令和7年施行予定の改正雇用保険法
今後施行される改正雇用保法の主な内容は次のとおりです
多様な働き方を支える雇用のセーフティネット構築や、「人への投資」の強化等を趣旨とする改正雇用保険法は、令和6年5月に成立し、令和6年11月から順次施行されています。令和7年に施行される主な内容は次のとおりです。
(1)教育訓練給付金の拡充等
雇用保険の求職者支援事業の一つに教育訓練給付金制度があります。被保険者のリスキリングによる能力向上支援を目的としています。雇用保険に加入しているか、又は離職して1年以内で雇用保険の加入期間が1年以上ある者が、厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講・修了したとき、費用の一部を支給します。令和6年10月、支給率が「受講費用の最大70%」から80%に引き上げられました。更に令和7年10月1日からは、雇用保険の加入期間が5年以上ある者が、教育訓練のため無給の休暇を取得したとき、生活費を支援する教育訓練休暇給付金が新たに支給されます。給付額は、基本手当(失業手当)の日額で、給付期間は、被保険者期間により90日、120日、150日のいずれかとなります。
(2)育児世代に向けた支援の拡充
① 令和7年4月1日、男性の育児休業取得促進を目的とする出生後休業支援給付金制度が創設されます。子の出生直後の一定期間、男性は出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内に、雇用保険の被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得するとき、最大28日間、休業開始前の賃金の13%相当額を出生後休業支援給付金として支給します。この結果、男性の産後パパ休業期間中、育児休業給付金67%とこの給付金13%を合計して休業開始前の賃金の80%相当、手取りで100%相当額が給付されることとなります。
② 育児のため短時間勤務を選択したことに伴い、賃金が低下した者に対する給付制度は、これまでありませんでした。令和7年4月1日、育児時短就業給付金制度が創設されます。給付額は、時短勤務中支払われた賃金額の10%を上限として、養育する子が満2歳に達するまで支給されます。支給要件は次のとおりです。
・ 令和7年4月1日以降に短時間勤務を開始 したこと
・ 雇用保険被保険者期間が短時間勤務開始日より前の2年間に通算して12か月あること
・ 育児休業終了後又は出生時育児休業終了後に引き続き短時間勤務を就業したこと
(3)高年齢雇用継続給付金の給付率引下げ
高年齢雇用継続給付金は、高年齢者の就業意欲を維持・喚起し、65歳までの雇用継続の援助・促進を目的に、60歳到達時点に比べ賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の者に支給されます。給付額は、各月に支払われた賃金の低下率により、賃金額の25%~0%の間で定められますが、この支給率が、令和7年4月1日から10%~0%に引き下げられます。対象者は、令和7年4月1日以降60歳に達する日を迎えた者です。
(4)基本手当の給付制限の見直し
雇用保険の求職者給付(基本手当)は、離職者の生活費支援を目的に支給されます。ハローワークで求職を申し込み、次の仕事が見つかるまでの一定期間受給できます。ただし、正当な理由のない自己都合や懲戒解雇による離職の場合、支給開始まで2か月間支給が停止される給付制限が設けられています。この給付制限が、令和7年4月1日から1か月間に短縮されます。また、自己都合退職であっても、教育訓練等を自ら受ければ、給付制限が解除されます。
(5)雇用保険の適用対象者の拡大
令和10年10月1日から、週当り所定労働時間10時間以上のパートタイマーやアルバイトとして雇用される者は、雇用保険に加入することとなります。