時間外労働・休日労働に関する労使協定(2)

使用者が、従業員に時間外や休日に労働することを命ずるためには?

さて、1週について40時間、1日について8時間の法定労働時間(労働基準法第32条)を超えて残業させまた、法定休日に労働させる場合は、従業員数等に関わらず、労基署長へ次の内容で届出を行わなければなりません。

(1)労使協定書(36協定)

(2)時間外労働・休日労働に関する協定届(様式第9号)

ただし、(2)に労働者側の署名捺印があれば、(1)は不要です。

また、別途、雇用契約書、就業規則等において時間外労働・休日労働に関し定めておくことが必要です。

(2)の「時間外労働・休日労働に関する協定届」の内容は?

当事務所のホームページから協定届(様式第9号)の書式はダウンロードできます(https://takaokasr.com/menu08.html)。必要な場合はご利用ください。

様式を見ると所定事項は次のとおりです。

①事業の種類 ②事業の名称 ③事業の所在地(電話番号)

④時間外労働をさせる必要のある具体的事由

⑤事業の種類 ⑥労働者の数 ⑦所定労働時間

⑧延長することができる時間(一日、一日を超える一定の期間)

⑨起算日 ⑩期間 ⑪協定の成立年月日 ⑫協定の締結者

つまり、太字で示した項目を記載すれば、前号で示した(1)労使協定書(36協定)に盛り込むべき内容を満たしていることになるので、別途労使協定書を作成する必要はありません。

協定届作成にあたって、どんな注意が必要?

36協定の効力は、労働時間が法定されている以上、本来は認められない残業を合法的に行えるようにすることであるといえます。

ただし、残業時間にも法令上の制約があることに注意が必要です。また、他の主な注意点を示すと次のようなものがあります。

(1)事業場単位で届出が必要

複数の事業場がある企業は、事業場ごとに管轄の労基署長へ届け出ることが必要です。例外として、一定の要件を満たす場合、本社の所在地を管轄する労基署長への一括届出が認められます。

(2)36協定の効力はいつからいつまで?

36協定の効力は、協定届を労基署長に届け出て受理された日以降に生じます。したがって、労使協定書を締結しても、そのままでは効力(合法的に残業を行うこと)はありません。

一方、有効期間について法令上の定めはありませんが、定期的に見直しを行なう観点から1年とすることが望ましい(H11.3.31基発第169号)とされています。こうしたことから、協定の見直しがない場合であっても、

1年後にあらためて届出を行うよう、労基署長が指導しています。

雇用契約書、就業規則等はどのように定めるの?

労使協定書や協定届は労働基準法上の義務であり、個々の労働者の時間外・休日労働義務が発生するには、民事上・労働契約上の義務を雇用契約書、就業規則等において定めておく必要があります。

定め方の例としては、次のようなものが適当です。

(時間外・休日労働) 第○条 会社は、業務上必要があるときは、別に定める労使協定の範囲内で従業員に対し時間外労働又は休日労働を命じることがある。