高年齢者等職業安定対策基本方針
高年齢者の就業機会の増大及び職業の安定に関する施策の基本等を定める「高年齢者等職業安定対策基本方針」が改定されました
厚生労働省は、「高年齢者等の雇用の安定化等に関する法律」に基づき、本年3月、新たな「高年齢者等職業安定対策基本方針」を策定し、4月から適用しました。国における高齢社会対策の基本的・総合的な指針を定める「高齢社会対策大綱」(令和6年9月、閣議決定)と終期を合わせるため、令和8~11年度の4年間を対象期間としています。
人口減少社会における労働力人口の維持・確保のために高年齢者の更なる就業促進が不可欠です
わが国人口は2008年(平成20年)をピークに減少に転じ、既に本格的な人口減少社会が到来しています。2025年の人口1億2,281万人(外国人含む。以下同じ)は2008年の1億2,769万人からマイナス3.8%。2040年(令和22年)における65歳以上の高年齢者は3,928万人で、人口の2.9人に1人に上ると推計しています。
2020年と2040年とを比較すると、15~64歳の生産年齢人口は17%以上減少するのに対して、65歳以上の高年齢者の更なる就業促進により、労働力人口はマイナス5.3%に止まると見込んでいます。
2024年における高年齢者の就業率を見ると、60~64歳層74.3%、65~69歳層53.6%となっています。これはOECD加盟国中、群を抜いて高い水準で、男女とも加盟国平均の約2倍程度。特に女性や65歳以上の年齢層で労働市場への参加が進んでいます。
高年齢者の雇用形態として、正規職員・従業員は60~64歳層44.6%、65~69歳層25.5%。年齢が高くなるにしたがいパート・アルバイトや契約社員、嘱託など多様化が進んでいます。
2025年4月に「希望者全員の65歳までの雇用確保措置」が全面施行された中で、常用労働者21人以上の企業の99.9%が措置を実施済みです。定年後の賃金水準としては、定年前の8割以上とする企業は2024年で39.6%と、処遇面もかなり改善されています。
「70歳位まで」又はそれ以上の年齢まで仕事をしたいと考える者は8割超であり、高年齢者の高い就業意欲が窺えます。一方、高年齢者は労働災害の発生率が高く、特に高齢の女性労働者などで加齢に伴う労働災害発生リスクが高まる傾向があります。
高年齢者の就業機会の増大とそのための諸条件の整備の目標及び施策の指針等は次のとおりです
対象期間の令和11年(2029年)までに高齢社会対策大綱が掲げる次の政策目標の達成を目指すとしています。
(1)60~64歳層就業率79.0%以上(2024年実績74.3%、再掲)
(2)65~69歳層就業率57.0%以上(2024年実績53.6%、同)
(3)70歳までの就業確保措置実施率40.0%以上(2025年34.8%)
そのために、事業主が行うべき諸条件の整備等に関する指針、再就職の援助等に関する指針及び職業生活の設計の援助に関する指針を定めるとしています。
また、高年齢者の職業の安定を図るための施策の基本として次の事項を示しています。
① 既に義務化している65歳までの雇用確保措置の実施を一層徹底するとともに、処遇改善や有期雇用労働者の無期雇用への転換等を支援する助成措置の強化
② 努力義務としている70歳までの就業確保措置の普及拡大を図るための助成措置の強化や創業支援措置等の指導徹底
③ 見直し後の「同一労働同一賃金指針」に基づく指導など、不合理な待遇相違の解消に向けた法の履行確保
④ ハローワークの生涯現役窓口における再就職支援等やシルバー人材センター等による多様な就業機会の提供を進める。更に、高年齢者が安心・安全に働ける職場環境の推進等に取り組む

