所得税法上及び健康保険法上の扶養の範囲

Q.遠方に住んでいる両親を扶養に入れたいとの相談がありました。入れることは可能ですか?仮に可能である場合、そのための手続や留意点等についてご教示ください

父親の退職を契機に、遠方に住んでいる両親を所得税法及び健康保険法上の扶養に入れたいとの相談が、従業員からありました。通常、扶養の対象者は、同居する配偶者や子ども及び両親と考えていました。別居の両親を入れることは可能ですか?また、仮に可能である場合、そのための手続や留意点等についてご教示下さい。

A. 別居していても、所得税法上及び健康保険法上の扶養とすることは可能です。ただし、続柄及び収入要件を満たし、かつ、被保険者が定期的に仕送りをしている必要があります

扶養とは、自分で生計を立てられない人を経済的に養うことです。扶養することにより、扶養者は、所得税法上、一定金額の所得控除を受けることができます。また、健康保険法上の被扶養者と認定されれば、被扶養者は保険料の負担なしに保険給付を受けられます。所得税法上の扶養者は「扶養親族」、健康保険法上の扶養者は「被扶養者」と言います。扶養親族や被扶養者として認定されるには、続柄及び収入等につき、それぞれ異なる要件を満たす必要があります。

(1)続柄要件について

所得税法上は、6親等内の血族、3親等内の姻族、児童福祉法に定める里子又は老人福祉法に定める養護老人であること(※青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除く。)

また、健康保険法上は、75歳未満の次の親族であること

①同居の必要なし:配偶者、子、孫、兄弟姉妹、父母、祖父母等の直系尊属

②同居の必要あり:①以外の3親等以内の親族、内縁関係の配偶者の父母及び子

(2)収入要件について

所得税法上は、納税者と生計を一にしていること(別居の場合、生活費や養育費等の送金が常に行われていること)、かつ、合計所得金額が58万円以下であること(※合計所得は、その年の1月1日から12月31日までの所得の合計額で、所得税非課税の収入は含まない。なお、「58万円以下」は2025年12月1日から適用)

また、健康保険法上は、被保険者により生計を維持されていること。具体的には、

①同居の場合:被扶養者の年間収入が130万未満(19~23歳未満は150万未満、60歳以上又は障害者は180万未満かつ、被保険者の半額未満であること

②別居の場合:年間収入は同居の場合と同額、かつ、被保険者からの仕送り額未満であること(※年間収入は被扶養者該当後1年間の見込額で、所得税非課税の収入を含む)

(3)手続等について

所得税法上は、扶養する年毎に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先へ提出。扶養親族が別居の場合、親族関係書類や送金関係書類等の提出又は提示が必要となります。

また、健康保険法上は、「健康保険被扶養者(異動)届」を被扶養者該当時に加入する健康保険の保険者へ提出。別居の場合、扶養者との続柄や被扶養者の収入状況、扶養者が行っている仕送り等の内容を確認できる書類の提出が必要となります。

このように、遠方に住んでいる両親を所得税法上及び健康保険法上の扶養とするためには、ご両親の収入要件に加えて、被保険者が、定期的にある程度の金額を仕送りしている必要があります。

ところで、健康保険法上の被扶養者認定について、令和8年4月からは今後1年間の所得見込ではなく、就業している場合は労働契約の内容から年間収入を判定することとなりました。したがって、今後は、被扶養者の労働条件通知書等の提出等を求められることとなると思われます。