健康保険の被扶養者認定要件の変更

令和7年10月1日以降、19歳以上23歳未満の方を健康保険の被扶養者と認定できる収入要件が変わります

健康保険制度は、被保険者である従業員本人(以下、「被保険者」と言います。)及び被保険者が扶養する家族(以下、「被扶養者」と言います。)を対象として、病気や傷害、出産等にあたり保険給付を行う仕組みです。健康保険の被扶養者と認定されるためには、

(1)被保険者の三親等以内の親族で、75歳未満であること

(2)被保険者の収入によって、生計を維持されていること

の二つの要件を満たす必要があります。(1)において年齢75歳未満とされているのは、75歳以上の方は後期高齢者医療制度の被保険者となるためです。

さて、令和7年税制改正(以下、単に「改正」と言います。)と関連して、健康保険の被扶養者と認定できる収入の限度額が、19歳以上23歳未満の方について引き上げられることとなりました。改正においては、19歳以上23歳未満の被扶養者のある被保険者は、被扶養者の年収が150万円以下であれば、所得税の扶養控除について特定扶養親族と同額の所得控除を受けられるようになります。

一方、これまで健康保険の被扶養者と認定できる収入の限度額は、

〇60歳未満の場合、130万円未満

〇60歳以上又は一定の障害を有する方の場合、180万円未満

の二つに区分されていました。そうすると、19歳以上23歳未満で年収130万円以上150万円以下の方は、所得税法上は特定扶養親族と同額の控除を受けられる一方、健康保険制度の被扶養者の収入の上限を超えることから、認定を外されてしまいます。こうした不整合を回避するため、新たに19歳以上23歳未満の区分を設け、その収入の上限を年収150万円未満としました。新たな被扶養者の年齢及び収入の上限の要件を整理すると、次のとおりです。

年齢 収入上限(年収)
60歳未満の方 130万円未満
60歳以上又は一定の障害を有する方 180万円未満
19歳以上23歳未満(※新設)の方 150万円未満

一方、被扶養者と認定される要件としては、年齢や収入上限に加えて次の2点が求められています。

〇被扶養者の収入が、被保険者の収入の原則半分未満であること

〇被保険者と別居している場合、被扶養者の収入が、被保険者からの仕送り額未満であること

また、親族の中には、被扶養者となるために同居が要件となる方と、別居していても差し支えない方とがあることにも注意が必要です。

それらの区分は、次のとおりです。

同居が要件となる 別居で差し支えない
・被保険者の三親等以内の親族(年齢75歳以上を除く)

・被保険者の配偶者で事実婚と同様の人の父母及び子

・上記の配偶者が亡くなった後における父母及び子

・被保険者の直系尊属(父母・祖父母・相曽父母)

・被保険者の配偶者(事実婚と同様の人を含む)

・被保険者の子

・被保険者の孫

・被保険者の兄弟姉妹

事務取扱はここに留意しましょう

19歳以上23歳未満の被扶養者又は被扶養者となり得る方がいる場合、その収入を確認する必要があります。年齢は、その年の12月31日時点で判定します。令和7年12月31日時点で19歳以上23歳未満の方の生年月日は、2006年1月1日以前2002年1月1日まで。また、収入は、過去の収入ではなく、被扶養者に該当する時点及び被扶養者と認定された日以降の年間の見込収入の額となります。収入には、雇用保険の失業等給付や年金等が含まれることにも、注意が必要です。現在被扶養者であり、今後の収入見込が150万円未満であれば、特段の手続は不要です。一方、今後150万円以上となることが見込まれる場合や、年収130万円以上などこれまで被扶養者になり得なかったが、年収150万円未満に収まると見込まれる場合等は、別途に手続が必要です。