法令改正情報(令和4年1月1日施行)

健康保険傷病手当金の支給期間の考え方が変更されます

従業員が業務外の病気やけがで休業した場合、健康保険の傷病手当金を受給することができます。現在の受給期間は支給開始日から1年6か月までですが、令和4年1月1日からは、支給開始日から通算して1年6か月までとなります。同一疾病で休業と出勤とを繰り返している場合等、より柔軟に所得補償を受けることができます。対象者は、令和3年12月31日時点で支給開始日から1年6か月を経過していない方(令和2年7月2日以降に支給が開始された方)です。傷病手当金の受給要件及び支給額は、次のとおりです。
(1)受給要件は、次の①~④を全て満たしていることです。
① 業務外事由による病気・けがの療養のための休業であること
※交通事故等、自費で診療を受けた場合も支給対象です。
② 仕事に就くことができないこと
③ 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
※連続する3日間は土日祝日や有給休暇も含まれます。
④ 休業した期間について給与の支払がないこと
※給与支払額が傷病手当金より少ないと、差額が支給されます。
(2)また、一日当たりの支給額は次のように算定します。
支給開始日以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額を30(日)で除した額に2/3を乗じた額

雇用保険マルチジョブホルダー制度が施行されます

65歳以上の高年齢労働者を対象とする雇用保険マルチジョブホルダー制度が、令和4年4月1日から施行されます。要件を満たす方は、マルチ高年齢被保険者として、雇用保険に加入できます。また、失業したとき、高年齢求職者給付金を受給することが可能です。
(1)受給要件は、次の①~④を全て満たしていることです。
① 2つ以上の事業所での勤務を合計して、所定労働時間が週20時間以上であること
② それぞれの事業所での雇用見込みが31日以上あること
③ それぞれの事業所での所定労働時間が週5時間以上20時間未満であること
④ 労働者本人が雇用保険への加入を希望していること
(2)高年齢求職者給付金の内容は次のとおりです。
離職の日以前一年間に被保険者期間が6か月以上ある場合、被保険者期間に応じて、基本手当の30日分又は50日分の一時金を受給することができます

健康保険の任意継続被保険者制度が一部変更されます

任意継続被保険者制度は、退職した被保険者が希望するとき、退職時の健康保険組合に退職後2年間のみ加入することができる制度です。もともとは、退職した被保険者が国民健康保険に移行することにより給付率が低下することの緩和を目的として創設されました。しかし、現在、国民健康保険と健康保険とでは、給付率に差はなくなっています。その結果、本来の意義は失われ、健康保険から国民健康保険への移行に伴う保険料負担の激変緩和が実態となっていると指摘されていました。今回見直しが行われ、令和4年1月1日から施行されます。
(1)保険料の算定基礎の変更
現在は「退職者の従前の標準報酬月額と当該保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額のうち、いずれか低い額」とされていますが、「健康保険組合の規約により、従前の標準報酬月額」とすることができることとなります。この見直しは、今のところ、健康保険組合にのみ適用できることとされています。
(2)任意継続被保険者の資格喪失
これまで認められていなかった保険者の任意脱退が可能となります。