職後に加入できる医療保険
Q.退職後に加入できる医療保険にはどのようなものがありますか?
A.退職後に加入できる医療保険は、次の3つがあります。
(1)健康保険の任意継続被保険者
(2)国民健康保険の被保険者
(3)特例退職被保険者
このうち(3)は、厚生労働大臣の認可を受けた健康保険組合に加入している人が対象で、一般にはあまりなじみがないと思います(健保法附則第3条)。
この3つのほか、健康保険の被保険者の被扶養者となることもできます。生計を一にする、などの要件を満たす必要がありますが、被扶養者となれば本人の保険料負担はありません。
健康保険の任意継続保険者になるには?
退職前に引き続いて2か月以上、健康保険の被保険者であることが条件です。
被保険者の資格を喪失した日から20日以内に手続をすると、原則として2年間に限り、被保険者の資格を継続することができます。
手続は、健康保険組合の加入者は加入していた健康保険組合で、全国健康保険協会(通称「協会けんぽ」)の加入者は住所地を管轄する全国健康保険協会の支部(千葉県在住の場合、協会けんぽ千葉支部)でそれぞれ行います。
任意保険の保険料はどうなるの?
在職中の保険料は事業主と折半ですが、任意継続被保険者は全額自己負担(健保法第161条1項)なので、よく「保険料が倍になる」という言い方をします。
保険料は、標準報酬月額と保険料率によって決まりますが、任意継続の場合、標準報酬月額は退職時の額が適用され、かつ、28万円を限度としています。また、保険料率は、健康保険組合であればそれぞれの組合ごとに、協会けんぽであれば都道府県ごとに定めています。
こうしたことから、退職時の標準報酬月額が28万円を超えていたり、協会けんぽで勤め先のある都道府県と住所地の都道府県で保険料率が異なっていたりすれば、必ずしも「保険料が倍に」なるとは限りません。
他にも支払わなければならない保険料があるの?
日頃あまり意識することはないのですが、在職中の保険料は、40歳から64歳までの間は、医療保険料に加えて介護保険料を一括納付しています。
65歳以上になると、退職、在職にかかわらず、また、加入している保険にかかわらず、医療保険料とは別に介護保険料を保険者である市町村に納付しなければなりません。
65歳以上の介護保険料は、所得(収入)金額によって第1段階から第13段階に区分され、それぞれの段階ごとに決まります。詳しくは、住所地の市町村のホームページ等でご確認ください。
なお、被扶養者の場合、64歳までの間、介護保険料の本人負担はありませんが、65歳以上になると、被扶養者であってもその人の所得に見合った段階の保険料を別に納付しなければなりません。
任意継続被保険者と国民健康保険の被保険者との違いは?
給付される保険の内容はほとんど変わりませんが、保険料の計算方法やその結果負担する保険料が異なってきます。
既に述べたように、任意継続の保険料は退職時の標準報酬月額に保険料率をかけて計算します。また、被扶養者の保険料負担はありません。
これに対し、国民健康保険の保険料は、前年の1月から12月の間の家族全員(厚生年金等に加入している人を除く)の所得を合計した額に、定められた保険料率等をかけて計算します。