改正雇用保険法及び改正育児介護休業法
改正雇用保険法により被保険者となる要件の緩和等が行われます。
(1)被保険者となる要件の緩和等について
雇用保険制度において、現在、被保険者となる要件は次の2点です。
①一週間の所定労働時間が20時間以上あること
②同一の事業主に継続して31日以上の雇用見込みがあること
このうち、一週間の所定労働時間は、「20時間以上」から「10時間以上」に緩和され、令和10年10月1日から施行されます。そのことに伴い、480万人程度が新たに被保険者となると見込まれています。また、そのことに合わせて、失業した際に受給する基本手当の受給資格要件の被保険者期間の算定基準が変更になります。算定基準の賃金支払の基礎となる日は、1か月当り「11日以上」から「6日以上」となります。
(2)基本手当の給付制限期間の見直しについて
労働者が自己都合により退職して基本手当を受給するときは、原則として2か月間の給付制限期間が設けられています。
今回の改正によって、自ら教育訓練給付支給対象の民間教育訓練を受給する場合は、給付制限期間の適用除外となります。また、教育訓練を希望しない場合についても、給付制限期間は現在の2か月間から1か月間に短縮されます。いずれも、令和7年4月1日から施行されます。
(3)在職中、教育訓練を受けるために取得した休暇を対象とする給付金制度の創設について
在職中の労働者が、自発的に職業に関する教育訓練を受けるために休暇を取得した場合、その期間の生活費を支援するために、教育訓練休暇給付金を支給する制度が創設されます。受給の要件は、次のとおりです。
①雇用保険の被保険者期間が5年以上あること
②教育訓練のため休暇を取得し、その休暇が無給であること
給付金の額は、休暇開始の前日を離職した日とみなして支給される基本手当と同じ額です。また、給付日数は、被保険者期間に応じて90日、120日、150日のいずれかとなります。ただし、この給付金を受給していた期間は、失業手当の受給要件である算定基礎期間から除外されます。制度を利用して直後に離職する場合は、その点に留意が必要です。令和7年10月1日から施行されます。
改正育児・介護休業法により短時間勤務制度を利用できる期間の延長等が行われます。
(1)短時間勤務制度を利用できる期間の延長等について
現在、労働者が希望した場合、子が3歳になるまでの間、短時間勤務を取得することができます。この期間が、今回の改正により、小学校就学前まで延長されます。
一方、労働者が子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置を講ずることを、事業主に対して新たに義務付けます。具体的には、次のうちいずれか2つ以上の制度を社内に創設して、労働者に説明のうえ、任意に選択させることが必要です。
①フレックスタイム制又は始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ等
②テレワーク等(10日以上/月)
③保育施設の設置運営等
④新たな休暇の付与(10日以上/年)
⑤短時間勤務制度
いずれも、公布の日から1年6か月以内の政令で定める日から施行されます。
(2)所定時間外労働の制限期間等の延長について
現在、子が3歳に達するまでの間認められている所定時間外労働の制限は、労働者が希望した場合、小学校就業前まで延長されます。
また、現在、子が小学校就学前まで取得が認められている子の看護休暇は、小学校3年生修了時まで延長されます。合わせて、取得事由として「感染症に伴う学級閉鎖等」や「子の行事参加」が追加されます。
一方、現在は労使協定を締結することにより認められている「子の看護休暇の対象者として、勤続6か月未満の労働者を除外する」仕組みは廃止されます。
これらの改正は、いずれも令和7年4月1日から施行されます。