社会保険労働関係法令改正情報
平成29年9月(10月納付分)から厚生年金保険料率が上がります
厚生年金保険料率は、「被用者年金制度の一元化等を図るための厚年金保険等の一部を改正する法律」(平成24年8月10日成立)に基づき、料率を毎年0.354%ずつ引き上げ、29年度以降は18.3%で一定とするものとされています。この定めに則り、平成29年9月から一般の厚生年金保険料率は18.3%になります。変更後の料率が適用されるのは、10月に支払う給料から控除する保険料からです。
最低賃金が改訂されます
大阪府(平成29年9月30日)を皮切りに、全国の最低賃金が改訂されます。今年度は、昨年度に続き最低賃金が時給で定められるようになった平成14年以降で最高額の引き上げとなりました。
首都圏については次のとおりです。
都道府県 |
最低賃金(引上げ額) |
発効予定日 |
千葉県 |
868円 (26円) |
平成29年10月1日 |
東京都 |
958円 (26円) |
平成29年10月1日 |
埼玉県 |
871円 (26円) |
平成29年10月1日 |
神奈川県 |
956円 (26円) |
平成29年10月1日 |
最低賃金は、パートタイマー、アルバイト、臨時、嘱託等、雇用形態に関わりなく、原則として全ての労働者に適用されます。例外が認められるのは、使用者が個別に都道府県労働局長の許可を受けたときのみです。具体的には、試用期間中の者や障害等により著しく職務能力が劣ると認められるとき等で、それらの場合、最低賃金に一定の率を乗じた額を減額して支払うこととなります。
仮に、労働者の同意があったとしても、最低賃金以下の賃金で雇用することはできません。既に最低賃金以下の労働条件で雇用契約を締結していたときは、発効日以降、少なくとも最低賃金まで引き上げて支給しなければなりません。また、次の金額を最低賃金の計算に算入することは認められません。
(1)精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
(2)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(3)1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)
(4)時間外、休日労働及び深夜労働の手当
有期契約労働者等の賃金を増額して、「キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)」を活用できます
「キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コース」は、有期契約労働者や短時間労働者、派遣労働者など、いわゆる非正規雇用労働者の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定して昇給させる場合に、事業主を助成する制度です。申請の事前手続は次のとおりです。
(1)キャリアアップ計画書を取組実施日までに労働局職業対策課に提出
(2)賃金規定等を改定又は作成
助成額は、事業場の全て又は一部の有期契約労働者等の賃金規定等を増額改定した場合、対象労働者の人数に応じて決定されます。中小企業で、全ての有期契約労働者等の賃金を増額改訂した場合は、次のとおりとなります。
労働者数 |
助成額 |
生産性の向上が 認められる場合 |
1人~3人 |
9万5千円 |
12万円 |
4人~6人 |
19万円 |
24万円 |
7人~10人 |
28万5千円 |
36万円 |
11人~100人 |
労働者1人当たり28,500円 |
同3万6千円 |
なお、「生産性の向上が認められる場合の額」とは、原則として助成金の支給申請を行う直近の会計年度における生産性がその3年前に比べて6%以上伸びている場合の額です。生産性は、次のように算出します。ただし、例外的に6%未満でも認められる場合があります。詳しくは労働局にご確認ください。
生産性 |
= |
営業利益+人件費+減価償却費+賃借料+租税公課 |
雇用保険被保険者数 |