次のように計算します。
1日の所定労働時間数×年間総労働日数(365日-休日)÷12
例えば、千葉県の場合、月給者(1日8時間勤務・休日118日)の1ヵ月の給与(基本給と前記(1)を除いた諸手当との合計額)が162,065円(984円×164.7時間)を下回ると、最低賃金を満たしていない可能性があります。
最低賃金は、年齢や雇用形態を問わず、全ての労働者に適用されます。週に数時間働く学生アルバイトや高齢者、試用期間中の者等も、例外ではありません。時給単価を最低賃金で設定している場合には、10月1日からの賃金について見直しが必要です。
雇用保険料率が変更になります(令和4年10月1日施行)
令和4年3月30日に成立した雇用保険法等の一部を改正する法律で、令和4年度の雇用保険料率が2段階で引上げられます。第1段階として、令和4年4月1日から事業主負担の雇用保険料率のみが変更されました。第2段階として、労働者負担分並びに事業主負担分についてそれぞれ引上げられ、令和4年10月1日から施行されます。労働者から徴収する雇用保険料の取扱ですが、新しい料率は10月以降の労働に対して適用します。月末に賃金締め日がある場合は簡単ですが、そうでない場合、9月の労働と10月の労働とで適用する雇用保険料率が変わるなど、少し複雑です。ただし、簡便化のために、締め日に9月の労働日が含まれていれば10月の労働に対しても改正前の低い料率で計算し、翌月から新料率で計算すれば、労働者に不利益は生じないので、問題ないと考えられます。
10月1日以降の雇用保険料率は、事業主並びに労働者ともに2/1000引上げられます。労働者負担分は、一般の事業は5/1000、建設の事業は6/1000となります。