賃金支払いの原則(2)

Q.賃金の支払日が銀行の休業日にあたり支払が遅れますが、問題はありますか?

当社の賃金は、15日締めの当月末日払とし、社員の希望する銀行等の口座に振り込んでいます。支払日については、「賃金の支払日が金融機関の休日にあたるときは、翌営業日に支払う」と就業規則に定めているので、月末が日曜日のときは翌月の1日に振り込まれることとなります。

ところが、今月は祝日など金融機関の休業日が続き、翌営業日にあたる日が翌月の3日になってしまいます。普段より3日も支払が遅れると社員に迷惑をかけることになりますが、就業規則に定めている以上、問題ないと考えてよいでしょうか?

A.月に一回以上支払われないこととなり、許されません

賃金(給料)支払の5原則をおさらいすると、次のとおりです。

(1)通貨で

(2)直接労働者に

(3)その全額を

(4)毎月一回以上

(5)一定の期日を定めて

さて、(4)で言う「毎月」とは暦日であり、1日から31日までのことです。「毎月一回以上」とあるので、ひと月の内に必ず賃金を支払う日を設けなければなりません。

設問の会社の就業規則によれば、金融機関の都合等によってひと月の内に一回も賃金が支払われないケースがあり得ることになります。これは法律違反に当たり、就業規則の見直しが必要です。

次に、(5)で言う「一定の期日を定めて」とは、賃金の支払日はいつかを特定しなければならないという趣旨です。ただし、支払日をいつにするかは、毎月払の原則や労働協約等に違反しない限り、就業規則や労働協約によって自由に定め、又は先に定めた支払日を変更することができます。したがって、使用者が、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聞いて就業規則を変更するのであれば、先に定めた支払日を変更しても違法にはあたりません。

どのような規定が適当でしょうか?

設問のような当月末日払の会社の場合、支払は金融機関の休日の「翌日」ではなく、「前日」にしなければなりません。

具体的には、次のような規定とすればよいでしょう。

第○条 賃金の支払について

 賃金は、毎月月末に支払う。ただし、支払日が金融機関の休日にあたるときは、直前の営業日に支払うこととする。