年次有給休暇(Q&A)

Q1.日給制で雇用している社員がいます。有休を付与する義務はありますか?

塗装業を営む者です。従業員は、常雇いで月給払いの者と、必要な日に働いてもらい日給払いとしている者とがいます。日給制の場合、日額×出勤日数、つまり、働いた日の分だけ賃金を支払い、欠勤控除はありません。ところで、有休は、要するに働いていない日にも賃金を支払う制度と認識していますが、そもそも日給制の従業員に対して有休を付与する必要はあるのでしょうか?

A1. 有休は労働者の心身の疲労回復を図ること等を目的としています。雇用形態や給与体系で区別することはできません

有休は、労働者が本来働くべき日(所定労働日)に休暇を取得し、実際は労働していないにもかかわらず、労働したものとして賃金を受け取ることができる仕組みです。労働者にとってありがたい反面、使用者にとっては納得し難い面もあります。

わが国における有休は、官庁における「賜暇制度」を除くと、終戦後の1947年、労働基準法(以下「同法」と言います。)によって初めて定められました。その後改正を重ね、現在の規定は2019年4月から施行されています。その目的を改めて言うと、労働者の心身の疲労回復を図るとともに、仕事と生活の調和を実現させることであり、その目的達成の手段として、休日の他、毎年一定日数の有休を付与しています。

そのことに照らせば、雇用形態が正社員、有期労働契約、パートタイマー、又はアルバイトであろうと、また、給与体系が月給、日給又は時給であろうと、それらの違いを理由として、区別して取り扱うことはできません。例外として、日々雇い入れ、又は30日以内の期間を定めて雇用する日雇い労働者がありますが、その場合は後述する有休付与の要件を満たしていないから対象外となるのであって、目的に照らして、ということではありません。

さて、有休は、同法第39条の定める要件を満たす労働者に対して、同法第39条及び第39条第2項に定める日数以上の休暇を付与します。要件及び付与日数は次のとおりです。

(1)雇い入れの日から6カ月間、継続勤務していること

(2)所定労働日の8割以上出勤していること

【勤続勤務年数と付与日数】

勤続勤務年数 6か月 1年

6か月

2年

6か月

3年

6か月

4年

6か月

5年

6か月

6年

6か月以上

付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

要件は、いずれも過去の実績です。有休はそれに基づいて付与されるので、仮に、現在ほとんど働いていない・私傷病等のために先々働くことも期待できない等の場合といえども、使用者は有休の行使を拒むことはできません。

Q2.一日5時間・週5日の労働者に付与すべき有給は何日ですか

週当り労働時間25時間(一日5時間×週5日)の条件で、パートタイマーを雇い入れました。正社員に比べて労働時間が少ない場合、有休の付与日数に差があると聞きました。この場合、何日付与すればいいでしょうか?

A2.週の労働日数が5日の場合は正社員と同じ日数を付与します

有給休暇の付与日数は、原則として週当りの労働時間ではなく、労働日数を基準として定めます。労働日数が正社員・パートタイマーいずれも週5日であれば、同じ日数を付与する必要があります。

なお、週当たりの所定労働日数が正社員など通常の労働者と比較して相当程度少ない者に対しては、労働日数に応じて、通常の労働者とは別に定められた日数を付与(比例付与)します。