改正労働基準法第39条(年次有給休暇)

平成31年4月1日施行の「改正労働基準法第39条(年次有給休暇)」について厚生労働省等による「年次有給休暇の時季指定義務」、「わかりやすい解説」等を参考に取りまとめました。

Q1.2019年4月1日から施行される内容のポイントは?

A1.年次有給休暇(以下「有休」と言います。)のうち年5日については、使用者が時季を指定して労働者に取得させることが全ての使用者に対して義務付けられます。

Q2.対象となるのは全ての労働者ですか?

A2.有休付与日数が10日以上の労働者が対象です。

Q3.時季指定をすべき期間はいつからいつまでですか?

A3.有休を付与する日(基準日)から次の基準日までの1年間です。例えば基準日が10月1日であれば、2019年10月1日から2020年9月30日の間に5日間を時季指定する必要があります。

Q4.施行日までに予めやっておくことは何かありますか?

A4.時季指定の対象となる労働者の範囲及び指定の方法等について、就業規則に定めておく必要があります(労働者10人未満の事業所を除きます。)。また、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成する必要があり、この管理簿は3年間保存しなければなりません。

Q5.仮に取得できなかった労働者がいたら、どうなりますか?

A5.法違反にあたり、労働基準監督署の監督指導(是正勧告等)の対象です。また、罰則の適用もあり得ます。

Q6.労働者が有休を希望せず、時季指定を行なっても取得を拒否した場合、使用者の責任はどうなりますか?

A6.そうした場合であっても、結果的に有休を取得していないため、使用者は法違反を免れません。こうしたことから、前述の就業規則の改正においては、時季指定は業務上の命令であり違反は懲戒の対象とすること等を併せて定めることが望ましいと考えます。

Q7.労働者本人の請求により既に有休5日を取得済みでも、使用者の時季指定は必要ですか?

A7.労働者が有休を5日取得した時点で、使用者の時季指定義務はなくなります。また、その後は使用者から時季指定を行うことはできません。

Q8.使用者が時季指定した日が到来する前に、労働者が自ら有休5日を取得した場合、当初指定した日に取得しなくても法違反にはあたらないと考えていいでしょうか?

A8.結果的に5日取得しているので、法違反にはあたりません。なお、この場合において、使用者が行なった時季指定は、労働者との間に特段の取決めがない限り無効とはならないと解されています。