労災保険の特別加入制度(中小事業主)(1)

Q.労災保険の特別加入とはどういう制度ですか?

厚生労働省から、特別加入者の給付基礎日額の選択の幅が広がるとのお知らせがありました。

そもそも特別加入とはどういう制度で、給付基礎日額とはどういうものですか?

ちなみに弊社は小売業で、社長が中小事業主の特別加入に給付基礎日額2万円で加入していると聞いています。その場合、どのような給付が受けられますか?

 

A.労働者以外の人が任意に加入する労災保険です。

労働者災害補償保険(労災保険)は、労働者の業務災害または通勤災害に対する保護を目的とする制度です。したがって、労働者でない人は、本来、対象となりません。しかし、労働者でなくとも、業務の実態や災害の発生状況などから見て、労働者と同様に労災保険によって保護することが適当と認められる場合、特別に任意で加入することを認めるのが、労災保険の特別加入制度です。

 

保護することが適当と認められる人は?

現行法令上、労働基準法適用労働者に準じて保護することが適当と認められているのは、次のとおりです。

1.中小事業主等

中小事業の事業主、事業主の家族従事者、代表者以外の役員

2.一人親方等

個人タクシー業者、大工等で、労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする人

3.特定作業従事者

特定農作業に従事する人、指定農業機械作業者等

4.海外派遣者

国内から海外支店等に派遣される人

 

中小事業主とは?また、中小事業主等が特別加入するには?

中小事業主は、中小企業基本法に定める中小企業者の定義に合わせて、厚生労働省令で次のように定められています。

◇ 中小事業と認められる規模

業 種

労働者数

金融業、保険業、不動産業、小売業

50人以下

卸売業、サービス業

100人以下

上記以外の業種

300人以下

中小企業の事業主等が特別加入するには、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託することが必要です。

したがって、既に労働保険に加入している事業場は、一旦現在加入している労働保険を廃止し保険料を清算したうえで、あらたに労働保険事務組合を通じて労働保険に加入することになります。