年金制度改正
「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」が成立しました
第217回国会において、いわゆる年金制度改正法が成立しました。改正の趣旨は、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化を図る観点から、働き方や男女の差等に中立的でライフスタイルや家族構成等の多様化を踏まえた年金制度を構築するとともに、所得再分配機能の強化や私的年金制度の拡充等により高齢期における生活の安定を図ること等であるとしています。具体的には、被用者保険の拡大、在職老齢年金制度の見直し、遺族年金制度の見直し、標準報酬月額の上限の段階的引上げ、個人型確定拠出年金の加入年齢の引上げ等で、それらの主な内容は次のとおりです。
被用者保険の加入条件が段階的に拡大されます
短時間勤務の労働者を社会保険へ加入させることの義務付けを負う企業が、今後10年で段階的に拡大されます。現在は従業員数51人以上の企業が対象ですが、令和9年10月から36人以上、令和11年10月から21人以上、令和14年10月から11人以上、令和17年10月からは1人以上の従業員がいる全ての企業となります。また、短時間勤務の労働者が社会保険へ加入する必要が生じることとなる年収要件106万円を、今後3年以内に廃止するとしました。
在職老齢年金制度の一部見直しが行われます
在職老齢年金制度は、年金受給者が厚生年金に加入し報酬と厚生年金の合計が一定の基準を超えると、厚生年金の一部又は全部が支給停止となる制度です。支給停止の基準は、これまでも再三見直しが行われてきました。令和6年は50万円でしたが、令和7年4月から51万円に引き上げられています。令和8年4月からは、更に引き上げられて62万円となります。
遺族年金制度の見直しが行われます
遺族年金制度の見直しが行われ、令和10(2028)年4月から施行される予定です。遺族年金制度は非常に複雑なことから、原則について、かいつまんでの説明となります。遺族厚生年金は、会社員や公務員など被用者年金に一定基準以上の加入歴のある方が死亡したとき、その遺族に支給されます。現行は、子どもがない夫婦の場合、女性は、配偶者死亡時に30歳未満であれば5年間の有期給付、30歳以上であれば無期給付。それに対して、男性は、配偶者死亡時に55歳未満であれば給付なし、55歳以上であれば60歳に達してから無期給付と、男女間に著しい格差がありました。今回、受給要件を男女共通とする改正により、配偶者が60歳未満で死亡したとき、男女とも原則5年間の有期給付、その間の支給額は現行の約1.3倍程度に増額されます。また、この改正と合わせて、やはり不公平感の強かった受給者の年収を850万円未満とする支給要件が廃止される一方、夫の死亡時に40歳以上65歳未満の妻に対し手厚い給付を行っていた中高齢寡婦加算制度については、改正の施行日以降25年かけて段階的に廃止するとしています。ただし、既に受給中の方や、受給権があり60歳に達してから給付が開始される男性等には、現行の制度適用が維持されるので、影響はありません。今回改正のもう一つの大きなポイントとして、厚生年金の加入記録の死亡時分割制度が創設されます。死亡した配偶者の婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額及び標準賞与額)の最大2分の1が生存配偶者自身の年金記録に合算されることにより、生存配偶者の老齢厚生年金額が増額されます。この他、配偶者の死亡時に養育する子ども(18歳年度末まで又は障害の状態にある20歳未満)がいる遺族に支給される遺族基礎年金の加算額について、既に受給中の方も含めて、引上げが行われます。
標準報酬月額の上限が段階的に引き上げられます
厚生年金等の保険料や年金の計算の基礎である標準報酬月額(会社が届け出る4,5,6月支給賃金平均額)には上限が設けられ、現在は65万円です。この限度額を段階的に引き上げる改正が行われました。
個人型確定拠出年期の加入年齢の引上げ等が行われます
iDeCoの加入可能年齢を70歳までに引上げ、及び拠出限度額の拡充、企業型DC加入者の加入者掛金の制限撤廃と拠出限度額の拡充などが今後3年以内に実施される予定です。

