道路交通法施行規則の改正
道路交通法施行規則が改正され安全運転管理者による酒気帯確認が義務付けられました。
交通事故発生件数、死者数とも減少が続いています
交通事故の発生状況等の推移を概観します。事故発生後24時間内に死亡した24時間死者数(以下、単に「死者数」と言います。)は、昭和45年(1970年)の約1万7千人をピークに減少に向かい、昭和54年には約8千5百人と半減しました。その後は増勢に転じ、平成4年には1万1千人を超えましたが、翌年から再び減少傾向となり今日に至っています。令和2年の交通事故発生件数は約31万件、負傷者数約37万人、死者数は初めて3千人を下回る2,839人。これは、ピーク時の約6分の1にあたります。
とは言え、交通事故が私たちに最も身近な危険の一つであることに、変わりはありません。高齢社会の進行に伴い、死者数に占める65歳以上の高齢者の割合は56.2%と、人口10万人当たりで見ると65歳未満の約3倍の水準です。また、近年は高齢ドライバーによる事故をよく耳にします。事故発生割合それ自体は、若年層に比して高いとは言えませんが、社会の耳目を集めやすい、想定外の重大事故が増加している印象です。高齢家族の免許返納等について、深刻な葛藤を抱える事例も少なくありません。
飲酒運転をはじめとする危険運転の厳罰化が累次進んでいます
飲酒運転は極めて危険・悪質な犯罪です。飲酒運転の死亡事故率は飲酒なしの8倍超にも上ります。法令上、「酒酔い」とは、アルコールの影響により車両等の正常な運転ができない状態をいい、即時免許取消しの上、免許が取得できない欠格期間は原則3年です。また、「酒気帯び」は、呼気中アルコール濃度0.15mg/l 以上 0.25mg/l 未満の場合、免許停止原則90日。呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上の場合、即時免許取消しの上、欠格期間は原則2年です。
平成13年、刑法改正により、危険運転致死傷罪が創設されました。その後も、平成18年に福岡市で起きた飲酒運転による幼児3人の死亡事故等を契機として、飲酒運転など各種危険運転の厳罰化が累次進んでいます。ひき逃げ・飲酒運転等道路交通法違反の法定刑引上げや行政処分の強化が図られ、平成25年には自動車運転処罰法が制定されました。飲酒運転根絶を願う社会的気運の高まりに伴い、事故件数は着実に減少していますが、近年は下げ止まりの傾向です。そうした中、昨年の八街市の飲酒運転による児童死傷事故等を受け、道路交通法施行規則一部改正、令和4年4月以降順次施行されます。
安全運転管理者による運転前後の酒気帯びの有無確認が義務付けられました
乗車定員11人以上の自動車1台以上、又はその他の自動車5台以上(50㏄を超える自動二輪車は1台当たり0.5台として換算)を使用する事業所は、自動車の安全な運転に必要な業務を行う者として安全運転管理者を選任し、事業所を管轄する警察署に届け出る必要があります。また、自動車20台以上を使用する場合、20台毎に1名の副安全運転管理者の選任・届出が必要です。対象となる自動車は、使用する全ての自動車で、いわゆる社長車や従業員の持込み車両やリース車両等を含みます。安全運転管理者の業務は、従業員の交通安全教育、運行計画の作成、運転日誌の備付け等多岐にわたりますが、今回改正により、運転者の運転前後のアルコールチェックが新たに義務付けられました。
令和4年4月1日以降、安全運転管理者は、運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより、運転者の酒気帯びの有無を確認するとともに、酒気帯びの有無について記録し、その記録を1年間保存しておく必要があります。また、令和4年10月1日以降、酒気帯びの有無の確認を、アルコール検知器を用いて行うとともに、当該アルコール検知器を常時有効に保持しておくことが必要です。