改正労働基準法第39条(その3)
有給休暇取得5日義務が発生する日はいつでしょう?
労働基準法の改正(以下「改正法」と言います。)によって、本年4月1日から年10日以上の年次有給休暇(以下「有休」と言います。)を付与される労働者を対象として、その内5日を確実に取得させることが使用者に義務付けられました。そこで覚えていただきたいのが、「基準日」という法律用語です。「基準日」は、有休を新たに付与する日です。会社によっては、雇入れの時点で既に有休を付与している事例も見受けられます。ただし、法令上の付与義務が生じるのは雇入れの日から起算して6カ月間勤務し全労働日の8割以上出勤したときに6カ月を過ぎた日で、その日に付与すれば、その日が「基準日」にあたります。例えば、4月1日入社であれば、6か月を経過した日は10月1日なので、10月1日が「基準日」です。
さて、改正法が適用されるのは、平成31年4月1日以降の「基準日」からです。したがって、「基準日」が例年10月1日である事業所においては、本年10月1日から翌年9月30日までの1年間に有休5日を確実に取得させる義務が生じます。自社の基準日はいつか、改めて確認してください。
ところで、新卒一括採用など、労働者を雇入れする時期が毎年同一であれば基準日も同一ですが、随時採用など、雇入れの時期が労働に異なると「基準日」もそれぞれ異なりま す。使用者にとって、誰に・いつまでに有休5日取得させなければならないのか管理が煩雑です。基準日が複数ある場合、事務の簡素化・効率化の観点から、これを契機に統一することを検討すべきです。
入社2年目以降に基準日を統一した場合の取得義務日数は?
雇入れ1年目は法定どおり6カ月を経過した後に有休を付与し、2年目以降基準日を統一する場合は、年5日の有休を比例按分して取得させることができます。(労働基準法施行規則第24条の5第2項)
仮に、4月1日雇入れのAさんと6月1日雇入れのBさんについて、2年目以降の基準日を4月1日に統一した場合、比例按分による取得義務日数を計算すると次のとおりとなります。
【例】入社後6カ月後に10日付与、2年以降は4月1日を基準日に統一
○Aさんの取得義務日数
○Aさんの取得義務日数
18月÷12×5日=7.5日
2019年10月1日~2021年3月31日までで7.5日取得させます。
○Bさんの取得義務日数
16月÷12×5日=6.6日⇒7日
2019年12月1日~2021年3月31日までで7日取得させます。