国民の祝日は必ず休日(休業)としなければいけないの?

Q.当社は毎週土曜日と日曜日を所定休日としていますが、国民の祝日は休日としていません。先日、ある社員から『国民の祝日に関する法律(以下「祝日法」と言います)によれば、国民の祝日は「休日とする」と定められているので、国民の祝日に働かせるのは、法令違反ではないのですか?』との指摘を受けました。

国民の祝日を、会社として休日とする義務はあるのでしょうか?

 

A.国民の祝日を会社の休日にする義務はありません

 労働基準法は、使用者に対し労働者に少なくとも毎週1日の休みを与えることを義務づけており、その休みを法定休日といいます。従って、休日は週に1日でよいのです。ところが、労働基準法の別の条文を見ると、労働者を週に40時間かつ1日8時間を超えて働かせてはならないと定めています。本来、休みは週に1日でもよいのですが、例えば、所定労働時間が8時間の事業場では、5日間働くと労働時間が40時間に達するため、結果として2日間の休みを設けなければならなくなります。これら2日間の休みは、厳密には1日が「法定休日」、残りの1日は「法定外休日」にあたります。

さて、「祝日法」は「国民の祝日は休日とする」と定めていますが、同法の通達を見ると、国民の祝日に休ませることを強制的に義務づけるものではないとしています。つまり、祝日法にいう「祝日」は労働基準法の法定休日とは関係ないということになります。従って、国民の祝日に働かせたとしても、週に1日の休日及び週に40時間の労働時間が守られていれば、法令違反にはあたりません。

休日に働いた時の賃金は?

 既に説明したとおり、労働基準法で義務づけている週に1日の休日を法定休日と言います。法定休日に労働させた場合は、通常の時間単価の3割5分増の賃金を支払わなければなりません。一方、法定外休日の労働に対しては、割増賃金を支払う必要はありません。しかし、法定外休日に労働した時間が、週の労働時間40時間を超えている場合は、超えた時間に対して、通常の労働時間単価の2割5分増しの賃金を支払わなければなりません.

 

休日に働かせるときの注意点は?

法定休日に労働させる場合は、あらかじめ時間外労働協定届を労働基準監督署へ提出しておく必要があります。

また、週休2日制の場合、何曜日を法定休日とするか特定する必要はありません。労働基準法の施行、解釈、運用に関する国の通達は「法定休日を特定することが望ましい」としていますが、義務ではありませんので、会社の実情に応じた対応で差し支えありません。

就業規則作成の例としては、たとえば次のように定めます。

第○条 休日は次のとおりとする。

(1)各週において最初に取得した休日を法定休日とし、法定休日以外の休日を法定外休日とする。

今回のポイント   (1)国民の祝日に働かせても、法令違反にはなりません。 (2)休日は週に1日でよい。(法定休日といいます)(3)法定休日に労働させるには、時間外労働協定書を労働基準監督署に届け出る必要があります。(4)法定休日の労働には、通常の時間単価の3割5分増しの賃金を払わなければなりません。