ストレスチェック
Q.義務付けの拡大が見込まれるとされているストレスチェックとはどんな制度ですか?また、今後の対応や留意点等は?
弊社の従業員は6名です。最近、常時雇用する労働者数に関わらず、全ての事業者にストレスチェックの実施を義務付ける検討が進められているとの報道を目にしました。そもそもストレスチェックとは、どのようなものですか? また、義務付けされたとき、どんな対応や留意等が必要となりますか?
A.ストレスチェックは、労働者の心理的負担の程度を早期に把握し、メンタル不調の未然防止につなげることが目的です
現代社会において、多くの労働者は仕事や職業生活に関し強い不安や悩み、ストレス等を抱えています。こうした状況を背景として、労働安全衛生法(以下、「同法」と言います。)の一部が改正され、平成27年(2015年)12月から、同法第66条の10に基づき、従業員が50名以上の事業者(使用者)は、労働者に対し、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を行うことを義務付けられています。また、50人未満の事業者は努力義務ですが、うち約3割が実施しているとされています。
令和6年10月、厚生労働省は、業務上の負荷による精神障害の増加という実態を踏まえて同法を改正し、ストレスチェックを全ての事業者に義務付ける方針を固めたといわれます。現在対象外であり、同法にあまり関心がない事業者も少なくないと思われますが、今後は理解を深めることが求められます。ストレスチェックの主な目的は、労働者のメンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)です。年1回ストレスの状況を検査して本人に通知することにより、労働者自身の気付きを促し、ストレスの低減につなげます。また、事業者は、検査結果を集団ごとに集積・分析し、職場におけるストレス要因を評価して職場環境の改善につなげることにより、ストレス要因そのものを低減することが求められます。具体的な方法は、以下の3つの領域に関する項目が含まれる調査票に、労働者自ら記入又は入力して行います。
(1)職場における当該労働者の心理的な負担の原因に関する項目
(2)当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目
(3)職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目
記入内容から、当該労働者のストレス程度を点数化し評価します。専用のソフトウェアや厚生労働省が無償で提供する「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」を利用することにより、比較的簡単に実施できます。また、評価の結果、高ストレス者と判定された労働者がいれば、医師による面接指導の要否を確認し、希望する者へは医師のあっせん等を行います。労働者50人未満で産業医を設置していない事業者は、産業医資格を有する医師のいる産業保健総合センターの地域窓口(地域産業保健センター)を利用することができます。
留意すべき点として、ストレスチェックは労働者の任意であり、受検を義務付けるものではありません。また、ストレスチェックの結果は、労働者本人の同意がなければ、医師から事業者に提供されることはありません。検査業務に従事する者は守秘義務を課されるなど、労働者のプライバシーへの配慮が重要です。受検それ自体や、評価結果により高ストレス者と判定されたとき、医師の面接指導を受けるか否か等は、労働者自身の判断に委ねられています。